韓国さん、液状電子タバコの使用中止を勧告する話

「JUUL(ジュール)」という電子タバコがあります。
米国生まれで、液状電子タバコの走りです。米国の電子タバコシェア75%を占める大ブレイクをしました。

世界的に喫煙人口が減っている、と言われている中でJUULの登場後、米国では十代の電子タバコ喫煙率が増加しました。
2017年から2018で、中高生の喫煙率(電子タバコ、従来式問わず)が中学生では29%、高校生では38%増加したという調査結果があります。(参考
2017年というとJUULの発売された年です。


このJUULを含む液状電子タバコが今年の5月に韓国さんで販売が始まりました。
喫煙増加や有毒性を心配する報道がありましたが、そうこうするうち、8月に米国で液状電子タバコが原因と疑われる死亡例が報告され、とうとう韓国政府が正式に使用中止を勧告しました。それに伴い、全国の販売店から撤去され始めたようです。


※注意※
 電子タバコについて検索すると、「アメリカで電子タバコによる死亡例」として、電子タバコのリスクを煽る記事がいくつかありますが、日本で販売されているタイプとは異なりますので安易に同列には扱えません。
 液状電子タバコというのは、リキッドタイプのニコチンを使用するタイプのものです。
 日本では液状のニコチンは劇薬指定を受けているので、一般に流通販売は出来ません。
 法整備がされない限り、日本で液状電子タバコが流通する可能性はありません。



液状電子タバコの使用中止勧告に至った経緯などは、東亜日報が日本語の記事をあげているのでそちらを見ていただくとして、その記事の中に下のような記述があります。

政府は、国会で係争中のタバコ関連法案の年内可決を推進して、たばこ規制を強化する方針だ。タバコの法的定義を煙草の葉だけでなく茎や根から抽出したニコチン製品全体に広げ、タバコの製造と輸入業者にたばこ成分の提出を義務づける内容だ。

サラっと書かれていますが、なぜこんなことが必要かと言うと、タバコの茎で作られたニコチン成分だとタバコ税が掛からないため、タバコの葉から作られたものなのに、「茎から作られた」と書類を偽造した輸入液状電子タバコが存在するためです。


JTBCの報道からです。

(前略)
現行法上、葉から抽出したニコチンで作られたものだけがタバコです。
茎や根には作成税を払わず、成分検査も受けません。
ところが、タバコの葉のニコチンを幹ニコチンに変身させて不法輸入する実態が明らかになりました。
(中略)
偽の書類を見てみると、どの原料が入っているのかも分かりにくいです。
(中略)
最近急増した米国の重症肺疾患の患者のほとんどは、麻の成分が混ざった無許可の液状タバコを使用していました。
正体不明のニコチン液状が異常経路で入ってきて市場に広がり、利用者の不安が高まっています。



JTBC「'성분 둔갑' 수입 액상 담배…2천원→3만5천원 '뻥튀기(「成分化け」の輸入液状タバコ...2千ウォン→3万5千ウォン 「ホラ吹き」)より一部抜粋


これはこれで問題ではありますが、今回、使用中止勧告が出たJUULを含むいくつかの液状電子タバコは無許可でも正体不明でもないので、一緒くたに考えてはいけないんですけどね。

麻の成分が入っていた、という情報がどこから出たのか知りませんが、少なくともサンフランシスコなどの一部米国の都市はFDA(米国食品医薬品局)での評価認定が出るまで液状電子タバコの販売を中止する措置を取りました。(JUULを製造・販売しているJUUL Labsの本社はサンフランシスコ)


不純物が入っているから危険、とか麻の成分が入っているから危険、というレベルの話ではなく液状電子タバコ自体が健康へ与える影響が不明なための販売中止措置です。
成分チェックをしていても、そもそもが危険なものかもしれません。