憲法裁判所の判断は「却下」だけれど、内容を見てみると慰安婦合意の「無効化」と同義という話

2015年の慰安婦合意が憲法に違反している、として憲法裁判所へ訴えが起こされていましたが、却下されました。
却下ですから、憲法裁判所はそもそも訴えの内容を審理せずに門前払いをした格好になります。

ただし、あまり良い結果とは言えません。
なぜなら憲法裁判所の名のもとに慰安婦合意そのものが「無効化」されたからです。


ニューシスの記事からです。

慰安婦合意、憲法訴訟対象じゃない」..4年引っ張って却下(総合)


憲法裁判所が過去2015年の韓国と日本政府の慰安婦合意は憲法請願審判の対象ではないと判断した。

(中略)

この件の争点は、大韓民国外交副長官と日本外務大臣が去る2015年12月28日に共同発表した日本軍慰安婦被害者問題関連の合意内容が被害者の基本権を侵害するかどうかだ。

(中略)

憲法裁判所は「一般的な条約が書面の形式で締結されるのとは違い、韓日慰安婦合意は口頭」とし「韓国は『記者会見』、日本は『記者発表』という用語を使用し、一般条約の見出しとは異なる名称を付けた」と説明した。

続いて「口頭発表の表現とホームページに掲載された発表文の表現さえ一致しない部分が存在した」とし「閣僚会議審議や国会同意など憲法上の条約締結手続きを経なかった」と強調した。

(中略)

憲法裁判所は「韓日慰安婦合意の手続きと形式においても、実質における具体的権利・義務の創設が認められない」とし「これにより、慰安婦被害者の権利が処分されたり、外交的保護権限が消滅したと見ることができない」と説明した。

(後略)

ニューシス「"위안부 합의, 헌법소원 대상아냐"..4년 끌다가 각하(종합)(「慰安婦合意、憲法訴訟対象じゃない」..4年引っ張って却下(総合)」より


ざっくり言いますと、

  • 日韓慰安婦合意は国際条約の体をなしていないため、条約として成立しておらずただの口頭発表に過ぎない。

  • 発表内容については一致しない部分も存在する。

  • 内容からは具体的な措置や義務の設立が認められないことから、慰安婦の権利が侵害されたとは見なせない。

ということです。

慰安婦の外交保護権限を認めたということは、慰安婦被害者としての賠償請求権を認めたと見ることが出来ます。

結果は訴えの却下ですが、内容を見てみると憲法裁判所が慰安婦合意で「最終的かつ不可逆的に」終わったはずの慰安婦問題の継続を認めたと受け取れるものになっています。