北朝鮮の狙いと今後の動きの話

韓国の元・国家情報院対北朝鮮情報官で、現在はワンコリアセンター代表を務めているクァク・キルソプ(郭吉燮)さんという人がいます。
金正恩重体説」が流れる中でもそれを否定していた専門家の一人です。
南北共同連絡事務所の爆破についても、実際に爆破が行われる6日前の6月10日に自身のYouTube動画内で「北朝鮮内の南側施設の撤去や砲撃破壊の可能性が高い」という趣旨の発言をしており、高い分析能力を持っていることが伺えます。

そんなクァクさんの考える「北朝鮮のシナリオ」、「金正恩の狙い」が紹介されていました。


趙甲済ドットコムの李知映さんの投稿「「北朝鮮内の南側施設破壊すること」前国家情報院北朝鮮分析官クァク・キルソプ予測また的中!(“북한 내 남측 시설 파괴할 것” 前국정원 북한분석관 곽길섭 예측 또 적중!)」から関連するところのみ抜粋しました。


まず、北朝鮮のシナリオの部分から。ポイントは2つ。

  • 危機を造成し、その責任を韓国に転嫁することで武装強化の名分とする
  • 米国との直接交渉のため、意図的に邪魔な韓国をバッシングして排除

クァク博士によると、北朝鮮は「緊張造成 - 責任転嫁 - 核ミサイル挑発 - 交渉」というシナリオを持って徹底的に計画的に動いている。金正恩が5月24日頃の軍事中央委員会拡大会議で指示した「激動的位置で戦略兵器を運用する。各部毎に関連する詳細な対策を立てよ」という指針が今まさに行われているということだ。
「表面上は対北ビラ問題を掲げたが実際は私たちが受け入れることが出来ない行為を介して緊張を造成し、その責任を南側に転嫁して核・ミサイル挑発をする名分を作るものである。自分たち(北韓)は、朝鮮半島の平和体制を構築するために努力するが、南側ではビラを飛ばして敵対行為を続けるので、私たちも自衛目的として核ミサイルを開発するしか無い、このような論理を持ち出すのではないだろうか」
彼は北韓の強硬対応が韓国政府を飼いならす目的もあると見た。北韓ムン・ジェイン政府が自認する「調停」「まとめ役」の役割に「牛が笑うこと」というなど、既に一線を引いてきた。クァク博士は、韓国政府が提示する人道支援や個々の観光などの協力案に北朝鮮が反応しないのは「米国との直接取引」のための意図的な韓国政府バッシング戦術と解釈した。


ついで、金正恩の狙いと今後の動きについて。
国際社会に北朝鮮を核保有国として認めさせること…これはずーっと言われていることですし、間違いないと思います。

緊張が高まる局面で私たちの政府に責任を完全に転嫁し、SLBMを搭載した潜水艦を換装したとか、SLBM発射を経て核ミサイル実戦配備を完了したと宣言することによって、国際社会に北朝鮮の核保有国の地位を刻印することが狙いということだ。その後、核保有国の資格で大統領選後の米政府との交渉を通じて経済難脱出路を模索するという予測だ。


北朝鮮が最重要視していることは「金一族による体制維持」です。それには国際社会に国家体制を認めさせる必要があります。そのために核開発を行ってきたわけです。

このように、北朝鮮が何を念頭に置いて動いているかを考えれば、最近の動きも何ら不思議ではなく、単にタイミングの話になります。

どこかの国の政治家さんたちは、行動の一つ一つを取り上げてその「意味」を個別に解釈しようとするから「木を見て森を見ず」状態になっているのでしょうね。