東京2020メダルデザイン発表とリサイクル技術輸出の話

ちょうど開催の1年前になる24日に東京2020のメダルデザインが発表されました。

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メダルの製造は日本の硬貨を作っている大阪造幣局です。
公式サイトに制作過程のダイジェスト映像が公開されていますが、1つずつ手作業で制作されています
1つのメダルを制作するのにおよそ1週間かかるらしいので、それを5000個…。

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表面は勝利の女神ニケ



東京2020オリンピックメダルができるまで


メダルケースが美しい

メダル自体も素晴らしいですが、個人的には木目の美しいメダルケースの方が気になりました。

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青みがかった黒に見えるのは藍色に塗装されているためです。

こちらも国産のタモ材を使って一つずつ手作業で制作されています。


メダル制作の裏にはリサイクル・システムの輸出計画がある

オリンピック・パラリンピック合わせて全部で約5,000個のメダルが必要となるのですが、それぞれの金属量に換算すると金が約32kg、銀が約3,500kg、銅が約2,200kgとなります。
この全てを小型リサイクル家電…俗に言う「都市鉱山」で賄おうという新たな試みが行われました。

これは単に目新しいというのではなく、日本のリサイクル技術の高さをアピールする機会だったのだろうと思います。

日本のリサイクル家電に含まれる希少金属は、リサイクル業者を通じて海外に多く流出しています。
「不用品の無料回収」というチラシを見たことがありませんか?
チラシを貼り付けて指定日に出しておけば無料回収します、というやつです。
ああして回収された小型家電の多くは海外に送られていると思われます。


フィリピンやベトナムなどの東南アジアの国にはリサイクル村と呼ばれる所があり、これらの小型家電から劇薬のシアン系化合物を使って金属を取り出す作業を行っています。
適切な防具を使わずに作業を行うため健康被害が報告されています。
作業従事者のみならず、周辺住民への被害が報告されていることから、作業の過程で発生する有害物質が漏れ出していると思われます。

※最近フィリピンが海外から輸出されたゴミをコンテナごと送り返すという措置を取りましたが、あれもこうした「輸入リサイクル品」に紛れて送られたきたリサイクル不可な本物のゴミです。


東南アジアの国々では、他国のリサイクル作業を請け負うのが既に産業として成立しており、おまけに自国のゴミ問題も抱えています。
先進国より人口が多く、経済発展の途中にあるため年々自国内で発生するゴミも増え続けています。


こうした現状を受け、数年前から「東南アジアにおける自立可能な廃棄物適正管理技術システムの開発」というのが進められています。
6月には環境省がゴミ処理発電施設やゴミの回収・分別、リサイクル、減量化などのノウハウをパッケージで輸出する計画を発表しました。
2023年度には約10都市あたりを目処に、モデル都市としての導入を働きかける計画になっています。

成功させるためには、もちろん既存のゴミ処理インフラも大事ですがオリンピックメダルをリサイクル技術で作成したという日本のリサイクル技術に対する良いイメージ(インパクト)が大事になります。
当然そのあたりの腹案があっての都市鉱山メダル計画だっただろうと思います。