昨年11月に解散が発表されていた「和解・癒やし財団」の解散登記が完了しました。
日本側は当然、抗議しています。国家間合意が不履行になったのですから当然です。
2015年12月28日の日韓合意を受けて、被害者本人については1億ウォン(約900万円)、遺族については2千万ウォン(約180万円)の支給という事業計画でスタートしましたが、日本が拠出した10億円のうち、半分の約5億円が使い道未定のままです。
公式サイトは日本語はおろか、英語もなく韓国語のみなのですが、そこも最近はほとんど更新されていません。
財団の活動を知らせる案内は2017年の夏で止まっています。
ムン・ジェイン政権発足後、財団の運営事務費の支援が途絶えたためだろうと思われます。
かろうじて韓国政府が公式に認めた慰安婦の生存者数のみ2019年4月時点まで更新されています。
ですが、事実上2017年7月に理事が辞任した段階で活動停止していたと見られます。
現時点で日韓合意に基づいた現金の支給状況を確認できる財団公表の資料は、2017年7月27日にアップされた「화해・치유재단 설립 1주년을 맞이하여(和解・癒やし財団設立1周年を迎えて)」という文書*1が最後です。
これによると2017年6月30日までの事業推進実績として次のようにまとめられています。
個別の被害者対象事業推進現況
受容人数は、日韓合意に基づく給付金支給の申込みを財団に行った人数であり、謂わば日韓合意を支持した慰安婦の人数と言えます。
生存者47名中、半数以上の36名(審査中含む*2)が日韓合意を支持しています。
「被害者である慰安婦女性の意見は消されたまま一方的に進められたものであり、慰安婦問題を根本的に解決できない」という名分のもと、韓国政府は財団の解散を進めていましたが実際はほとんどの被害者本人が支持しています。
遺族の所在確認中の人数が多いのは、死亡遺族の所在を確認するために必要な公文書の閲覧許可が出なかったためです。
個人情報保護という観点がありますが、本当に被害者・遺族の救済が目的であるのなら、特例法を整備して支援するのが普通です。
ムン・ジェイン政権は非協力的なばかりか、財団の活動を妨害していたわけです。
慰安婦財団ですらこんな形なのに、徴用問題で基金が上手く機能するとは思えません。
前の政権の行ったことを「否定」から入るのが韓国の常です。
次の政権になったらまたひっくり返されて、1〜2年後には解散させられるのが関の山です。
*1:hwpという韓国内独自の文書フォーマット。ハンコムオフィスが提供しているHwp 2014 Viewerというフリーソフトを使えば閲覧可能。http://www.hancom.com/
*2:財団が公式に公開している資料がここで終わっているため、審査中だった2名について支給が行われたのか確認できず。ただし、給付金申請を行っている以上、合意を支持したものと思われる。