ユニクロ不買の反射利益が上手く得られていない話

ヘラルド経済がユニクロ不買の反射利益として今年7月の韓国国内ファッションブランドの一部売上が2桁アップした、と報じています。

ところが、デパート衣料品全体の売上としては前年同期に比べて減少しており、ユニクロの不買により反射利益はごく一部の国内ブランドにしか回っておらず、アパレル業界全体で見れば不景気のようです。


ユニクロ不買運動の影響で一部の国内ファッションブランドの売上高が二桁増加したが、ファッション業界では笑うわけにはいかない、という声があがっている。ボイコットによる反射利益が少数のブランドだけに集中し、むしろ消費心理が萎縮したという分析が出ているからだ。(中略)

サムスン物産の「エイトセカンズ」の7・8月売上高は前年比21%増の40% で、2ヶ月連続で増加した。同じ期間、シンソントンサンの「トップテン」の売上高も20%(7月)、30%(8月)増加し、イーランドの「スパオ」の売上も3%(7月)、15%(8月) 伸びた。
業界関係者「最近、ユニクロと価格・デザインなどが似たような低価格SPAブランドの需要が高まった」と述べた。不買運動の影響で7月だけで70%急減したユニクロの需要の一部が地元ブランドに流れたという分析だ。

このようにユニクロ不買運動拡散により国内ブランドが注目を集めているが、ファッション業界は喜んでいない。ユニクロの固定顧客の一部が国内SPAブランドに移っただけで、そのほとんどは財布を閉じたからだ。

ファッション業界によると、今年6月に国内カジュアル衣料品の市場は前年と同水準の売上高を記録したが、不買運動が本格化された7月に入って売上が20%ほど減少した。国内カジュアル市場の30%ほどを占めるユニクロの売上が一度に抜けたからだ。(中略)

別の(カジュアルブランド)関係者も「ユニクロの代替え品を見つけられなかった消費者は、最初から衣類の消費を減らしている」とし「長期的には、ユニクロだけでなく、他のカジュアルブランドへの関心も減り、ファッション業界全体の売上高の減少につながることが懸念される」と述べた


f:id:Ebiss:20190916192641p:plain


一部カジュアルブランドの売上は大きく伸びているようですが、7月の売上は全体的に減少しているようです。
レディースカジュアル-17.0%、メンズ服-9.6%、子供服-7.9%、女性フォーマル-6.5%、服飾雑貨-4.1% となっています。
こうした状況で記事中で触れられている3ブランドの伸び率ですから、前年比マイナスだったところの方が多いのは明白です。

ユニクロ不買に絡めて書かれていますが、ユニクロに関係なく韓国のアパレルは不況と見たほうが良いのかもしれません。
ユニクロの代替えを見つけられなかった消費者」というのは、「衣料品に必要最低限のお金しか掛ける余裕のない消費者」も含まれていると見ることができますから。


ただし、このデータはデパート衣料品売上ですから、デパート(やモール)に出店している店舗の売上高に限った話です。
個別店舗やフランチャイズ販売、ネット通販での売上は勘案されていません。

一部報道ではユニクロのネット通販は「売り切れ」状態(シャイ・ジャパン)とも報じられていますし、デパート出店店舗の傾向が実態に完全に即しているとは言い切れないことに注意が必要です。