慰安婦像だから侮辱罪が適用された(?)話

韓国の京畿道・安山(キョンギド・アンサン)に設置されている慰安婦像にツバを吐きかけた人が、周辺の市民と口論になり、そのうちの1人が日本語を使ったことから警察には「日本人と思われる男性4人が像にツバを吐き、市民と口論になっている」と通報されたそうです。
警察が到着する頃には4人はその場から離れていたそうですが、現場付近の防犯カメラ映像を元に2人の身柄が確保され、残りの2人にも出頭命令が出ています。


で、捕まえてみたところ、これが全員韓国人だったそうです。
笑い話のようで全く笑えません。
20〜30代で、酔った勢いでツバを吐きかけ、市民と口論になると「日本語が話せたので日本語を使った」という訳のわからない理屈を述べているそうです。

よく冗談で「韓国人は海外で悪いことをするときに日本人のフリをする」なんて言いますが、冗談じゃなかったんですね。というか、韓国国内でもやるんですね…。
それとも日本人の気持ちを代弁してくれたつもりなのでしょうか?余計なお世話ですけど。唾吐きなんて下品な事したいとも思いませんけど。


韓国には侮辱罪があります。
日本にもありますが「事実を摘示しないで、公然と人を侮辱すること」です。
今回のようなツバを吐きかけるだけの行為に適用するのは無理があります。
日本だと器物損壊とか迷惑行為防止条例などが適当でしょうかね。


ところが、韓国の警察はツバを吐いた対象が人ではなく造形物であったとしても侮辱罪適用が可能とみているそうです。
これが慰安婦像でなくても侮辱罪が成立したかは疑問です。
昨年、マッカーサー像に火を付けた牧師は侮辱罪ではなく、集会およびデモに関する法律違反の容疑で逮捕されています。


名誉毀損と侮辱罪、同じようで違う

警察は「過去少女像に『杭テロ』を行った日本極右活動家に対し名誉毀損容疑を適用して起訴したのと同じ概念」と説明したそうです。


「杭テロ」とは、2012年に鈴木信行氏が慰安婦像に「竹島は日本固有の領土(타캐시마는 일본땅*1)」という杭を縛り付けた行為のことです。
彼の行為の是非はここでは触れませんが、この件と尹奉吉(ユン・ボンギル)を「テロリスト」と言ったことについて、慰安婦に対する名誉毀損と尹某に対する死者名誉毀損で訴えられています。


ところで、韓国の刑法では名誉毀損を成立させるためには「事実の摘示」が必要になります。
ざっくり言うと「事実である」と断定したかどうかです。

鈴木氏は慰安婦像に「竹島は日本固有の領土」という杭を取り付けはしましたが、慰安婦に関する「事実の摘示」は行っていません。
にも関わらず、それを慰安婦に対する名誉毀損で訴えるのは法律運用として随分無茶があるように感じます。
日本だと、やっぱり器物損壊レベルです。(余計なオプション()を付けたということで)


「杭テロ」という言葉についても、この程度の行為を「テロ」と認定するのに、 爆弾を投げつけ何人もの人を殺害した人物を「テロリスト」と認めないことの方が歪んでいると思います。

日本人が慰安婦像に「何か」した、というだけで名誉毀損が適用されたのではないかと穿った見方をしてしまいます。
同じ慰安婦像が対象であっても、加害者によって恣意的に刑罰が運用されている可能性すら疑ってしまいます。
これが法律より上位に君臨するという「国民情緒」のなせるわざなのでしょうか。


*1:原文通りに表記しているが、スペル間違い。竹島は本来「다캐시마」と表記するのが自然。直訳は「竹島は日本の地」。