「韓・中・日の平和庭園」、市民の反発で銅像設置が白紙になった話

韓国全羅南道の順天市が、「韓・中・日の平和庭園」というものを計画していたそうです。
2025年完成を目指して、文禄・慶長の役*1当時に参戦した日中韓3ヵ国の将軍の像を建てる計画が出されていました。日本の像は小西行長の予定でした(過去形)。

太平洋戦争当時、敵として戦った日本兵と米兵が式典で顔を会わせる、という演出がよくありますよね。
かつて敵だった者たちが一同に集うことで「平和」の象徴とする、あんな感じです。


常々、韓国人にはこうした情緒は理解できないのではないかと思ってました。
敵はずっと敵、罪人は子々孫々罪人、加害者は永久に加害者...こうした普遍的な存在価値を追求するのが韓国社会だからです。

で、やっぱり理解されなかったようです。
「市民」による反発で、小西行長の像は取り消しになりました。


中央日報の記事からです。

「土着倭寇か」議論に...朝鮮侵略「日将帥像」を結局撤回した順天市


全羅南道順天市が「韓・中・日の平和庭園」を造成し、設置しようとしていた日本の武将の銅像建立計画を18日に最終的に撤回した。

先に順天使は、平和の庭園を造成し、朝鮮侵略の先頭に立った小西行長銅像建立を推進し議論をもたらしたことがある<311億、順天平和庭園に...’朝鮮侵略’日武将銅像建立とはとんでもない話、中央日報9月17日付報道>。小西は1592年、婿である対馬領主・宗義智とともに兵力1万8000人を率いて釜山を進行し、日本軍急先鋒として活躍し、平壌まで陥落させた人物である。

当初、順天市は2025年までに海龍面新城里の順天倭城の一部(旧・忠武小学校の敷地)に国費・道費・市費など計311億ウォンをかけて平和庭園を造成し、丁酉災乱*2当時参戦した韓・中・日の将軍5人の銅像建立を推進してきた。東アジア3カ国の7年戦争の追慕と平和共存の場として作る趣旨だ。

(中略)

すぐに市民の反発が起きた。血税を投じて敵将の像を建てるのか」という主張だ。

(中略)

結局、順天使は平和の庭に像を建てる代わりに名もなく死んでいった民衆と無名の勇士たちの魂を称える記念碑と平和のメッセージを込めた敷石だけ造成することに計画を変更した。

(後略)

中央日報「"토착왜구냐" 논란에..조선 침략 '日장수 동상' 결국 철회한 순천시 (「土着倭寇か」議論に...朝鮮侵略「日将帥像」を結局撤回した順天市)」より一部抜粋


将帥というのは、一軍を率いる指揮官のことですが、日本の一般的な読み物としては「武将」とした方がしっくりきそうなので、本文では変えています。原文ではすべて「将帥(장수)」です。


順天市は「こんなんなりますよ〜」って完成予想図↓をポスターにして公開したらしいんですね。


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一番右端が小西行長らしいですよ。髷っぽいものが見えますね。
中・韓代表が誰だったのか書いてないんですけれど、まあ、朝鮮代表に李舜臣が入っているのは確実でしょうね、他にいませんから。


*1:豊臣秀吉朝鮮出兵。韓国では「壬辰・丁酉の倭乱」とも。

*2:慶長の乱