ボルトン回顧録「ムン・ジェインはキム・ジョンウンのスポークスマン、安倍は日韓国民のスポークスマン」という話

趙甲濟(チェ・ガプジェ)ドットコムにボルトンさんの回顧録の読書感想文要約があがっていました。
書いてあること全てが本当かどうかは分かりませんが、色々話題になっている本ですし、ちょっと見てみました。

全30項目と結構長いです。元の本が長いので多少は仕方なし。


趙甲濟ドットコムの記事からです。

ボルトン回顧録読書感想文の要約


(前略)

  1. ムン・ジェインとトランプは北核(北韓の核)廃棄という事案の本質ではなく、交渉を通じて各自の利益(私益)を追求することにより重点を置いた。
  2. トランプの私益はメディアの注目を受けて、今年再選することであり、ムン・ジェインの私益は国民を平和ムードに落とし、選挙に勝つなど左派政権の強化に利用することであった。
  3. 二人の国益背信行為により両国民は危険になった。国・国軍・国民の安全が犠牲になったのだ。
  4. キム・ジョンウンは、この間に20個以上の核爆弾を製造し、ミサイルの性能を向上させ、核の実戦配備を目前にしている。中国の対北韓制裁も緩くなった。三者の中で最大の受益者である。
  5. 北核交渉の全過程は対国民及び対メディア詐欺で、絵空事だった。左翼式扇動が外交政策に決定的な影響を及ぼした事例である。
  6. キム・ジョンウンは一度も「北韓の核廃棄」を約束したことがない。
  7. キム・ジョンウンが言う「韓半島の非核化」は、核心が韓米同盟解体であるが、ムン・ジェインとトランプはこれを「北韓の核廃棄」との説明で国民を誤導(誤解)した。
  8. キム・ジョンウンよりムン・ジェイン、トランプが嘘を多く吐いた。
  9. キム・ジョンウンにトランプとの会談のアイデアを提供したのはジョン・ウィヨンだという。
  10. ジョン・ウィヨンは2018年3月初旬、トランプに会った時に「キム・ジョンウンが非核化を決意しトランプに会いたがっている」とし、トランプは衝動的にこの提案を受け入れた。これは決定的な間違いであった。
  11. ジョン・ウィヨンはキム・ジョンウンの「朝鮮半島の非核化」を「北韓の非核化」に化けさせてトランプを罠に陥れたとみられる。
  12. ムン・ジェインキム・ジョンウンに聞いたとし、米国側に北韓の核廃棄を1年以内に終了するだろう、豊渓里(プンゲリ)核実験場の閉鎖時に米国及び国際的な専門家も立ち会わせる、というキム・ジョンウンの言葉を伝えたところ虚言となった。専門家の検証のない豊渓里実験場爆破は核開発の証拠隠滅のためだった。
  13. 2018年5月末、ボルトンがトランプを説得、シンガポール会談をキャンセルさせた時の落とし穴から抜け出すことが出来るチャンスがきたが、直後にキム・ケガンが発表した声明によりトランプが心変わりし、シンガポール詐欺に突き進む。
  14. トランプはキム・ジョンウンの親書を持ってきたキム・ヨンチョルに「私は韓米軍事訓練を嫌っている」と天機を洩らした*1
  15. トランプはひたすら予算を節約しようと在韓米軍を撤収させたい衝動を制御することが難しい政商輩*2的人物である。
  16. シンガポール会談の合意文の草稿は6月12日の朝まで用意されていなかった。トランプはその内容に関わらず、ひたすらキム・ジョンウンと握手、談笑するショーに集中した。
  17. シンガポールキム・ジョンウンはよく準備してきており、トランプは勉強をしていなかった。キム・ジョンウンがトランプをおだてた後、韓米軍事訓練の中止を要求すると、トランプは待っていたようにその場で停止を約束した。国防当局者との事前の議論もせず、韓国政府と相談もせず、キム・ジョンウンの宿願事業を聞き入れたのだ。
  18. この日、キム・ジョンウン板門店ムン・ジェイン大統領の韓米軍事訓練中止を要請したところ、それは米国が決める問題だと話したという秘話も打ち明けられた。これが事実なら、ムン・ジェインは卑怯である。韓米軍事訓練の中止は韓国と米国が決める問題として北韓が介入するのは内政干渉だと講義すべきだった。
