青い血の生物というと、私はイカやタコくらいしか知りません。
ヘモグロビンの代わりにヘモシアニンという呼吸色素持っていて、この色素が青色だという話です、確か。
本来、赤い呼吸色素であるヘモグロビンを持つ人間の血は赤いはずなのですが、ごくごく稀に青い血になる珍しい症例があるのだそうです。
血が青いので当然、顔色も青っぽくなります。
メトヘモグロビン血症といって、ヘモグロビンに含まれる鉄の電価が2価から3価になったメトヘモグロビンの異常増殖によって起こります。
この患者は酸素レベルが低く、チアノーゼを起こしやすいのですが、血中の酸素飽和度が高い状態でも血液が青く見えるのだそうです。
本来は染色体異常による先天性の疾患ですが、特定の原因物質を過剰摂取すると後天性として発症するケースが確認されていて、つい最近アメリカで鎮痛薬の過剰摂取で発症した女性の症例が医学誌に掲載されました。
患者の女性は歯痛を止めるために市販のベンゾカインを含む鎮痛薬を過剰接種したところ、後天性メトヘモグロビン血症を発症し、全身の脱力感、疲労感、息苦しさなどを訴え救急外来を受診したそうです。
幸い、救急担当医が過去に患者が「青くなる」症例を見たことがあったため、すぐに適切な措置が取られたそうです。
メトヘモグロビン血症にはメチレンブルーという治療薬があります。今回の症例は先天性ではなく、後天性であったため女性は2回のメチレンブルーの投与を受けて翌日には退院できるまでに回復しています。
ごくごく稀な症例ではありますが、ベンゾカイン以外にも亜塩素酸ナトリウムなどの食品添加物の多量接種での発症例も報告されているそうです。
きっと一生経験することは無いと思いますけれど、「採血しまーす」と言われて抜かれた血が青くなっていても「ああ、後天性メトヘモグロビン血症なんだな。治療薬はあるから安心だな」とドーン構えていて下さい。