対北ビラ散布禁止法への批判、続々と広がる話

韓国で少し前に北朝鮮に対するビラ散布を処罰する「対北ビラ禁止」法が成立しました。

これに対して米国務省や人権団体が続々と「北朝鮮の要求と脅威に降伏するもの」と批判していました。

更に、米議会の人権委員長の一人が新たに「明白な憲法違反」と強く批判する声明を出しました。彼は韓国を「監視対象リストに入れることになるだろう」とまで言っています。
また米議会で聴聞会を開く、とも。記事によると、「友好国」の立法に対して米議会が聴聞会を開くのは「異例」とのことです。


東亜日報の記事からです。

国務省・人権団体に続いて...議会、「対北ビラ散布禁止」批判の隊列に加わる


(前略)

米議会で前面に出た彼はクリス・スミス米国下院議員だ。彼は20選の重鎮として39年目議員活動を行っており、議会内超党派的な国際人権機構である「トム・ラントス人権委員会」共同委員長として人権分野に深い関心を示してきた。彼が11日(現地時間)、韓国の対北ビラ禁止法に対して出した批判声明はこれまで米国議会や議員が韓国政府に向かってまとめた人権関連声明と比較してより表現が厳しく水位が高い。

クリス委員長は対北ビラ禁止法について「明白なる韓国憲法への違反であり、『国際市民的・政治的権利に関する国際規約(ICCPR)』遵守義務に反すること」と指摘した。「ムン・ジェイン大統領の国会同士たちはなぜ根本的な市民的、政治的権利に対する義務を無視しようとするのか」「このばかげた(inane)立法は共産主義北韓を黙認すること」と批判した。

彼は法案が最終的に可決された場合、国務省の年次人権報告書及び「宗教の自由報告書」で韓国に対する評価の見直しを要請し、関連問題に対する議会の聴聞会を推進すると述べた。友好国である韓国の立法に対し、米議会で聴聞会まで開くというのは異例のことだ。彼は「我々は恐らく韓国を監視対象者リスト(watch list)に入れるようになるだろう」という警告も出した。このほか、対北ビラ禁止法を批判し、その撤回を求める決議案も発議する事がわかった。

クリス・コーンズ上院議員も同日、自身の選挙区であるデラウェア州ウィルミントンを訪れた国民の力チ・ソンホ議員に「バイデン次期大統領の外交安保チームに対北ビラ禁止法に関する内容を伝える」と力を加えた。バイデン次期大統領の側近で、国務長官候補にも名が上がったコーンズ議員は、バイデン氏の引き継ぎ委員会*1などに相当の影響力を持っている人物と評価されている。

(中略)

先だって10日にはサム・ブラウンバック国務省宗教の自由担当大使とモース・タン国際刑事裁判所大使がチ議員に会った席で「問題が深刻だ」と対北ビラ禁止法の問題に憂慮を表明した。5日には国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチHRW)が北韓に向けたビラ禁止法について「対北ビラ散布禁止法が制定されれば、韓国人の表現の自由の権利を侵害し、人道主義・人権活動を犯罪行為にする」と批判する声明を出した。

東亜日報「美 국무부-인권단체 이어…의회, ‘대북전단 살포 금지’ 비판 대열 동참(米国務省・人権団体に続いて...議会、「対北ビラ散布禁止」批判の隊列に加わる)」より一部抜粋


監視対象者リストに入れる」とは、事実上「友好国ではない」のと同じです。
韓国が「こちら」に留まるつもりか「あちら」へ渡るつもりか、見極めようとしているのかもしれません。


韓国は米国からの「友好国」扱いを捨てたとして、それに見合うものを北朝鮮から得られるでしょうか?多分、無理でしょう。


*1:大統領業務を円滑に引き継ぐために専門家らによって組織される委員会。