  19. シンガポール合意文は北韓に一方的に有利なものであった。「韓半島の非核化」のために相互に努力していくことで合意した、という形だった。トランプはキム・ジョンウンに「行動対行動」の段階的解決策にオープンな姿勢であることを見せるような言質を与えるなどした。
  20. シンガポール会談以後、トランプはキム・ジョンウンとの親交を誇示して北韓の核問題はもう解決された、とする宣伝のために、その後の実務者会談は全く進捗が無く、非核化のための最初の段階である核施設申告問題は触れることも出来なかった。トップダウン方式の交渉はしてはいけないのだ。
  21. 安倍とムン・ジェインの態度は正反対だった。ムン・ジェインキム・ジョンウンのシニアスポークスマン、安倍は韓国と日本人のシニアスポークスマンのように行動した。安倍は「北韓は信じられない、核は絶対にあきらめない、長距離ミサイルだけでなく、韓国と日本に脅威となる短距離ミサイルも問題だ、拉致問題も取り上げなければならない、化学・生物兵器もなくさなければならない、行動対行動の段階的解決で詰まらない利益にしてはいけない」と、しきりにトランプを説得、教育した。
  22. ハノイ会談はシンガポール惨敗のボルトンの復讐劇だった。複数回トランプに代案を提示して作戦を議論、協議を破るのが効果的と判断した。
  23. 寧辺(ニョンビョン)施設の閉鎖、という一つのカードだけを持って出てきたキム・ジョンウンは、トランプが制裁解除を拒否すると慌てて痛ましいほどすがりついた。キム・ジョンウンとしては消せない屈辱を受けたものである。
  24. ハノイ会談直後、ムン・ジェインはチョン・ウィヨンを通じてボルトンにつじつまが合わない精神分裂的評価を伝えた。
    <行動対行動の段階的解決を拒否したのは良かった。しかし、寧辺の施設の廃棄はかなり意味がある。>
  25. ムン・ジェインは3次米朝首脳会談を提案したが、トランプはこれを拒否した。板門店や米国の船舶上で会談を行い、自分も同席しよう、というものだった。
  26. 板門店でトランプ - キム・ジョンウンが会ったのは写真を撮るためで、それ以上でも以下でもなかった。キム・ジョンウンとトランプは、ムン・ジェインを排除しようとした。ムン・ジェインはそれを「事実上の終戦宣言」と宣伝した。
  27. ムン・ジェインは実質よりも形式を重視する。
  28. 終戦宣言は北韓も熱心ではない。これはムン・ジェイン政府の統一計画と繋がっているが、これはムン・ジェイン低い次元での連邦制統一を夢見ているのではないかと疑わせる。終戦宣言の偽平和ムードを拡散させ、改憲、保安法の廃止など連邦制統一の道を開く駆け引き。
  29. トランプは在韓米軍駐留に費用が掛かるとしながら、年間駐留費分担金50億ドルを受け取らなければならず、必要に応じて撤退カードを突きつけると煽る。彼が再選すると駐韓米軍が撤収する可能性も排除できない。
  30. ボルトンはトランプの外交政策はほとんどすべてが再選得失と関連誌ていると暴露し、大統領の資格がない人物だと断定した。ムン・ジェインはまた対北政策を執権延長の手段として利用している。非核化詐欺、笑劇、コメディ。



趙甲濟ドットコム「볼턴 회고록 독후감 요약(ボルトン回顧録読書感想文の要約)」より一部抜粋


繰り返しになりますが、回顧録の内容がどこまで本当かは分かりません。主観によるものですから、ボルトンさんにとっての真実であっても事実とは限りません。
ですが、大筋の流れとしては辻褄が合う気がします。
あくまで個人の回顧録であって、情勢分析本では無い点に留意して気になる人は読んでみてもいいんじゃないでしょうか。


韓国メディアの一部報道では、安倍さんがトランプさんに色々言ったことで「邪魔をした」と見る向きがあるようです。


*1:重大な秘密をもらすこと。天機洩漏(てんきせつろう)。

*2:政権を利用して私的な利益を得ようとする輩。