九州と韓国を繋ぐ「海底トンネル構想」を4月の釜山市長選の公約に掲げたとか掲げてないとかいう話が出てきました。
随分前に「経済性なし」として頓挫したような気がしていたんですが...それを日本への打診も無しに急に持ち出して勝手に「公約」にしてしまう感覚が理解できません。
でもそれよりも与党の一部議員が「日本だけが得をする利敵行為だ」と非難したことの方がメディアでは大きく取り上げられているようです。
過去には金大中さんも盧武鉉さんも「日韓海底トンネル」に言及しているため、彼らも「親日」だと言いたいのか、ということのようです。
え、そっち？というが正直な感想です。日本に打診してもいない事を公約に掲げる、日本は韓国の「敵」だと言っているも同然、とかそういう指摘が無いわけではないんですけど、問題の着目ポイントの優先度がおかしい気がします。自分たちはすぐに「外交欠礼だ」って騒ぐのに。
ハンギョレの記事からです。
「韓日海底トンネル」に思いがけず「色論」
国民の力が4･7再補欠の釜山市長選挙を控えて発表した「加徳島 - 九州海底トンネル」公約に思いがけず親日議論が巻き起こった。韓日間の海底トンネルを作れば日本に一方的に有利なため「親日公約」というのが民主党の主張だが、民主党内でも無理に親日フレームを被せようとしているという批判が出ている。
民主党のチェ・インホ首席報道官は2日午前、書面を出し「韓日海底トンネルは日本の利益がより大きくなるという点で推進力を得られなかった親日的議題」とし「日本が先に提案もしなかった未成熟な問題を広域団体の長の選挙を前に突然取り上げたのは本当に無責任な措置」と批判した。続いて「北風工作に海底トンネルまで国益を考慮せずに選挙にだけ没頭する国民の力は誤った主張を撤回せよ」と主張した。
ホン・イクピョ政策委議長もこの日＜韓国放送＞（KBS）の「キム・ヒョンレの最強時事」に出演し「海底トンネルを通じて韓国が得る利益は日本と差があるというしかないが、日本は韓国と北韓を経て中国、ロシア、ヨーロッパまで行ける道が開かれる」とし「非常に不適切な選挙公約だ。韓国より日本のための政策なのになぜ急に突拍子もなくおっしゃるのか分からない」と批判した。「また私たちが得る収益が約5なら日本が得る収益は約500以上になる」とし「これこそキム・ジョンイン委員長がおっしゃった利敵行為に近い」と批判した。
（中略）
国民の力は特にキム・ジョンイン非常対策委員長の発言を「利敵行為」と言及したホン・イクピョ政策委議長に矛先を向けた。キム・イェリョン報道官は論評で「思いがけず『日本だけが有利になる』更には『利敵行為』とまで言い野党第一党を攻撃する旧時代の遺物のような政治をする低意が疑わしい。韓日海底トンネル推進が『利敵行為』なら民主党は日本を敵と規定しているのかも問いたい」と反発した。
民主党内でも過度に単純な一次元的批判という指摘が出ている。海底トンネルは航空業界、宿泊業界などの利害関係が複雑に絡み合い、地域の利益と国家の利益を総合的に考えなければならない複雑な事案だが、あまりにも断片的な「善悪の議題」になってしまったということだ。
（後略）
ハンギョレ「‘한일 해저터널’에 난데없는 ‘색깔론’（「韓日海底トンネル」に思いがけず「色論」）より一部抜粋
「色論（색깔론）」というのは、日本だと共産主義者の事を「アカ（赤）」と呼んだりするように思想に色付け（レッテル貼り）することです。「従北」とか「親日」とか。左派・右派関係なく使われるようです。
日本語でちょうどいい訳があるのか分からなかったのでそのままにしていますが...「政治色論争」とか「イデオロギー論争」とか言い換えても良いかも。
「日本に一方的に有利」というのが日本人としてはピンと来ないと思います。
韓国人の一部には「日本は大陸国家になりたい（と熱望している）」という強い思い込みがあります。
その背景には島国が「劣」、大陸が「優」という固定観念があるのと、豊臣秀吉の朝鮮出兵と日帝による朝鮮併合を「大陸進出への野心のため」という前提で見ているからです。
この辺りの解釈は人それぞれあると思います。が、少なくとも現代を生きている一般的な日本人は大陸国家に特別な憧れや、大陸への領土的野心は持ってないんじゃないでしょうか？（そういう所が時代錯誤というか、一体「いつ」を生きているのだろう、とたまに疑問）
「日本は韓国と北朝鮮を経て中国とロシア、ヨーロッパにまで行ける道が開かれる」という主張には失礼ながら思わず笑ってしまったのですが...韓国はいつから北朝鮮と行き来自由になったんでしたっけ？
現在の韓国は、半島と大陸の出入り口を北朝鮮に抑えられている盲腸立地です。大陸国家でありながら大陸に地続きでアクセスできず、さりとて海洋国家にもなれない中途半端な存在だと思います。
北朝鮮問題が解決する「前提」でトンネルを掘り始めるなんて、取らぬ狸のなんとかです。
