韓国の裁判所が先月7日に、三菱重工に対する資産差し押さえを公示通達することを決定していたそうです。(報道を見た覚えがなかったのですが、気づかなかっただけかも)
期限は来月10日。このままだと裁判所は強制的に売却命令を下すことが出来るようになります。
まあ、売却命令を止めるには三菱重工が賠償に応じる以外あり得ないんで、今更な話ですけれども。
ニューシスの記事からです。
日強制動員三菱の国内資産売却可能。来月10日に効力
(前略)
29日、勤労挺身隊おばあさんと共にする市民の会によると、三菱側が国内に保有している商標2件の特許権6県を押収したことと関連して、大田地裁が最近、売却命令の申請に伴う審問書を公示送達することに決めた。
売却命令に基づく効力発生は、来月10日の深夜からだ。
(中略)
差し押さえた資産について売却命令を下すには裁判所が被告の意見を聞く尋問手続きを進めるが、大田地裁は公示送達を介してその手続きが完了したと見なすという意味である。
ニューシス「日 강제동원 미쓰비시 국내자산 매각 가능..내달 10일 효력(日強制動員三菱の国内資産売却可能。来月10日に効力)」より一部抜粋
「資産売却」という似たようなネタの記事がたくさんありますので、ちょっと整理しておきます。
まず、韓国最高裁は日本製鉄(2018年10月)と三菱重工(2018年11月)に相次いで賠償金支払い判決を出しています。
二社は支払い命令に応じなかったので韓国内資産の差し押さえ措置が取られています。
次に、資産を差し押さえた事実は書面で通達をしないといけないのですが、日本は2018年にハーグ送達条10条(a)への拒否宣言をしているため、二社への直接郵便での通達が行なえません。(日本外務省宛に送達しても送り返されてくるので届いていない)
そこで韓国の裁判所は今年の6月に日本製鉄向けの通達を公示通達に切り替えました。官報など、公共性の高いものに掲示することで「通達した」と見なすことです。
これにより8月4日午前零時以降、日本製鉄に対して「資産差し押さえ通達」は効力を発揮します。
10月の上旬に「12月9日から売却命令が可能になる」という報道が出ていたはずですが、それはコッチのことです。
日本製鉄に対して公示通達が行われたタイミングで「三菱重工にも公示通達せよ」という要請が原告側からありました。
今回の記事はこちらの話で、来月の10日に公示通達された(日本製鉄で言うと8月4日の状態)と見なされます。
実際の売却命令は更にその後です。