ラオスのダム崩壊事故、1000億ウォンの補償に合意した話

2018年にラオスで崩壊したダムを覚えておいででしょうか?
水力発電で作った電気を売る売電事業のためにラオス南部に建設中だったセピヤン・セナムノイ水力発電ダムのサドル・ダム(副ダム)が台風9号の大雨により決壊した事故です。
この事故により、少なくとも42名が亡くなり、14,000人以上が被害にあっています。

今回、ラオスとダム建設の主体企業であるPNPC(Xe-Pian Xe-Namnoy Power Company)との間で、事故補償費として1000億ウォンの合意がなされました。


PNPCは、SKが26%、韓国電力会社が25%、タイ企業が25%、ラオス国営企業が25%の比率で出資した合弁会社であり、実際の建設にあたっていたのはSK建設です。

ここだけ見ると、日本は関係ないように見えますが、PNPCに融資しているタイのアユタヤ銀行は、株式の76.88%を三菱UFJ銀行保有し、子会社化しています。「資金融資」という立場から見れば、日本もあながち他人事でもありませんので軽く紹介しておきます。


朝鮮Bizの記事からです。

SK建設施工「ラオスのダム崩壊事故」補償1000億ウォンで合意


(前略)

9日、現地の日刊ビエンチャン・タイムズによると、ソーンサイ・ラオス経済副首相は最近国会で「ラオスアッタプー県とセピヤン・セナムノイ水力発電プロジェクト事業者である「PNPC」が今年4月10日、補助ダム崩壊事故に伴う補償・復旧費として8280億キープ(約9170万ドル・1094億ウォン*1)で合意し、補償が行われている」と述べた。

補償・復旧費のうち、4750億キープ(約5260万ドル・629億ウォン*2)は、犠牲者と財産被害に対する補償金として支給され、3350億キープ(約3910万ドル・467億ウォン*3)は、交通施設などのインフラ復旧費用に使われる予定である。

ビエンチャン・タイムズは補償金として、被災者のための住宅700軒を建設する作業が開始されたと伝えた。

SK建設側は「今回の合意はPNPCが事故原因に関係なく、先に被害を保証することにしたものである」とし「被害補償と回復が迅速に行われることができるよう積極的に支援する」と述べた。

ラオスの国の調査では、昨年5月に独立した専門家委員会(IEP)の調査結果に言及して「ダム崩壊を不可抗力的な事故と見なすことができない」という結論が出たと述べた。続いて「適切な措置で防ぐことができた崩壊事故」と明らかにし、事実上の人災だったことを示唆した。

SK建設側はIEPの調査結果について「事故前後に実施した精密地盤調査結果と一致していないなど、科学的、工学的根拠が欠けていいる」と異議を提起した状態だ。

(後略)

朝鮮Biz「SK건설 시공 '라오스 댐 붕괴사고' 보상 1000억여원 합의(SK建設施工「ラオスのダム崩壊事故」補償1000億ウォンで合意)」より一部抜粋


事故原因の見解は相違があるけれども、事故が起こったことは間違いない事実なので、事故原因の如何に関わらず、被害者補償は率先して行っていきます、とこういうことです。


被災した人たちが事故前の生活に完全に戻れることはありませんけれども、一日も早く落ち着いた生活が送れますように。


*1:約96億円

*2:約55億円

*3:約41億円