朴槿恵前大統領の二審判決が破棄された話

韓国の朴槿恵(パククネ)前大統領と崔順実(チェスンシル)さん、サムスンの実質トップの李在鎔(イジェヨン)副会長らが関わったとされる収賄事件への判決が本日言い渡される予定でしたが…3人とも二審判決が破棄され、ソウル高裁に差し戻されました。
これにより、李在鎔さんの量刑は増えるかもしれません。


朴槿恵さんのケース「分離宣告すべし」

まず朴槿恵さんですが、崔順実さんとの間には「共犯関係があった」とされ、朴槿恵さんに対しても収賄罪が成立するとされていました。
これに基づき二審判決では懲役25年、罰金200億ウォン(約17億2千万円) が宣告されていました。

ですが、韓国の公職選挙法では、大統領などの公職にあるものの収賄罪は他の罪状と分離宣告することになっています。
故意か過失か分かりませんが、一審・二審判決はこれを無視してまとめて宣告したため、最高裁で法令違反との判断が下され、収賄罪と職権乱用を分離して宣告するよう差し戻されました。


崔順実さんのケース「強要罪は成立しない」

崔順実さんはニ審判決で強要罪が適用されていました。
強要罪は「脅迫と暴行によって人に義務のないことを強制したときに適用される罪」となっています。
最高裁はこの部分を「人の意思決定が制限されるほど怯えさせ、脅迫したと見なすのは難しい」として強要罪は成立しないとの見方を示し、差し戻しました。


李在鎔さんのケース「新たに2件の賄賂認定で50億ウォン増額→総額86億ウォンの賄賂」

李在鎔さんは二審判決で懲役2年6ヶ月、執行猶予4年が付いていました。
今回、新たに賄賂と認定された金額が50億ウォン(約4億3千万円)増え、総額86億ウォン(約7億4千万円)になったことにより、二審判決が破棄され差し戻されました。

賄賂の金額が50億を超えるかどうかが一つの閾値になっているようで、超えると懲役5年以上の実刑判決が出る可能性が高くなるそうです。



スケープゴートとしての延命か、それとも「まともな」司法判断か…いずれにせよ、まだしばらく続くようです。