EUさんが季節時間制度を廃止する方向で調整中な話

前々から議論されていたことですが所謂「サマータイム」と呼ばれる、日照時間に時計の針を合わせる制度をEUが廃止するようです。

日本では逆に、東京オリンピックに向けて「サマータイム導入検討」なんてニュースになったりもしましたけれども…実際はサマータイム制度というのは問題も多く、効果が疑問視されています。

仕事で必須のシステムの参照している時刻が日本との時差6時間と7時間で行ったり来たりしています。
流石にもう慣れました…と言いたい所ですが、今でもたまに「あれどっちだっけ?」と混乱します。ですので廃止は嬉しいニュースです。


サマータイム導入の目的と効果


緯度が高く、夏の日照時間が長い地域において太陽が出ている時間を有効活用するために標準時を1時間(場所によっては30分)早める制度です。


切り替えのタイミングは11月と3月で、11月の第1日曜〜3月の第2日曜までが冬時間、3月の第2日曜〜11月の第1日曜までが夏時間となり、夏時間の方が長くなります。

今年は3月10日から既に夏時間が適用されています。


欧州と米国で何度か試験的な導入と廃止を繰り返し、欧州でサマータイムが毎年実施されるようになったのは1976年からです。(米国は1986年から)


導入の最も大きな目的は資源節約と言われています。

実際、導入当初フランスで効果を発揮し、1980年にドイツが導入した際はオイルショックによるエネルギー節約が目的でした。

その後、現在まで制度として引き継がれています。


なぜ廃止するのか


一番の理由は単純に不評だからです。

特に健康面への悪影響が指摘されています。

なにせ、ある日を境に突然、時計が1時間早まるわけです。
始業が1時間早くなるなら、当然起床も1時間早くなります。

人間の身体は急な変化には対応できませんから、体調を崩します。

就業時間はそのまま、という選択肢はありません。それこそサマータイムの意味がありませんからね。

そうした健康面への影響が交通事故増加心臓発作のリスク上昇という形で現れています。


廃止案


このほど欧州議会で、2021年にサマータイムを廃止するための投票が行われました。
その結果、賛成192票で採択されました。


ただし全面廃止ではなく、各国の裁量で 「夏時間」「冬時間」いずれかを選択できる余地 が残されました。

つまり、季節ごとに時間を変えるのではなく、どちらかに原則固定はするけれども、どちらを選択するかは各国に選択権があるよ、ということですね。

もしフランスが「夏時間」を選択し、イタリアが「冬時間」を選択した場合、本来時差のない2カ国に1時間の時差が生じる、ということになってしまいます。

各国に選択の自由を残しつつも、欧州議会はこうした混乱が起こらないよう、各国間で調整することを期待している、としています。


実は日本でも導入されていた


結構有名な話ですけれども、1948年〜1951年まで日本でも導入されていました。

ところが、残業増加や寝不足問題から不評を呼び、サンフランシスコ講和条約を経て主権を回復した直後に打ち切られました。

英断です。

「明るい時間を有効に使える」
「日の出とともに起きるのは昼行性の生物に適している」
「活動時間が増える」

などと、それらしいことを言われますが、生活リズムがある日突然、強制的に1時間繰り上げられたら、そらシンドイですよ。