徴用被害者支援団体が独自に聴聞会を開催しようとしている話

徴用被害者支援団体が独自に聴聞会を開くそうです。討論会と銘打っていますが、(自称)被害者側の意見を聴取する場とのこと。
ターゲットとなる(自称)被害者たちは例の、日本製鉄と三菱重工の原告以外の人たちも含まれるそうで、1日7~8時間程度ずつ、3日間かけて400人程度が予定されています。

この討論会が開かれる理由は、韓国政府がまとめる解決策とは別に、追加の救済のための「特別法」制定を推進するためとされています。

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2040年には生産年齢人口が56.8%に...「2000年代以降、大韓民国の産業は『失われた20年』に陥っている」という話

「失われた20年」とか「30年」という表現は、韓国メディアでは基本的に「日本経済はもう終わった」の意味で使われます。たまに反面教師として「このままでは韓国もそうなる」の意味で使われることもありました。

しかし最近、2000年代以降、実は韓国は「失われた20年」に陥っている、という主張が出てきました。半導体など一部の主力産業が好調だったから「錯視」が起こっていただけで、全体的には競争力で押されているというのです。

 



朝鮮Bizの記事からです。

「『失われた20年』...産業構造を改善しなければ10年後の大危機」


「2000年代以降、大韓民国の産業は『失われた20年』に陥っている。20年間、新しいビジネスの創出に失敗し、10大品目中心の輸出、生産構造が固着化した。今、韓国産業の構造的問題*1を改善しなければ、10年後に迫ってくる危機を克服することは難しい」

「韓国は最近まで生産年齢人口は多いが扶養人口は少ない『人口ボーナス』を活用して成長を維持することができた。今は世界で最も速い速度で仕事をする人が減り『人口オーナス』を心配する境遇だ」

26日、ソウル大韓商工会議所で開かれた「第1次産業大転換フォーラム座長会議」では韓国産業の現実に対する赤裸々な診断と解決しなければならない課題があふれた。

(中略)

参加者たちは半導体、ディスプレイ、バッテリーを除いた韓国の主力産業が後発走者である中国の追撃に直面し、主力輸出市場である中国ではメモリ半導体など少数製品だけが辛うじて競争力を維持していると批判した。対中貿易収支が2018年から持続的に減少し、半導体を除いた対中貿易収支は2018年の180億ドル黒字から、2022年に240億ドル赤字に転換された。半導体産業の好調による「錯視効果」があるだけで全産業で競争力が押されているというのが会議参加者の診断だ。

(中略)

同日の会議では、韓国産業の危機要因として▲人材減少▲急速な海外投資増加による産業空洞化への懸念▲後進的な企業環境▲新たな成長動力の不在▲グローバル対外環境などを挙げた。

特に少子高齢化で働く人が減る状況に対する憂慮が大きかった。現在、韓国の生産年齢人口比重は全体の71%だが、2040年になれば56.8%に減ると見通される。これと関連して学会では生産年齢人口は減り、扶養人口は増え、経済成長が停滞する「人口オーナス」が発生するという憂慮が出ている。

さらに国内で養成された核心人材が米国や中国などに急速に流出している状況だ。国内人材に代わる外国人材の流入も順調ではない。

(中略)

対立的・後進的労使関係による企業経営支障に対する難関も飛び出した。ある出席者は「米国、EUは自動車工場の誘致・建設に死活をかけて迅速に進めている反面、国内では久しぶりに自動車工場の新設決定にも関わらず、労使協議などで速度感のある工場設立が行われていない」とし「労使の過激なストライキと職場占拠は経済全体に甚大な被害をもたらし、重大災害処罰法など刑事処罰にまでつながる脅威的な企業環境は起業家を委縮させる」と指摘した。

(中略)

技術開発と関連してはR&Dが実際の事業化にまともに寄与できない「コリアR&Dパラドクス」が固着化したという指摘が出てきた。「半導体、バッテリーなど一部の先端産業を除いては全般的に日米の技術水準に達しておらずAI、量子など未来戦略産業の核心時術はむしろ中国が圧倒的にリードしている」ということだ。


(後略)



朝鮮Biz「“‘잃어버린 20년’…산업 구조 개선 않으면 10년 후 대위기”(「『失われた20年』...産業構造を改善しなければ10年後の大危機」)」より一部抜粋

