韓国の民主主義後退の話

昨年発表された2019年の民主主義指数によると、世界の民主主義国家の数と非民主主義国家の数が18年ぶりに逆転し、民主主義国家が少数派になったとされています。
世界的に民主主義は後退していることになります。
※ちなみに、日本は「欠陥のある民主主義」と評価されています。「政治参加」のスコアが著しく低いのです。

お隣の韓国ではアメリカの政治学者ラリー・ダイアモンドさんが文化日報とのインタビューで「韓国の民主主義が後退した」と述べています。
この流れは今後も続きそうです。日本も他人事ではありません。


文化日報の記事からです。

[単独]「韓、民主主義の後退。与、野党無視 - 法・検察に不当な圧力」


民主主義の世界的な学者であるラリー・ダイアモンド米スタンフォード教授は13日、韓国の共に民主党が「野党を無視して裁判所・検察に不適切な政治的影響力を拡大してきた」と指摘した。

(中略)

ダイアモンド教授はこの日、文化日報との単独インタビューでドナルド・トランプ米大統領がもたらした米国の民主主義の危機を指摘し、「韓国でも民主主義が後退している」と述べた。「民主主義の精神」など多数の民主主義関連著書を出してきたダイアモンド教授はイラクなど世界の民主主義の現場で直接民主主義を研究する活動家でもある。

特にダイアモンド教授は「私たちが追求すべき民主主義は牽制と均衡、司法独立、検察独立、情報社会の独立を尊重すること」とし、「政治的反対者たちとも最低限の共通点を探そうとする努力を見せること」と強調した。ムン・ジェイン政府と与党民主党が選出された権力、または多数党であることを掲げ、一方的に推進した国政運営と裁判所・検察、監査員などの独立性を侵害する行動が民主主義に反するものだという批判と解釈される。また、ダイアモンド教授は「単に多くの参加者がおり、草の根的情緒がある、というだけでは民主的政党として認められない」と指摘した。

文化日報「[단독]"韓민주주의 퇴보.. 與, 野무시-法·檢에 부당 압력"([単独]「韓、民主主義の後退。与、野党無視 - 法・検察に不当な圧力」)」より一部抜粋


よく勘違いされますし、私もつい勘違いしてしまいがちですが、民主主義と数の暴力は違います。
選択肢がAしかない状況でAが選ばれたってそれは民主主義ではありませんし、「選挙」とは勝った政党がその後「何をしても良い」という免罪符でもありません。
民主主義は多くの参加者が賛成することはもちろん、同時に少数派の声をきちんと拾い上げられているか、ということが大事になります。

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そのアメリカの教授は、大韓民国の検察が世界中のどの国にもない起訴権と捜査権の両方を持つ強大な権力ということを知って言ってやがんのか?よく言ったもんだね。牽制と均衡。検察組織は牽制と均衡を超越した力を持ったので、それを壊さなくちゃ。誰が牽制と均衡を保つ?政権と議会だ。


お隣の我が国、日本の検察組織も起訴権と捜査権の両方を持っておりますが、なにか?
昨年、検察庁法改正案で黒川さんが叩かれていたとき、日本ではむしろ「検察への政府の影響力が増大する=検察の独立性が損なわれる」ことを懸念する声が大きかったように思います。
ところが韓国では逆で、ムン政権による検察改革(政府による検察掌握)が歓迎されています。
この差はなんなんでしょうね?