「徴用被害者」という言葉を拡大解釈して便利に使いすぎている話

徴用工問題に関して、原告側は三菱に協議に応じるよう求めていましたが、期日までに三菱側から回答を得られなかったそうです。
そうした中で、中央日報さんが「なぜ韓国にだけ強硬なのか」と2015年の事例を引き合いに出して自問自答しています。


記事の中で、2015年7月、戦時中に三菱の炭鉱で強制労働させられたという米国人に対して、三菱マテリアルの取締役が公式に謝罪し、翌2016年には中国で約3765人の強制労働被害者への補償を行ったことに触れています。

三菱がこのように日本政府をバックにして韓国人強制労役被害者に対して補償どころか頭さえ下げないでいるが、3~4年前に米国や中国など列強の被害者にはすでに謝罪と補償を約束した。「ダブルスタンダード」だという非難が絶えない理由だ。

だそうです。
「なぜ唯一、韓国にだけ強硬な姿勢を取っているのか」については、保坂氏の言葉を引用し 「過去、日本が朝鮮を合法的に占拠したので当時朝鮮人は日本人と同じだったという立場」 としています。


戦時徴用者と募集工と戦争捕虜の強制労働の違い

確かに、当時は日本人だったのですから戦時徴用は戦争犯罪でもなんでもないというのもその通りなのですが、今問題になっているのは戦時徴用だけではありません。
仮に韓国が「そうしたい」と願っているように日本による統治を無効と考えた(彼らは当時、日本人ではない、とした)場合にも、韓国への賠償は必要ありません。


半島に国民徴用令が適用された期間は1944年9月から1945年3月までの7ヶ月間のみ*1です。
その期間に徴用された人達だけが戦時徴用(労務動員)者です。
仮に仮に、日本による統治を「無効」としても、この人達への賠償は日韓基本条約により、日本・韓国双方が「外交保護権の放棄」をした時点で解決しています。


1944年9月以前の人達は全員募集工なのです。
企業の求人広告に自主的に応募して就職活動をして採用された人です。
半島が日本統治下だったか否かに関係なく賠償の対象外です。何しろ、自分の意思で就活したのですから。

これが強制労働となるのであれば、外国で就職した人達は全員強制労働者ということになります。
今現在、日本で就職し働いている韓国の若者たちは数十年後に「第二の徴用工」として訴訟を起こすものと見なさなければならなくなります。


一方で、戦争捕虜の待遇はジュネーブ条約に規定があります。
その中で戦争捕虜への強制労働を禁止しています。
三菱が謝罪したのは、第二次大戦中に日本軍の捕虜となった外国人兵士が強制労働させられた場合なので、韓国が主張している徴用工とは立場が全く異なります。

これに対して「ダブルスタンダード」という発想が出てくること自体、色々と認識がズレていますねぇ。


*1:1945年3月から終戦までの期間、米軍による海上封鎖があったため半島と大陸からの輸送は食料のみに絞らざるを得ず、人・物の輸送は行えなかった。