生産構造改善云々と言っていますが、「10年後の大危機」としているように、一番重きを置いているのが人口問題ということが分かります。

最近発表された11月の人口動向によると出生児数は1万8982人で、統計作成が始まった1981年以降、最も少なかったことが分かりました。ひと月前の10月は2万658人でしたので、初めて2万人ラインを割り込んだことになります。

2022年時点の韓国の生産年齢人口比重は全体の71%となっています。これが今の出生率でいくと、2040年になれば56.8%(-14.2%)に減ります。
中国はこれが現在69%、2040年には62.9%(-6.1%)、米国は64.9%→61.5%(-3.4%)、日本は58.5%→53.8%(-4.7%)です。2040年時点でも日本よりは韓国の方が高いですが、-14.2%という急激な減少幅は経済的・社会的影響が大きいでしょう。経済は間違いなく委縮しますし、社会保障システムも崩壊しかねません。



*1:原文「문재」。これは「文才」との意味になるので「문제(問題)」の誤字と思われる。

基準金利は下がってないのに貸出金利が下がっている話

昨年下半期、急激な基準金利引き上げを受けて韓国の市中銀行では預金金利引き上げ合戦が起こっていました。
そこにレゴランド事態に端を発した債券市場の凍てつきが起こると、11月には韓国金融当局が銀行に資金が集まりすぎることを防ぐために「預貯金金利引き上げを自重せよ」と要請しました。
そして今度は「貸出金利引き上げを自重せよ」と要請したとのことです。

 



ソウル経済の記事からです。

ヨンクル族、ようやく一息つけるか…住宅担保融資6%台に下落の見通し


最高8%台を超えた市中銀行の変動制住宅担保貸出金利が7%台に下がった。韓国銀行の基準金利引き上げにもかかわらず各銀行は金融当局の圧迫に加算金利を引き下げるなどして貸出金利を引き下げたためだ。

(中略)

24日、記入化によるとKB国民、新韓、ハナ、ウリ銀行など4大都市銀行の変動型住宅担保貸出金利20日基準で年4.600~7.148%水準だ。2週間前の6日(年5.080~8.110%)に比べ上限が0.962%ポイント、下限が0.480%ポイント下落した。

4大都市銀行のうち現在変動型住宅担保貸出金利の上限が7%を超えたところはハナ銀行とKB国民銀行だ。しかし両行とも旧正月連休直後に貸出金利引き下げが予定されており、今週中に金利上限が6%台に下がるだろうという見通しが優勢だ。

(中略)

市中銀行は貸出金利引き下げに積極的に乗り出したのは預貸金利差縮小を要求する金融当局と政界の圧迫が効果を上げたという分析だ。ある市中銀行関係者は「銀行の立場での適正預貸金利差は1.2~1.5%水準だが、現在4大銀行はそれに近いかそれ以下」として「だが、当局が金利引き下げを持続的に要求し収益と直結する加算金利を下げる形で追加引き下げを検討している」と話した。

ここに韓銀が今月基準金利を0.25%引き上げたが、市中金利が下方安定傾向を見せているのも銀行の貸出金利引き下げに影響を与えた。実際、変動金利の基準である資金調達費用指数(COFIX・COFIX)が昨年12月の預金金利下落などを反映し、今月17日から0.050%ポイント(新規取り扱い額基準)下がった。資金市場が昨年対比安定する姿を見せ、債券金利も下落している。

(中略)

もう一つの変数は預金金利だ。貸出金利の引き下げとあいまって預金金利も下落している。1年満期定期預金は主に銀行債1年物金利を反映して策定されるが、最近債券金利が下落し市場で少ない調達費用で資金を集めることができるだけに、銀行が預金金利を引き上げる誘引が減ったためだ。しかし預貸金利差の縮小を要求する金融当局と政界の圧迫に一部の銀行は預貯金の金利引き上げを検討し今後変動型貸出金利に影響を与えかねないという指摘も出ている。預金金利の引き上げは変動型住宅担保貸出の準拠金利であるコフィックスの上昇を招きかねないためだ。



ソウル経済「영끌족 드디어 한숨 돌리나…주담대 6%대 하락 전망(ヨンクル族、ようやく一息つけるか…住宅担保融資6%台に下落の見通し)」より一部抜粋

記事へのコメントは紹介しませんが、この措置に対して概ね好評です。「金融機関は天文学的な利益を上げている」との認識がその根底にあるようです。
ごく一部に「市場に逆らう官製金融による被害は結局国民に跳ね返る」とのコメントもありますが、ほぼ無視されています。



イラン外務省、「イランはUAEの敵」発言に対する韓国の対応「不十分」、凍結資産返還措置に関しては「努力に満足していない」という話

ユンさんの「イランはUAEの最大の脅威(オブラート)」発言に対してイランの外務省報道官が定例記者会見の場で韓国の対応を「不十分」としました。19日に韓国外交部の次官が駐韓イラン大使に「将兵激励のための言葉で他意は無い」と説明したらしいので多分そのことです。(ユンさんの発言が16日だったので3日放置してたことになりますが...)

