軍服にファッション性を見出すことすらタブーとされるナチスの話

イーデイリーの小ネタ記事なのですが、ドイツ軍がSNSで新兵募集の広告にナチスの軍服を掲載して批判が出たそうです。

ドイツ連邦軍の広報が不用意にも、ナチス・ドイツ当時の制服(ハーケンクロイツ付き)を「レトロ・ファッション」としてしか認識していない、ということを問題視しているという感じです。


【世の中にこんなことが】「鉄十字がレトロ?」募兵広告に「ナチス服」打ち出したドイツ軍


ドイツ連邦軍ソーシャルメディアを介して新兵募集の広報をしながら、ナチスの軍服写真を掲載して波紋が起きている。
27日(現地時間)テレグラフなどによると、ドイツ連邦軍は最近、インスタグラムに第二次世界大戦当時に使用されたナチス軍服を投稿した。

その軍服中央と胸部にナチスのシンボルであるハーケンクロイツバッジと鉄十字勲章がぶら下がっていた。

(中略)

ドイツの緑の党のオズデミル*1は「ナチス軍服とハーケンクロイツは単純なファッションやレトロではなく、常に思い起こされなければならないナチスの犯罪の象徴であることを知らなければならない」とし「ドイツ連邦軍はどのようにこれらの写真が掲載されたか明らかにるべき」と批判した。自由民主党のマーカス・フェイバー*2は「歴史を忘却した人々はドイツ連邦軍においてはいけない」と叱責した。

論難が起こると、ドイツ国防省は該当の写真を削除し鎮火に当たった。クリスチャン・ティールズ国防省広報官は謝罪文を通じて「受け入れることができない間違いだった」とし「その軍服はドレスデンの軍事歴史博物館で展示されたもので、軍服ファッションと関連したストーリーを写真で見せようとした意図であった」と伝えた。

(後略)


イーデイリー「[세상에 이런 일이] '철십자가 복고?' 모병 홍보에 '나치복' 내세운 독일군(【世の中にこんなことが】「鉄十字がレトロ?」募兵広告に「ナチス服」打ち出したドイツ軍」より


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問題の写真が上です。(現在は削除済み)
ドイツメディアの報道によると、削除前の写真には「今日の高度なファッションにも溶け込んでいる」という趣旨のキャプションが付いていたそうです。

右胸、前立のすぐ横に小さなハーケンクロイツがぶら下がっているのが分かりますでしょうか?


ナチスを賞賛するつもりは欠片もありませんし、歴史的な意味というのをちょっと脇に置いといて言わせていただくと、第二次大戦時のドイツの軍服は単純にカッコイイんです

ドイツ人デザイナーのヒューゴ・ボスがデザインしたものです。(彼の名を冠した紳士服ブランドは今もあります)
そのせいか、ファッション性が高いんですよねぇ…だからこそ、アーティストのライブやMVの衣装でたびたび「似てる」議論が起こるわけですよ。
制服は元々、軍服由来のデザインですし、カッコよさを突き詰めていけばドイツ軍服に行き着くのは自明の理のような気がします。


それはともかく、鉄十字は今も昔もドイツ軍のシンボルです。
ナチス時代も使われていましたが、それ以前から使われていたものなので何の問題にもされていません。

問題とされているのはハーケンクロイツです。右胸のところに小さくハーケンクロイツのバッジが付いているのですが、小さかったからでしょうか、記事を読んだ韓国人の多くは気が付かなかったようです。(タイトルも「鉄十字」にしか触れていませんしね)

「鉄十字はナチスとは関係ない」「関係ないのになぜ騒いだのか」という趣旨のコメントがいくつかあり、「いいね」を集めていました。


鉄十字とハーケンクロイツが別物、と認識はちゃんと出来ているのに、なぜそれが旭日旗にも適用できないのかが不思議ですね。

旭日旗が比較されるべきは本来、軍旗である鉄十字であって党旗のハーケンクロイツではありません。
ハーケンクロイツと比較されるべきは大政翼賛会の旗のはずです。


*1:Cem Özdemir

*2:Marcus Faber