「女真族と土着倭寇のせい。立てよ(正統韓民族集団の)国民!」な話

趙甲濟(チェ・ガプジェ)ドットコム」より、普段あまり見かけない人なのですが朴京範(パク・ギョンボム)という作家兼評論家さんが少し変わった文章をアップされていました。

韓国国内の世論が分断されている状態は、女真族と土着倭寇の争いだと言うのです。

最初は何を言っているのだろう、と思って読んでみたのですが、よくあるアレでした。
「私の気に入らないことは外勢勢力のせい」
みたいな。

陰謀論者的な発想にも思えますし、典型的な「ウリとナム」思想で物事を見ているようにも思えます。


女真族と土着倭寇の争いは正統韓民族が止めなければ


国が相次いで極限の対立に駆け上がっている。前回、検察とマスコミの政権揺さぶりにより弾劾及び政権交代となったが、まったく同じ過程をまた踏もうとする動きが加わっている。

これを置いて極限の理念対決と呼び、中道が必要との主張もある。しかし、これは理念対決ではなくよく見れば両側の政治的性向が理念的極端にあるものでもない。決して、これら二つの力の算術平均を路線にすることで解決できる事ではない。

政治評論家は、左右の理念対立という修辞的(修辭的)表現を楽しんで使うが、実際にいくつかの国の国内政治の対立は、お互いが交渉な理念を追求してその所信を守ろうとして戦うのではない。国を構成する、根っこが異なるそれぞれの集団による国家の占有競争である。

通常、一国内で保守勢力といえば、其の国で長い間主流を繋いできた文化の中心勢力が占めるのが正常である。しかし韓国の場合、保守を自任する勢力が伝統文化の価値には関心がなく、自由市場経済という流動的な現代の価値以外打ち出すことがないのが実情である。コレが韓国の勢力集団の価値競争を空虚にする。

<どの国にも派閥集団の勢力は存在>

私たちが友邦とし、模範的な国と見なす米国も、イギリスなどヨーロッパに根を置いている白人親欧州派、そしてアフリカ出身の黒人親アフリカ派、そして中南米出身ヒスパニック系親中南米派などがある。親アフリカ派と親中南米派の勢力が親ヨーロッパ派に比べ著しく弱く、米国自身が超大国であるため、現時点での国内の利益配分の争いだけであるが、状況が少しでも変われば各派閥が米国を近隣のどの国と近づけようかとの争いが露骨化するはずである。米国の国家的地位が低くなれば米国の正統新教徒文化が尊重されなくなるはずで、米国は中心文化なしに黒人勢力とヒスパニック系勢力の譲歩のない対決の場になってしまうだろう。

他の国の場合は、このような国内問題が更にひどい。ウクライナは親ロシア派、親西派の極限対立があることを私たちはニュースで知っている。台湾には国民党親大陸派と民主進歩党独立派の対立がある。

韓半島の国は新羅と高麗を継承して朝鮮時代に至り、その境域(疆域)が増えた。世宗の時の隆盛で高麗国境北部の女真族が大挙して帰化し、南側海岸を通じては倭人たちの帰化もあった。

これらの女真人と倭人帰化者は新羅高麗を継承してきた正統韓半島文化の主人ではないが、この地で長い間生存力を育んできた。そうして、20世紀に入ってこの血が続けざまに外勢の影響を受けることによって、正統韓半島文化集団は弱体化され、これら過去の非主流文化勢力が、変化した韓半島の環境で勢力を占有していくようになった。

<中心勢力が存在してこそ両極端勢力の闘争が緩和>

国内でかつての非主流勢力の影響力が大きくなるのは、カルマの循環の原理から見れば自然なことである。しかし問題は、正統韓民族の存在感が空洞化された状態で、女真族倭人女真族側から言うと土着倭寇)勢力のみの角逐(角逐)は妥協が不可欠だということにある。どちらも韓半島の伝統国の文化継承には関心がなく、ただ彼らの置かれた立場によって大韓民国北韓、中国、ロシアに代表される大陸勢力に近づけようとするのか、あるいは日本、米国に代表される海洋勢力に近づけようとするのかの可否でそれぞれ命運(命運)を掛けて必死の闘争をする。

それもそのはず、もし相手の願い通りこの国が近づけば自分たち(自側)の集団は、機会の喪失と勢力が弱体化し萎縮することは確実で、これら二つの勢力同士はいかなる中間的妥協点も許容できないからだ。どのみち正統韓民族集団も大韓民国内の派閥勢力集団の一つだが、派閥の利己主義によるものではなく、これらの女真族と土着倭寇の果てしない極限の闘争を仲裁し、この国の安定を追求するために存在感が強化されなければならない。

大韓民国の国体の中心が定まって大韓民国が外勢に近づくことに必死にならなくなれば、たとえ政権が往来(往来)中に一部惜しいことはあっても、命がけの闘争の状態は脱することができる。大韓民国がどの外勢に近づいても首を括らず、この地の文化の連続性を中心に根付かせなければならないのである。沈黙している絶対多数の正統韓民族集団がアイデンティティを自覚(自覺)し主権を回復してこの国の中心を取るべるき必要性が要求される。

趙甲濟ドットコム「여진족과 토착왜구의 싸움은 정통 韓民族이 말려야(女真族と土着倭寇の争いは正統韓民族が止めなければ)」より


米国やウクライナ、台湾など、今現在世界の各地で起こっている政治的対立については、まあまあ納得できます。

ですが、韓国についてはどうでしょう?

新羅や高麗の時代にまで遡り、その文化を受け継いだのが朝鮮(李氏朝鮮)である。
帰化人である女真族倭人たちが力を付け、朝鮮末期の混乱に乗じて外勢力を呼び込み支配権を得た、と。
彼らは伝統的な韓半島文化の継承には興味がない。

ざっくり言うとこうした主張をしているわけです。


ウクライナや台湾における対立は利害関係と、共産主義社会主義自由民主主義の代理戦争的な側面があります。


米国内での対立は、見た目の違い、宗教の違い、言葉の違い…などが影響します。

ヒスパニック系と米国内の欧州系白人は明らかに見た目が異なりますし、移民第一世代は英語が話せない人たちの割合がかなり高いです。
そういう人たちは米国人コミュニティに溶け込めません。
英語が話せない人たちだけのコミュニティが出来上がり、自国から持ち込んだ文化だけで生活するようになります。
それが分断を生み、対立に発展していきます。

黒人の場合は奴隷制という過去がどうしてもチラつくからでしょうか、色々な「配慮」があります。
例えば、有名大学には黒人枠というのが存在します。一定数の黒人生徒を優先的に受け入れる枠です。
合格者数の総数は決まっています。白人の生徒は、その枠で合格した黒人生徒より点数が高くても不合格となることがあります。

このような「目に見える違い」による「目に見える区別(差別化)」により、対立が生まれます。(一番「損」を感じているのは白人男性という調査結果があります)


一方の韓国は、同じ東アジア人である女真族倭人との外見的差異はほぼありません。
世宗の頃(15世紀前半)に帰化した以上、話す言葉も同じです。

それを単純に同列と見なして良いものか…私には疑問です。

ましてや韓国内の状況や、朝鮮王朝末期の混乱を自分の都合の良いように(外勢のせいと)解釈するための恣意的なこじつけのように感じてしまいます。