有事の際は日本も敵国扱いの話

朝鮮日報のコラム「萬物相」に空母の話が取り上げられています。


日本は2025年までを目途に「いずも」を軽空母に改造するなどの計画がありますが、韓国も2030年代前半の実戦配備を目指して軽空母配備を計画しているそうです。

コラム記事ではこの件について、主に軽空母建造に掛かる莫大な予算と維持費を問題視しています。というのも、空母保有国は例外なく広大な海や海外活動領域を持っているのに対し、韓国はそうではないためです。


記事の指摘は最もだと思うのですけれど、個人的には内容そのものではなく、サラっと日本を「仮想敵国」として書いてあることの方が気になりました。


一応、コラムがなぜ韓国が軽空母を持つことに否定的なのか、簡単に延べておきますと、韓国と日本を比較した場合も、日本の排他的経済水域は韓国の約8倍と広大な広さなのに対し、韓国の近海である黄海(韓国でいう「西海」)は幅が狭く、空母が作戦展開するには現実的ではないからです。

それなのに、莫大な予算と維持費を投じて空母を保有する意味があるのか?という疑問です。


コラム記事は日本語版に掲載されていますので、その他の部分はそちらを見ていただくとして、気になった記述の部分を以下に引用します。


中国は、「空母キラー」の対艦弾道ミサイルを実戦配備した。また中ロは、マッハ10以上の極超音速ミサイルも配備している。日本もきちんとこれについていっている。


韓国には、これを防御する手段がない。有事の際、韓国の軽空母が中・日・ロにとってお手軽な「高価値ターゲット」になる - という意味だ。


朝鮮日報【萬物相】韓国型軽空母?」より一部引用


サラっと「有事の際、日本は韓国を攻撃する」という視点でもって書かれているのが分かります。

今までも、例え有事であっても自衛隊を韓国国内に「上陸させてはいけない」という内容はたくさん見てきましたが、ここまではっきり「日本の攻撃目標にされる」という書かれたものはあまり見かけた記憶がありません。(しかも日本人向けの記事で...)

確かに、日本と韓国の間で直接軍事同盟は結ばれていませんけれども、極東アジアを西側諸国(自由主義陣営)と東側諸国(社会主義陣営)に分けた場合、日韓は同じ陣営に属します。さらに、共通の同盟相手である米国が居ます。

にも拘らず、サラっと日本を「有事の際の敵国」となる前提で記事を書いている感覚の根底には、「日本は韓国の地を狙っている」という考えが強く影響しているのだろうと思います。


記事は軽空母計画について、過去の韓国大統領府の関係者が「日本の軽空母より韓国のものの方が大きいということを積極的にPRすべき」というような発言をしたことに触れ、冷静に分析、推進すべき安保(戦力増強)でさえ、反日の政治論理の影響を受けている、と指摘しています。
でも記事自体も「日本は仮想敵国」という同じ反日論理を通しているように思えてなりません。もちろん、安保に前提はタブーなんですけどね。