国家、家計、企業...韓国の3つの負債が3つとも過去最大になったそうです。
国家と企業については、2013年と比べて7年でおよそ倍近くになっています。
家計負債に関しては2003年以降、5年毎に約300兆ウォン*1規模で拡大しています。(先進国では家計負債は減少する傾向にある)
ちょっと速度が早すぎるように感じます。
聯合ニュースの記事からです。
国・家計・企業の借金、すべて過去最大...合わせて5兆に迫る
(前略)
5日、国会企画財政委員会所属の国民の力、チュ・ギュンホ議員が分析した資料によると、昨年の国の負債は2千198兆ウォン*2、家計負債は1千600兆ウォン*3、企業の負債は1千118兆ウォン*4、合わせると4千916兆ウォン*5に達する。
(中略)
2019年、公式の国家債務は728兆8000億ウォンで、国内総生産(GDP)比の割合は38.0%である。2017年基準では韓国総人口で割ると1人当たり1千409万ウォン、総世帯で割ると1世帯当たり3千623万ウォンだ。資産が2兆ウォン以上または、政府が損失を補填する公共機関を基準に計算した場合、公共機関の負債は525兆1000億ウォンで、GDP比27.4%である。
年金引当負債は944兆2000億ウォンで、GDP比49.2%である。
国家負債と公共機関の負債、年金引当金を合わせた国の責任負債は全部で2千198兆1000億ウォンで、 GDP比114.5% に達している。国民1人当たり4千251万ウォン、1世帯当たり1億927億万ウォンだ。
国の責任負債は、2013年に1千609兆ウォン、2016年に1千879兆9000億ウォン、2017年に2千1兆2千億ウォン、2018年に2千124兆1000億ウォンに増加し、毎年過去最高を更新、2019年にはさらに増えた。
(中略)
2019年の家計負債(家計信用)は、1千600兆3000億ウォンで GDP比83.4% である。1人当たり3千95万ウォン、1世帯当たり7千955万ウォンだ。このうち住宅ローンは842兆9000億ウォンである。
(中略)
企業の負債は2013年に705兆8000億ウォン、2016年に871兆ウォンで、2018年に1千26兆7000億ウォンと1千兆ウォン台に乗った。今年第2四半期基準では1千233兆8000億ウォンまで増えたことが分かった。
(後略)
聯合ニュース「국가·가계·기업 빚 모두 역대 최대…합치면 5천조 육박(国・家計・企業の借金、すべて過去最大...合わせて5兆に迫る)」より一部抜粋
企業負債はGDP比にすると、およそ 58.3% になります。
少し前に韓国の国家負債はGDP比45%とされているけれども、国際基準に照らすと109%に跳ね上がる、という趣旨の記事をご紹介しました(こちら)。114%という数字は更に悪化しています。
このときに比較対象として揚げられていた日本の数字は
- 国家負債 237.1%
- 家計負債 57.2%
- 企業負債 106.4%
となっています。(すべてGDP比)
国家 − 家計 − 企業というのはゼロサムの関係にあります。どこかが得をするには、どこのかの資産を回す必要があります。(というのがマクロ経済の基本的な考え方)
国家の収入を増やすには、税金(法人税、所得税その他税収)を上げるしかありません。そうすると、家計と企業は財政が圧迫されます。
企業の利益を増やすには、法人税を引き下げ(国家にマイナス)、給与を引き下げる(家計にマイナス)ことが必要です。
家計の収入を増やすには、所得税などを下げたり給付金をバラまいたり(国家にマイナス)、給与を増やす(企業にマイナス)必要があります。
このように、必ずどこかにシワ寄せがくる構図になっています。
日本の数字を見ると、国家負債に比べて家計負債が少ないです。
家計負債の最たるものは住宅ローンですが、クレジットカード決済も含まれます。
日本は韓国に比べ、カード決済の利用率が高いとは言えませんので影響はあるかもしれません。それにしても家計負債の数値は明らかに低いです。
これは、韓国が1997年のIMF事態(金融危機)から脱するために積極的にクレジットカード普及に努め、国民に支出を促し、それにより国と企業を支えたのに対して、日本は俗に言う「失われた10年とか20年」とかの間、国民に借金させず、政府が借金する道を選んだ政策の違いです。
どっちが正しいとは言えず、どのようにバランスを取ったかの違いです。
ただ、ここに来て韓国は家計負債以外の急拡大が目立ちます。
ムンさんは度々「戻ることができないほど〜」とよく言いますが、負債に関しても同じ腹積もりなんでしょうか?
国家だけでなく、家計も企業も皆で戻れない橋を渡るつもりなんでしょうか?