拒否されることが分かっていた?「日韓企業基金」提案の話

徴用工問題に対して、19日に韓国政府が正式に「日韓企業基金案」を提示してきました。
日本と韓国の企業が自主的に資金を出し合う形で財団を設立し、慰謝料を支払おう、というものです。

内容もさることながら、8ヶ月もだんまりを決め込んでおいて、今更何を言っているのか、という感じです。
日韓基本条約に基づく仲裁委員の要請のタイムリミットを迎えてからようやく出てきたのがコレかと思うと、私が考えていた以上に事の重大さが分かっていなかったようです。
日本は一貫して「国際法違反状態」を主張しているのに、韓国はずっとお金の話しかしていません。

解決する意思がなく、先延ばしにしたいだけなら成功です。それが賢い選択かどうかはともかく。


そもそも今回の「日韓企業基金案」は賠償判決が出てからしばしば韓国メディアで専門家が言及していた案です。
韓国政府自身が今年の1月26日の時点で基金設立に否定的な立場を示し、 大統領府の報道官が「発想自体が非常識」 とまで言い切った案です。(参考)

なぜここに来て取り上げる気になったのか、またこの提案に対して日本側が事前に「拒否」していたにも関わらずわざわざ発表したのか…。


私の中の今までの韓国政府の事態把握能力、統制能力、問題解決能力を下方修正して考えてみると、韓国政府はこの提案を日本側が「受ける」と本気で思っていたのかもしれません。

G20直前まで引き伸ばして提案することで電撃的に事態が好転、日韓首脳会談を経て国内外から拍手喝采を浴びる輝かしい未来を本気で夢想していたのではないかと思われて、薄ら寒い気分に襲われました。

何も解決策が思い浮かばず、拒否されることは分かっていたけれども「対応しています」というアリバイ作りのために出してきた案(韓国メディアの報道)だった方がなんぼかマシに思えます。