「入国制限」でも「入国規制」でもなく「待機要請」という話

中・韓からの入国者(日本人の帰国者も含む)への2週間待機を要請した件ですが、実際は単なる「要請」であって、法的拘束力はありません。
強制隔離するわけでもありません。非常に手ぬるい措置です。

にも関わらず、韓国側は「実質的な入国規制」という見当違いな見方を示しています。

現在、世界各地で100カ国近い国が渡航制限や入国規制など、何らかの措置を韓国に対して取っています。
そんな中で日本の措置にのみ、過剰な反発が起きていて、外交部は日本側の措置に対して「防疫以外の意図があるのではと疑わざるを得ない」という立場を表明しています。(外交を担う立場の人たちがこんな認識で大丈夫?)


こうした動きに対して、流石に「日本にだけなぜ?」という疑問があるようで、「防疫以外の意図(=政治的意図)があるのはむしろ韓国の方では?」とする報道もあり、中央日報(日本語版)の記事には「日本たたき」という表現が使われています。


中央日報の日本語版の記事からです。

韓国政府、「860人隔離」の中国には対応せず日本に激高する理由は?


(前略)

外交部は6日午前、立場表明分を配布し「日本側が事前に我々と十分な協議もなく不合理かつ過度な措置を取ったことに対し、強い遺憾を表す」とし「今回の措置を直ちに再考することを強く求める」と明らかにした。

特に「わが政府が新型コロナ拡大防止のために総力を挙げ、全世界が我々の防疫努力を評価し、努力の成果が見えてきた時点に取られた(日本の入国制限)措置という点で、防疫以外の意図があるのではと疑わざるを得ない」と指摘した。

新型コロナの拡大で世界およそ100カ国で韓国に対する「入国制限ラッシュ」が起きている中、政府レベルで「防疫以外の意図」を云々したのは今回が初めてだ。むしろ康京和(カン・ギョンファ)外交部長官らは各国の入国制限について「該当国が防疫上やむを得ず取った措置」と擁護する発言もしていた。

(中略)

外交部は立場文で「日本に対する汚染地域指定など、可能なあらゆる相応措置を検討中」と報復性措置も示唆した。

(中略)

韓国政府の「日本たたき」に近い対応は、中国への対応とも対照的だ。中国国内で強制隔離状態の韓国人は5日基準で860人にのぼると外交部は把握している。全世界で隔離された約1200人の70パーセントが中国だが、外交部はその間、中国に対して控えめに遺憾を表明してきた。

(中略)

特に韓国政府の感情的な対応には「総選挙を1カ月月後に控えて反日感情にまた火をつけようとしているのか」という指摘も野党を中心に提起されている。未来統合党の全希卿(チョン・ヒギョン)報道官はこの日、「中国からの(入国)遮断時期を逃し、日本の措置には激しく対応するのは、政府が感染症さえも政略的有利・不利の問題で眺めているということだ」と批判した。

中央日報(日本語版)「韓国政府、「860人隔離」の中国には対応せず日本に激高する理由は?」より一部抜粋


個人的には、これは政略的有利・不利、とか政治的意図とかではなく「条件反射」だと思いました。
日本が何かする度に、それが韓国にとってマイナスなことであれば「日本のくせに」という回路に信号が流れるようになっているんですよ、きっと。


根底にあるのは韓国ならではの価値観からくる「上下意識」だと感じます。

「下位のもの(日本)が上位のもの(韓国)に物申すなどあってはならない、すべてにおいて」の感覚です。
更にここ最近の日韓関係の悪化から「日本が悪い」がトッピングされているので、「日本(=下、加害者)が韓国(=上、被害者)を排除するなどあってはならない、すべてにおいて」となります。

ポイントは「これはこれ、それはそれ」はなく「すべてにおいて」適用される普遍的な上下意識というところです。


この記事では触れられていませんが、韓国人への入国制限を行う国が増えていく中で、カン・ギョンファさんがこうした対応を「粗悪だ」とか「薄情だ」とか言ったらしいのですが、ここにも韓国ならではの価値観が働いていると思われます。

「韓国に対して情があるのなら、配慮されるべきだ」という感覚です。


ちなみに、中国に対しても同じ措置を発表していますが、中国側は日本の対応に理解を示しています。先月から中国は日本からの入国者に対して同様の措置を取っていますからね。