輸出制限という事実上の制裁の話

韓国への半導体材料の輸出制限が7月4日から始まります。
もちろん、徴用工問題での対抗措置としてのものです。
私はこれを「何もしない韓国さんへの事実上の制裁」と見做しました。

日本は現在、第三国に仲裁委員選定を依頼するフェーズに移行しています。ですが、韓国側が同じく第三国に委員選定を依頼しなければ進めません。
明らかな約款違反ですけれど、現状の国際法違反状態を是認している韓国さんですから、その程度を気にするとは思えません。
日本側は準備していた次のカードを切ったということだと思います。


日付 日本 韓国
2018/10/30
日本製鉄への賠償命令判決
日韓請求権協定により解決済みに立場 司法の判断尊重を表明
2019/01 請求権協定に基づく2国間協議の要請
返答期限30日以内
協議要請に対して綿密に検討、との立場(その後、4ヶ月以上応じず)
30日以内の返答期限設定には「一方的」との反発
2019/05 仲裁委員会の設置を要請 30日以内の仲裁委員選任義務を守らず
2019/06 第三国による仲裁委員選定を要請 日韓企業共同出資による基金設立を提案


こうやって見ると事実上、韓国は何もしていないことがよくわかります。
同時に物事が動いているようで動いていないことも。

基金設置の提案は前も確認しましたが、韓国政府自身が今年の1月に「ありえない」と断言していたものです。
それを半年近く経ってから持ち出すとは…記憶喪失でしょうか。


輸出が制限されるのは、フッ化ポリイミドレジストエッチングガス(高純度フッ化水素の3種類です。
フッ化ポリイミドとレジストは日本が世界シェアの約9割、エッチングガスは約7割を占めているそうなので、代替えを見つけるのは難しいはずです。

それと同時に先端材料の輸出制限も掛けられます。
これは公表から1ヶ月猶予を設け、8月1日から適用されます。
2004年(平成16年)以降、韓国は輸出許可の申請が免除されるホワイト国に指定されていましたが、その指定が取り消されます。
今後は出荷毎に個別に申請し、輸出許可を得る必要があります。

経産省が5月時点で公開しているデータでは、次の品目が先端材料に指定されています。

ふっ素化合物製品/ 芳香族ポリイミド製品/ チタン・アルミニウム合金成形工具/ チタン・ニッケル等の合金・粉、製造装置等/ 金属性磁性材料/ ウランチタン合金・タングステン合金/ 超電導材料/ 潤滑剤/ 振動防止用液体/ 冷媒用液体/ セラミック粉末/ セラミック複合材料/ ポリジオルガノシラン・ポリシラザン他/ ビスマレイミド・芳香族ポリアミドイミド他/ ふっ化ポリイミド等/ プリプレグ・プリフォーム・成型品等/ ほう素・ほう素合金・硝酸グアニジン他


申請に「許可」を出すかどうかは日本政府の胸の内一つで決められます。
恐らく最も効果的なフッ化ポリイミド、レジスト、エッチングガスの3種類に輸出制限を掛けて、それ以外は許可を出し、次のカードとして取っておくのじゃないでしょうか。

正直なところフッ化ポリイミド、レジスト、エッチングガスの3つ以外はどの程度影響があるか分かりませんが、これだけでも日本の本気度が伺えます。