不二越さんの資産売却手続きの話

昨日は韓国元徴用工(自称)原告団による日本製鉄さんの資産売却の話でしたが、今日は不二越さんです。


対象となっている不二越の資産


日本製鉄さんのときと同様、韓国企業との合弁会社の株式が狙われました。
ターゲットになったのは、大成産業との合弁で1988年に設立された大成・NACHI油圧工業です。

産業機械用油圧バルブを生産している企業です。
持株比率が分かりませんでしたが、大成グループ傘下に入っているので、不二越さんの持ち分は過半数以下と思われます。


不二越さんのHPでは、2004年度から油圧バルブの一部を生産移管し、グループ全体での生産設備の有効活用、生産効率の向上をすすめるとあります。
が、大成・NACHI油圧工業さんの方では「2004年には、その技術力と品質レベルが製品を輸入している日本のNACHI不二越によって認められ〜」という記述が見られます。

不二越さん側は大成・NACHIさんを傘下のグループ企業のように扱い、一方の大成・NACHIさん側はあくまで取引先企業のような言い方です。
不二越さんは良いように技術移管させられたのかもしれませんね。


3月26日に不二越さんの資産が差し押さえられた際の報道では、原告は元女子挺身隊(自称)の23人。
差し押さえ資産は7億6500万ウォン(約7300万円)相当とされています。


やはり非公開株


大成・NACHIさんも前回のPNRさんと同様、非上場企業で、不二越さんが持っている株も非公開株です。
当然、譲渡制限がついているでしょうし、やはり売却は困難だと思われます。


現金化の最も高い可能性は、当事者が買い取ることです。


日本政府はどこで動くべきか


日本政府は報復措置のトリガーを「日本企業に実質的な損害が出たら」としてきました。
問題は 「売却手続き」を実質的な損害と見なすべきなのかということです。


「見なすことが出来るのか」という問であればYesだと思います。
が、「べきか」と問われると、少し考えた方が良いかもしれません。

というのも、実際の売却に入る前であれば、こちらが報復措置に出た途端、相手方に「まだ交渉中なのに」と居直る口実を与えてしまうことになるからです。

それを「売却準備=実際の売却と同義」として扱うのであれば、終始一貫してその定義を押し通す必要があります。

そのための準備と計画が既に日本政府内にあるのかどうか、というところが重要になってきます。

始めてしまったら、中途半端には止まれなくなると思います。
日本への経済的な影響も当然あります。
それを押しても報復措置を進めるべきなのか、また報復措置による社会的・経済的な影響の大きさはシュミレートできているのか、政府内・経済界のコンセンサスは取れているのか、というようなところが問題になります。


報復は日本の首を締める、は本当か


韓国に報復措置を取ることや、韓国と距離を取ることは日本自身が自らの首を締めることになる、とそれが最も避ける道であると信じている人たちがいます。

韓国の大手メディアなどは危機感からか「日韓は離れられない夫婦」というような(気持ちの悪い)記事を書くことがあります。


短期的にはそうかもしれません。
でも長期的に見ればどうでしょうか?


むしろ歴史的には、日本と朝鮮は「お隣だけど見かけるだけで挨拶すらしない」時期の方が長かったわけですし、歴史認識、徴用工、慰安婦、対北対応、レーダー照射...etcといった爆弾を多く抱えている間柄であります。

無理に仲良くせずに顔を合わせたらせいぜい「こんにちは」って挨拶するくらいが丁度良い距離感かもしれません。
隣近所だからって、お醤油貸し借りしたり夕飯お呼ばれしたりする「ベッタリ」な関係である必要はないわけです。
ましてや夫婦なんて…尊重し合えない相手とはゴメンです。


投資用語に「損切り」という考え方があります。
現在マイナスになっている銘柄を思い切って処分することを言います。


ずっと持ち続けていれば、いつかはプラスになるかもしれないけれど、それがいつか分からない、逆にずっとマイナスかもしれない、という銘柄は利益を産みません。
逆にそうした銘柄を抱え続けていることは大きなリスクになります。相場が急変してマイナスがより膨らむかもしれないからです。
損失が限定的なうちに処分してしまう必要があるのです。
そうすることで残りの資産を守れます。


こうした考え方は一種のリスク管理です。
経営者が赤字部門を整理するのと感覚的には近いものがあります。

良い経営者と良い投資家の特徴はよく似ています。
どちらも「損切り」が巧いことです。


日本にとって韓国は「損切り」対象銘柄だと思っています。
韓国は「時々プラスになるけれども、相場環境(国内政治環境)によってはマイナスがより膨らむし、そもそもが下降トレンド(歴史認識において)の国なので、買いポジションは不利」なわけです。
さっさと反対売買(売り決済)を掛けて損切ってしまいましょう。

当然、損切りなので損失が出ますがリスクを抱え続けていくよりずっと安全です。
日本は良い経営者(投資家)になりましょう。