 



韓国日報の記事からです。

イラン「韓国、過ちを正す意志を見せたが不十分」


(前略)

23日(現地時間)、イラン国営IRNA通信によると、ナセル・カナニ外務省報道官は同日の定例記者会見で「テヘランとソウルで我々は真剣な立場を伝えた」とし「対話で韓国政府は過ちを正す意志を示した」と述べた。その一方で「我々の観点から(韓国政府の)措置は十分ではなかった」と付け加えた。

これに先立ちイラン外務省は18日、ユン・ガンヒョン駐イラン大使を招致し「韓国大統領の発言は(中東諸国の)友好的関係を妨害し、地域平和と安定を害するのと同じだ」と遺憾の意を表した。チョ・ヒョンドン外交部第1次官も翌日の19日、駐韓イラン大使を招致しユン大統領の発言は「UAEで任務遂行中の韓国将兵に対する激励のためであり、韓・イラン関係などイランの国際関係とは全く関係がない」と説明した。

カナニ報道官は同日、韓国政府に凍結資金返還の約束を履行するよう重ねて促した。彼は「凍結資金問題を解決するための韓国政府の努力に満足していない」とし「韓国内のイラン資金は両国の他の懸案と関係なく返還されなければならない」と話した。

(中略)

イランはこれに先立ちユン大統領の最近の核兵器製造の可能性についての発言を取り上げ「これは核拡散禁止条約(NPT)に反する」と釈明も要求している。

(後略)



韓国日報「이란 "한국, 실수 바로잡으려는 의지 보였지만 불충분"(イラン「韓国、過ちを正す意志を見せたが不十分」)」より一部抜粋

凍結資産70億ドルを耳そろえてきっちり返したら「詫び金」として受け取ってこの件はチャラにしてくれる可能性もワンチャン...今度は米国に大目玉食らうことになるでしょうけど。
イラン側にソレはソレ、コレはコレとして「両国の他の懸案と関係なく返して当然」と言われてしまったらドンマイ。


うっかり「独自核保有」を示唆した件も突っ込まれていますね。
ユンさんの真意は分かりません。個人的にこれは「可能性を開けておいた」的な意味で言ったと思ってはいるんですけど、それにしてもスキの多い不用意発言です。この人、よく足元すくわれずに検察総長にまで上り詰められましたね。




記事へのコメントは405件。反応は「良い情報:61 興味深い:4 非常に共感:11 良い分析:2 続報期待:35」です。

「黙っていればいいものをアホくさいね、マジで」(共感342 非共感69)

「パク・クネは人に言われたことは良くやった。でもこいつは他人がやらせたら勝手にする*1から、それがもっと問題」(共感154 非共感18)

国家元首か?国民の仇敵か?」(共感127 非共感20)

「考えなしに吐き出したあの酷い言葉で国がこれは何なのか...ただ口を閉じていれば何でもいいのに、だれがだれに敵だと言うのか…国民の敵はユンだ」(共感100 非共感12)

「ムン無知は国内向けに恥ずかしい方がマシ。こんなのをどこか他所に出すのはやめよう。国内だけで恥ずかしい方がいいよ。国際的に恥をかくとと輸出企業は被害を受ける」(共感33 非共感3)

韓国語では「仇敵(怨讐=원수)」と「元帥(원수)」が同じハングル表記です。
どっちの意味かなぁ~と考えたのですけど、恐らく「元首」と「仇敵」で並べてWhich?的な文だろうと思います。



*1:=言われた通りにしない

韓国輸入車販売量歴代最大、ロールスロイス、ランボルギーニ、ポルシェ…高級車のほどんどが「法人名義」という話

去年の韓国での輸入車販売量は2003年に統計が取られ始めてから歴代最大だったことが分かりました。前年比2.6%増の28万3435台で、特にドイツ車が人気だったようです。
また、1000万円台クラスの高級車も7万台以上(前年比20%増)、1500万円台クラスも2万台以上(前年比27%増)売れているとのことで…家計負債で大騒ぎしているのに、なんか変じゃないですか?
実はコレ、ほとんど「個人車」ではなく、7割ほどが「法人車」として登録されているそうなんです。

