「電子足輪」装着してても再犯件数が増えている話

以前、韓国の性犯罪の再犯率が高いという記事を紹介したことがあります。(こちら
そのときは盗撮や強制わいせつの話でしたが、電子足輪を装着するようなケースでも再犯件数が増えているようです。

電子足輪装着の対象となるのは、19歳未満(未成年者)に対して誘拐・殺人などの重犯罪または性犯罪を犯し、再犯の危険性がある場合です。期間は量刑により変わります。


毎日経済の記事からです。

「電子足輪」満たしたが...上半期だけで再犯30件


(前略)

1日、法務部によると今年上半期に性暴力で電子足輪を装着した前科者の同種再犯事件は30件発生したと集計された。電子足輪装着車の性的暴行再犯率は、制度が導入された2008年に1件と集計されて以来、毎年着実に増え、2018年に83件の最高値を記録した後、昨年は55件に減少した。
しかし、コロナ19事態で社会的距離を置くをはじめ、基本的な治安状況がより強化された今年の上半期だけで30件発生し、このような傾向が続けば昨年の数値を超える見通しだ。

電子監督制度は再犯の危険性が高い犯罪者の身体に電子デバイスを接続して24時間対象者の位置と移動経路を把握し、保護観察官の指導・監視を受けるようにした措置だ。

(中略)

問題は、電子足輪を着用しても再び犯罪を侵す事例が続いているという点である。

(後略)

毎日経済「'전자발찌' 채웠지만..상반기만 재범 30건(「電子足輪」満たしたが...上半期だけで再犯30件)」より一部抜粋


毎年着実に増え...って、一切何の抑止効果も周囲の自衛への貢献も無かった、ってことですよ。

記事の末は「人手不足」により十分な保護観察業務が行えていない、としています。
実際、電子足輪装着者は3000人を超えており、それを約230名の保護観察官で管理・監督している状態だそうです。

しかし...これって人手だけの問題なんでしょうか?


記事では2013年以降の件数のみ載っていました。表にすると下記のようになります。

件数 (変動件数))
2013 30
2014 48 (+18)
2015 53 (+5)
2016 58 (+5)
2017 66 (+8)
2018 83 (+17)
2019 55 (-28)


※電子足輪の対象になるのは誘拐・殺人のケースもありますが、記事の主題が「性犯罪」に特化しているので、以下はその点についてです。


性犯罪に走るような人は過度なストレスを溜め込んでいる場合が多いとされます。
電子足輪により「24時間監視されている」という事自体が大きなストレスになっている可能性もあるのではないでしょうか?

社会復帰後に「監視」するより、お勤め中のカウンセリング「治療」のあり方を見直す方が良い気がします。
少なくとも、日本で議論されるのであれば、いかに「監視」するかより先に、あるいは同程度の重要性を持って「治療」のあり方が議論されるべきだと思います。


治療の効果ってなかなか目に見えないので、目に見える電子足輪の方がお手軽かつ確実なように思えてしまうのですけれど、結局の所、被害者を増やすだけになりかねません。