「平和経済」を叫んでいるのに軍事力が増大している韓国の話

Global Firepower 2020が発表されました。ざっくり言うと軍事力指数です。

北朝鮮が7段階下がって25位とされている理由についてソウル新聞が取り上げていました。
と言っても、北朝鮮は口実で「韓国が北朝鮮を圧倒している」と言いたい記事のようです。

それとおまけのように日本について「日本は戦争できる国を目指している」と言っています。
わざわざ日韓の戦力の比較まで行っており、仮想敵国「日本」と戦争する前提としての視点が透けて見えるような気がします。
正直、こうした視点の記事は疑心暗鬼を招くので危険だと思います。乗せられないようにしましょう。


2017〜2020のランキング結果はこうなっています。

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ソウル新聞の記事からです。

韓国、「世界6位」軍事強国..北はなぜ7段階下落したのか【ミリタリーインサイド


世界138カ国の軍事力を比較する「グローバルファイヤーパワー」(GFP)のランキングに大きな変化が現れました。22日、GFPの分析によると韓国は今年、世界6位、歴代最高順位を記録しました。わずか3年前の2017年のランキングは11位*1だったという点を勘案すれば目に見える変化です。

GFPは戦車、艦艇、戦闘機など動員可能な戦力だけでなく人口、経済力、国防費など戦争遂行能力も合算して評価します。韓国は今年「国防予算50兆ウォンクラブ」に名を上げるほど戦力強化に集中しています。

(中略)

注意して見なければならない他の国は「日本」です。日本の今年の軍事力順位は5位、韓国より1段階高いです。日本は2017年7位でしたが、毎年順位を上げています。「戦争できる国」を夢見る日本は今年、韓国より10兆ウォン多く「60兆ウォン」を国防予算に編成しました。

韓日正規軍の規模はそれぞれお58万人と25万人、予備軍は310万人と5万6000人、戦車の数は2,614台と1,004台、陸上戦力では私たちが日本を圧倒します。一方、駆逐艦は40台と12台、大型輸送艦は4台と2台、航空機は1,561台と1,649台と、海・空軍力は日本が上であったり似たような規模です。日本はステルス戦闘機、弾道ミサイル防衛システム、広範囲レーダーなど先端兵器の導入と開発に集中しています。

(中略)

GFP数値で、北韓の国防予算は韓国の3.6%に過ぎません。北韓の国防予算は徐々に減り、韓国は増え、格差が引き続き拡がっています。ただし、北韓は国防予算相当額を外部に公表しておらず、実際の格差はもっと狭いという見方もあります。

戦争の遂行能力の重要な指標とされる「経済力」も韓国が圧倒します。
(中略)
北韓の正規軍は128万人で、韓国の2倍を越えています。しかし、予備軍の規模は60万人で韓国の19.4%に過ぎません。
(中略)
海・空軍力も韓国が北韓を圧勝します。北韓の戦闘機数は458台、韓国は414台と似ています。しかし、北韓の主力機は1980年代のソ連から導入したミグ-29です。
(中略)
北韓弾道ミサイル、大口径放射法発射訓練などで対外に軍事力を誇示しています。しかし一方で、北韓のこのような行動は「焦り」を表したものと評価する見方もあります。
(後略)

ソウル新聞「한국, '세계 6위' 군사강국..北 왜 7계단 하락했을까 [밀리터리 인사이드](韓国、「世界6位」軍事強国..北はなぜ7段階下落したのか【ミリタリーインサイド】」より一部抜粋

この記事で「韓国の順位は2017年12位(記事内では11位)、今年は6位、確かに大幅アップだ」と読むと勘違いしますので注意です。
韓国は2018年に7位に上がり、翌2019年も7位、今年は6位なので実質一段階アップです。
大幅な変化があったのは2018年です。このランキングを参考に情勢変化を探るのなら2016〜2017辺りと見当が付けられます。


記事では触れられていませんが、エジプトやブラジル、2017年以前は15位圏外だったイランの動きも気になります。


GFPがランキングの各国に付ける総評はメモ並に短いのですが、日本については「北朝鮮からの脅威に引き続き目を向けている」とされています。
そして北朝鮮については「予測不能」…つまり、日本は予測不能な事態に備えるために軍事力を上げざるを得ない状況なわけです。

軍事や国防に目が向くのは情勢不安だからです。
だからこそ「平和経済」を声高に叫んでいる韓国でも軍事力が増大しているわけでしょう。(これは明らかに矛盾した行為です)


*1:GFPの過去ランキングを確認すると「12位」。なぜ「11位」としたのか不明。記者の勘違い?