関係改善にはムードが大事?それとも約束を守る事が大事?な話

二階さんが韓日議連のカン・チャンイルさんと会って、「1000人規模で訪韓する」みたいなことを言ったらしいですね。
この発言に対する韓国メディアの報道でよくあるのが「日本が焦っている」という見方です。
不買運動が効果あり」、「核心素材の国産化に成功」…こうした前提であれば、そのように見えるのでしょうね。


また、日韓議連の河村さんも在日韓国民団の新年会で「今年こそは、日韓正常化の本番にしたい、正念場にしたい。そういう意味では、大変ムードも高まってきておると思います」と述べられたそうです。(ソース

ムード…ですか…高まってますか?どこでですか?
まあ、韓国国内では一部で「日本の罪を認定しよう。問題解決はそこからだ」というムードは大いに高まりつつあるようですが。
河村さんは「ムン・ヒサン案」についても言及して評価したそうですけど、これによって「日本の企業の責任は消滅しない」というのはムン・ヒサンさん自身が公言しています。つまり何の解決策でもありません。


こうした「なあなあ」な状態でのスリ寄りに水を差すかのように、安倍さんが「請求権協定を守らなければ韓国と交流できない」という趣旨の発言をしたと報じられています。


聯合ニュースの記事からです。

安倍「約束守らなければ交際できず…まず請求協定を守れ」


安倍晋三安倍晋三)日本首相は、韓国人徴用被害者に賠償する責任がある日本企業の韓国内資産が近いうちに強制的に売却(現金化)される可能性について、「それは間違いなく請求権協定に明確に違反する行為」と述べた。

安倍首相は事前録画を経て12日午前に放送されたNHKの番組「日曜討論」で「そのような行為を行わない約束の中で日韓関係を築いてきた。日韓(関係)の基礎的となる日韓基本条約と請求権協定を確実にまず守るよう強く求めたい」と述べた。

(中略)

発言に照らしてみると、徴用問題は朴政権時代の1965年に締結した韓日請求協定などによって「完全に解決されており日本企業が韓国人徴用被害者に賠償する責任はない」は、安倍首相の主張には変化がないと思われる。

彼は文在寅大統領との首脳会談を翌日に控えた昨年12月23日にも「国と国の約束を守らなければならない」と似たような趣旨で言った。

(後略)

聯合ニュース「아베 "약속 안 지키면 교제 못해…먼저 청구권 협정 지켜라"(安倍「約束守らなければ交際できず…まず請求協定を守れ」)」より


必要最低限、発言の事実のみの列挙となっており、聯合の記事にしては大人しい(?)印象です。(あえて言うなら、日韓基本条約が「朴正煕政権下」だったことにわざわざ触れている所くらいでしょうか)

でも、タイトルの要約はいただけません。

安倍さんの発言からは、「約束守らなければ交際できない」というより、「今の日韓関係の基礎は日韓基本条約。だから、それを無視するということは今までの日韓関係を全て崩すことになる」という意味の方が強く感じられると思いますが、どうでしょう?


同じ内容を取り上げた別ソース記事(ペンアンドマイク)では、もう一歩踏み込んで
「差し押さえた資産の現金化問題と関連し、一度韓国側が「現金化」を実行することがあれば、日本政府側も「退く名分」を完全に失い、日韓関係が戻ることの出来ない川を渡ることとなる」
という厳しい指摘をしています。
こちらの方が、日韓基本条約を基礎にして築き上げてきた全てのモノを失う、という壊滅的な状況を的確に捉えていると思います。


二階さんにしろ河村さんにしろ、日本の立場を悪くするつもりがあるとは思っていません。

北朝鮮や中国やロシアや…いろいろな情勢を鑑みたときに、日韓関係が平穏であることが最終的に日本の国益に適う、という見方が少なからずあることも納得できます。

ただし、今の韓国に日本が折れることは、決して問題の根本的な解決にはならないですし、なあなあで先延ばしにして拗れた結果が今だと思っています。
そしてこの問題の「解決」は正直、ムリだろうと思っています(少なくとも今のところは)。
というのも、この問題は日本がどうこうというより韓国自身が自分たちで「こんなことは無意味だ」と理解する所から始まるだろうと思えるからです。


だからと言って、ここで日本が折れると韓国が「無意味」と気付くことはありません。

ですので、今の状態で安易な「関係改善」には「ちょっと待って」と言いたくなります。