貿易統計速報値で不買運動の影響を確認してみた話

先日、日本メーカーのビールの輸入が激減したという報道が韓国メディアで出ていました。
韓国でのビール売上は大きいので、ちょっと調べようと思ったのですが、全品目別の貿易統計の8月分がまだ出ていません(27日公表予定)。

代わりに、本日発表になった速報値でとりあえず全輸出入の金額ベースで不買運動の影響が確認できるか見てみました。


大韓民国向け輸出入

輸出 輸入 差し引き
価額 伸び率 前月増減額 前月増減率 価額 伸び率 前月増減額 前月増減率
1月 422,877 -11.6 - - 287,144 -6.0 - - 135,733
2月 411,194 -13.8 -11,683 -2.8 258,373 -10.6 -28,771 -10.0 152,821
3月 498,875 -9.0 87,681 21.3 218,988 -11.1 -39,385 -15.2 279,887
4月 461,129 -4.2 -37,746 -7.6 269,922 -1.6 50,934 23.3 191,207
5月 401,677 -13.3 -59,452 -12.9 276,311 -5.2 6,389 2.4 125,366
6月 413,079 -14.8 11,402 2.8 251,442 -13.5 -24,869 -9.0 161,637
7月 436,096 -6.9 23,017 5.6 275,718 -8.5 24,276 9.7 160,378
8月 422,646 -9.4 -13,450 -3.1 240,349 -10.3 -35,369 -12.8 182,297

単位:百万円、%
伸率は前年同月比
財務省貿易統計速報値より


単位が百万円なので慣れていないと数字の読み方に違和感を感じるかもしれませんが、8月の輸出はざっと4千2百億円、輸入は2千4百億円です。
8月の輸出総額が6兆1千億円、輸入が6兆6千億円なので韓国貿易が占める全体への割合は輸出が約7%、輸入が約3% ほどになります。


韓国メディアの報道によれば、日本不買運動は7月に始まり8月に本格化したことになります。
不買運動が本格化したのが8月であったとしても、7月には始まっていました。8月のビール輸入量が激減している、というのはその表れであるはずなのですが…金額ベースで見てみると、8月分はむしろ日本の輸入額の方が減っています。
前年同月比である伸び率は共に10%近く、前月増減率でも日本の減少率の方が大きいです。


商品別でざっくり見てみると、魚介や野菜などの食料品、医療品、車などが減っています。
特に野菜と医療品は重量ベースでほぼ半減で、車は37台(7月)→8台(8月)の減少です。
電気機器(半導体部品など)はもちろん減っていますが、この品目の減少は今に始まったことではなく、ずっと前年比マイナスの伸び率です。


輸出金額も1月からの通常(?)時期と見比べてみれば分かりますが、特別大きな金額変動は見られません。

商品別でも確認してみましたが、特筆するような変化は見受けられませんでした。


結論として、輸出入とも不買運動や輸出規制による影響というより、自然な増減のように感じられます。
不買運動による影響が顕著になるのは9月からでしょうか。