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韓国の民主労総幹部、北朝鮮スパイ容疑で家宅捜索の話

韓国の民主労総の前・現職員複数名、それも幹部が北朝鮮工作員接触した「国家安保法違反」の疑いで捜査されています。民主労総はサード配置撤回や韓米同盟撤廃などの政治的なデモや集会も支援している団体です。

また、韓国国情院は民主労総幹部が北の工作員接触を持っていることをかなり前から把握していたようです。現状でオープンになっている情報では2017~2019年にかけてカンボジアベトナムで、対南工作部署とされる文化交流局と接触していたことが分かっています。
ちょうどムン政権の時期です。政府はこのことを知っていながら北の顔色を窺って放置していたのでは?そんな批判まで上がっています。

 



MBNの記事からです。

国民の力「スパイを故意に放置したムン・ジェイン政府に責任を問うべき」


民主労総幹部がカンボジア朝鮮労働党に加入したというメディア報道と関連し、国民の力は「ムン・ジェイン政府の5年間、大韓民国の実際の大統領は誰だったのか?」とし、いわゆる「スパイ団浸透」疑惑の責任が前政権にあると声を高めました。

チャン・ドンヒョク国民の力院内報道官は今日(22日)論評を出し「民主労総が朝鮮労働党の指令を受けて動いたとは、衝撃を超えてぞっとする」と批判しました。

先立って民主労総幹部がカンボジアプノンペンのあるホテルで北韓朝鮮労働党に入党した様子が捉えられ長時間の工作教育を受けたと推定されるという報道が出ました。

これに対しチャン院内報道官は「事実なら明白な利敵行為だ」とし「機会があるたびに『韓米連合訓練の中止』『韓米同盟の解体』を叫び、ユン・ソンニョル政府の退陣を叫んだ理由も明らかになった」としました。

さらに「より大きな問題はムン・ジェイン政府の国情院はこうした内容の報告を受けたにもかかわらず金正恩第一書記の期限をうかがって捜査を黙殺したことだ」とした上で「これははるかに深刻な利敵行為だ」と指摘しました。

(中略)

一方、今月18日に警察と国家情報院は民主労総幹部が北韓と関連したいわゆる「地下組織」に加担した疑いを捜査し、民主労総本部を家宅捜索しました。

民主労総組織局長のA氏など前・現職組合員4人の国家安保法違反疑惑が令状に適示されました。

警察は彼らが2016年から3年間、カンボジアベトナムなどで北韓工作員に会って指示を受け、金品を受け取った可能性があると疑っているということです。

(後略)



MBN「국민의힘 "간첩 고의 방치한 문재인 정부에 책임 물어야"(国民の力「スパイを故意に放置したムン・ジェイン政府に責任を問うべき」)」より一部抜粋

別ソース(中央日報)によると、2011~2016年の6年間のスパイ摘発件数は26件だったのに対し、2017~2020年の4年間は3件に激減しています。期間が違いますけれど、ざっくり年平均にすると4.3件と0.7件です。5倍以上違います。
これではムン政権が南北関係に執着するあまり捜査を縮小したと批判されても仕方ないかもしれません。



「独自核保有」から一転「現状、NPT体制尊重が現実的」という話

ちょうど一週間前に、ユンさんが11日の国防部の業務報告の席で「独自核保有推進」を匂わせるような発言をしたことをお伝えしました(こちら)。記事の発言内容を部分は、「北朝鮮の挑発行為がこのままエスカレートした場合、(最悪)核保有という可能性も(あり得なくはない)」くらいのニュアンスに私には読めたのですけれど、「独自核保有」という発言ばかりが独り歩きして大騒ぎになりました。

昨日公開されたWSJとのインタビューで今度は「NPT(核拡散禁止条約)体制尊重が現実的」と話しました。
ユンさんとしては間違ったことは言っていない…単に「そういうことも可能」という選択肢の一つを提示したつもりだったのでしょうから、「現状は米国の核の傘で十分だ」は何の矛盾も無いでしょう。
しかし「独自核保有推進」で大騒ぎした人たちからすれば、たった一週間で態度が変わったと映ります。WSJも「過去の発言を和らげた(dial back)」と報じていますが、同じ理由でしょう。(dial backは論点や視点を過去に「戻す」の意味がある)

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