※「ホワイト国」の名称は廃止され「グループA」となりますが、輸出貿易管理令が改正施行される28日までは「ホワイト国」の名称を使用します。
韓国でも輸出管理は当然行われています。
「戦乱物質輸出地域区分」というもので「가(が)地域」と「나(な)地域」に分類して、それぞれに対して輸出許可の手続きを差別化しています。
敢えて言うなら、この区分のうち「가(が)地域」が日本の「ホワイト国」と同等と見なすことはできますが、条件がちょっとだけ違います。
そのために韓国が日本を가(が)地域から外すための名分をどうするつもりなのかが気になります。
散々騒いでいるにも関わらず「ホワイト国」が何を意味しているのか知っている一般韓国人はあまりいないようです。 ポータルサイトNAVERの検索ランキングを見ると、8月2日、3日あたりの検索ワードに「白色国*1の意味」と入っていました。
「ホワイト国」とは何か、除外するメリットは何か…そういったことすら知りませんし、詳しく報道しているメディアもありません。
「日本が韓国をホワイト国から除外する」ことは「徴用工訴訟への報復措置」であり、「不当な輸出規制」という論調が既定路線なので、根本的な仕組みをスルーしてしまっています。
対象的に、今回の件に関して言えば、日本政府側は非常に丁寧な情報発信を行っていると思います。
JNNの世論調査によると、64%の人が韓国をホワイト国から除外する決定を「妥当」と答えています。
「ホワイト国」という制度が輸出管理上の「優遇措置」…謂わば「特別扱い」であり、それを止めて従来の方式に戻す、という意図が正しく理解されている為だろうと思われます。
「ホワイト国」と「가(が)地域」
日本と韓国を覗いた対象国は次のようになっています。
アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ブルガリア、ベルギー、カナダ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ウクライナ、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、イギリス、アメリカ
青字のウクライナとトルコは日本のホワイト国には含まれませんが、韓国の가(が)地域には含まれています。
共通点
日本の「ホワイト国」と韓国「가(が)地域」の共通点は、仕向先(輸出先)地域が次の4つの国際輸出管理レジーム*2に加盟していることです。
具体的には次の4つです。
- 原子力供給国グループ 核兵器の製造、開発等に使用される可能性のある製造設備、技術などの輸出を規制。
- オーストラリア・グループ 化学兵器・生物兵器の原材料及び製造設備等の輸出を規制。
- ミサイル技術管理レジーム ミサイル部品、製造設備等の輸出を規制。
- ワッセナー協定 通常兵器、スパコン、精密工作機械などの輸出を規制。
韓国はこの4つ全てに加盟している 29カ国を「가(が)地域」 として扱っています。それ以外は「나(な)地域」になります。
(「戦略物資輸出入告示」より) 第10条(許可地域の区分)産業通商資源部長官は、令第32条に基づく国際的な輸出管理体制に参加するかどうかなどを考慮して、許可地域を、次の各号のように「が」地域と「な」地域に区分し、は、その具体的な内容は、別表6(戦略物資輸出地域区分)と同じである。 1.が地域:令第32条第1号から第4号までのすべてに参加した国 2.な地域:第1号以外の国
日本の規定
前述の共通点で挙げた4つの協定に加入していることに加えて、日本は相手国が チャッチオール規制 を導入していることをホワイト国の条件に入れています。
これにより韓国よりも2カ国少ない 27カ国がホワイト国 となります。(具体的にはトルコとウクライナが対象外になります)
チャッチオール規制制度
輸出管理はリスト規制という形で行われています。
規制品がリスト化されており、それに含まれるものを輸出する先(仕向先)がホワイト国か非ホワイト国かによって許可の必要/不要が変わってくるのがリスト規制です。
リスト規制品以外のものであっても、使い方によっては兵器の製造・開発に使えるものがあります。
そこで、輸出しようとしている貨物や技術が兵器開発、製造等に用いられるおそれがあることを輸出者が知った場合、経産大臣に許可を取らなくてはいけません。
これがキャッチオール規制です。
日本が今回、韓国をホワイト国から除外した理由は キャッチオール規制が正しく機能しているように認められないと見なしたからです。
そのため一般包括許可を認めず、個別許可を申請するよう要求しています。
しかし韓国は、キャッチオール規制については言及しておらず、単に「国際レジームに加盟」していることのみを条件としています。
日本はこの条件を満たしています。
どのような名分を建てて日本を가(が)地域から「外す」つもりでしょうか?
名分もなく除外するだけなら、それこそただの報復措置であり、韓国が言うところの「WTO協定違反」です。
日本のために「다(だ)地域」を新設する、なんて話も出ていますが「韓国をホワイト国に指定していない国用区分」を新たに設置するための改正でも行うつもりでしょうか?