令和元年版防衛白書の話

11月に名古屋の航空自衛隊小牧基地で行われるオープンベースに行けそうです。
ブルーインパルスが来ると聞いて、ちょっとテンション上がっています。


で、そういえば防衛白書をチェックしてなかったなぁ、と思い出しまして、一気に全部読むのは大変なのでそれは追々…として、とりあえず現在の安全保障環境の特徴周辺国の軍事動向と数日前に韓国さんが文句を言っていた韓国格下げ部分だけでも見ておこうと思います。


現在の安全保障環境の特徴
  • 既存秩序の不確実性が増大。政治・経済・訓示における国家間の競争が顕在化している。
    軍事と非軍事の境界を意図的に曖昧にする「ハイブリッド戦」。
  • テクノロジーの進化により、安全保障の在り方が根本的に変わろうとしている。
    具体的には、宇宙・サイバー・電磁波領域の重要性が高まっている。
  • 一国のみでの対応が困難な課題が顕在化している。
    海上交通の安全確保、宇宙及びサイバーなどあらたな領域の安定利用の確保、大量破壊兵器拡散への対応、地域紛争・国際テロへの対応など。


周辺国の軍事動向
  • 米国 : 軍事力の再建、同盟とパートナーシップの強化、インド太平洋地域を優先順位と位置づけた対応。
    安全保障上の最優先課題は、修正主義勢力である中国・ロシアとの戦略的競争であると認識している。特に中国抑止を強化。

  • 中国 : 核・ミサイル戦力、海上・航空戦力、宇宙・サイバー・電磁波領域の能力を強化しており、既存の国際秩序とは相容れない独自の主張に基づき、力による一方的な態勢の変更を試み、東シナ海をはじめとする海空域での軍事活動を拡大・活発化させている。安全保障上の強い懸念。
    21世紀中頃までに中国軍を「世界一流の軍隊」とすることを目標としている。様々な分野において軍隊資源と民間資源の双方向での統合を目指す軍民融合政策を全面的に推進し、軍事利用が可能な先端技術の開発・獲得および作戦遂行能力の向上を積極的に推進している。

  • 北朝鮮 : 全ての大量破壊兵器及び弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ不可逆的な方法での廃棄は行っておらず、その能力に本質的な変化は見られず、わが国の安全に対する最大かつ差し迫った脅威である。

  • ロシア : 極東における軍事活動を活発化させており、動向を注視する必要がある。


北朝鮮を事実上、最大の脅威としつつも中国の潜在的脅威の大きさをより警戒している感じですね。
ロシアに関してはあんまり情報も入ってきませんし、恥かしながら基礎知識がないので記述の妥当性が正直よく分かりません…。


韓国の記載格下げ(?)

さて、韓国さんのクレームでは、「記載の順番を2018年の2番目から4番目に事実上降格させた」という意味不明なものなのですが、該当箇所は 「第1部 第2章 第3節」 に当ります(去年は第2節)。
韓国は「朝鮮半島」というひと括りの章に入っているのですが、この章が昨年の中国の位置と丸ごと入れ替わっています。
今年は米中の貿易摩擦が表面化しましたので自然な変更に見えます。でも序列に拘る韓国さんには残念ながら不評だったようです。


韓国さんは「韓国に批判的な書きぶり」という認識を持ったようです。河野防衛大臣「事実を列挙している」 と答えていましたが…。

17(平成29)年5月に発足した文在寅(ムン・ジェイン)政権は、対北朝鮮政策について、18(平成30)年4月の南北首脳会談における「板門店宣言文」や同年9月の南北首脳会談における「9月平壌共同宣言」などに基づき、南北関係の改善及び緊張緩和を重視している。
(中略)
かつては国防白書において「主敵」あるいは「北朝鮮政権と北朝鮮軍は韓国の敵」との表現が用いられていた。しかし、19(平成31)年1月に発刊された「2018韓国国防白書」においては、引き続き北朝鮮大量破壊兵器朝鮮半島の平和と安定に対する脅威であるとしつつも、北朝鮮を敵とする表現は消え、「韓国の主権、国土、国民、財産を脅かし、侵害する勢力をわれわれの敵とみなす」との表現が用いられている。

令和元年版防衛白書より


もしかして、こういう書き方が気に食わないんでしょうか?

確かに事実ではありますが、後ろ暗いことがある人にとっては「北朝鮮を擁護している、音頭を取っているのはムン政権だ」と責められているように読めるかもしれませんね。

でも、ムン政権が発足後、北に対して融和策を打ち出していることも国防白書から北を「主敵」とする表現が消えたのも事実ですよねぇ?
どう書けば納得頂けたんでしょう?