アメリカさんが対中関税率を25%に引き上げた話

米中の話し合いは結局合意に至らなかったようです。
10日の日本時間午後1時1分に追加関税が発動され、約5700品目に対して関税率が25%に引き上げられました。
対象は電子部品から家電製品、日用雑貨、食料品と多岐にわたっています。
関税引き上げ後に中国を出発する便、またそれ以前に出発していたとしても到着が6月1日以降になるものから適用されるとのことです。


世界経済への影響

様々なメディアが様々な見方を報道しています。

GDPについて、米国0.3%、中国は0.8%減少する、というレポートもあれば米国は0.8%、中国は1.5%減少、との見方もあります。
が、総じて「影響は限定的」との意見が目立つ気がします。

それは恐らく、両国ともこれで終了ではなく、今後も協議を継続していくことで合意しているためだろうと思われます。

10日金曜日の午後の市場の動きが比較的落ち着いていたのは「交渉決裂回避」によるものでしょう。


日本企業への影響

日本への影響も「限定的」との意見があります。

もちろん、どう見るかによって見方は変わりますが、数年前から中国は人件費の高騰で「生産拠点」としての魅力を失いつつありました。
そのため中国国外へ生産工場の移管が進んでいたメーカーにとっては、さほど影響はないのです。


問題は中国企業へ「部品」を輸出している企業への影響が不透明ということです。
中国企業がその「部品」で作った製品を米国へどの程度輸出しているかによるからです。

更に、中国企業の業績が低迷し中国経済が不景気になると、消費が冷え込みます。
そうなると、日本の中国向け産業(特に自動車など)への影響が大きくなります。


どの程度の影響が出るかは始まってみなければ分からない、というのが正直なところだと思います。


市場は割と楽観的

本気でやりあえば米中は潰し合いになります。
それは望むところではないでしょう。

トランプさんは繰り返し関税引き上げは米国の利益となり、中国がその費用を支払うことになると示唆していますが、そんな単純な話でないことは恐らく彼が一番分かっているはずです。
「中国との交渉を継続する」という方針を述べたことがそれを証明しています。
※実は最近、中国の貿易国が多様化していきています。下手をすると米国のほうが大火傷になるかもしれません。

実際に指標に影響が出てくるのは早くとも2〜3ヶ月後になります。
どこかで「落とし所」を探ってくると思われます。


ですが、Brexitに見るように誰もが「起こり得ない」と思っていたことが起こることがあります。
油断は禁物です。