磁気テープの話

レコード針で世界シェア9割を誇るNAGAOKAさんがカセットテープ(国産)の新商品を発売しました。

デジタル記録媒体全盛期に今更?と思われるかもしれませんが、信頼性や単位あたりの容量で言うと磁気テープの方がデジタル記録媒体よりずっと優位性が高いんですよ、実は。
それに最近、レコードを中心にアナログ盤の復権が見られます。昨年にはソニーが29年ぶりにレコード生産を復活させています。
アナログ音源独特のノイズを雑音として切り落としたデジタル音源のシャープさに比べ、どこか温かみのある音が人気の秘密のようです。


ITの世界でも、磁気テープは一定の需要があり続けています。

私が技術職だったころ、某システムの運転データのバックアップには磁気テープを使っていました。
磁気テープには、単位あたりの容量が多くコストが抑えられること、ビットエラーレートがHDDの1万倍以上の信頼度であること、長期保存*1が可能であること…などのメリットがあります。

最近ではデータセンターでHDDやSSDと磁気テープが併用されていると聞きます。
アーカイブ資料の保存などには最適です。


これらの事情とカセットテープの新商品との直接の関連はありませんが磁気テープがまだまだ高いポテンシャルを秘めた記録媒体であることは間違いありません。

現在、磁気テープは富士フィルムソニー日立マクセルの3社で世界シェアのほぼ100% を占めています。
テープ素材となる磁気体の研究開発による品質向上が大きな要因です。日本企業の強い分野ですね。


*1:HDDが数年で寿命を迎えるのに対し、適切な環境下であれば数十年の保管が可能。