「契約の本質は意思表示の合致である」という話

慰安婦の「契約書」について、その本質は「紙」ではなく「意思表示の合致」にある、として慰安婦の証言集から彼女たちがきちんと「契約」を結んでいたとする事例を、お馴染みイ・ウヨンさんがコラムで紹介していました。


メディアウォッチの記事からです。

[イ・ウヨンコラム]ハーバード大学慰安婦論文をめぐる議論、それでも契約はあった


ハーバード大学ラムザイヤー教授の慰安婦関連の論文で契約書が証拠に提示されていないと批判する人たちが多い。しかし、法学教科書に寄ると、 「契約」の本質は「意思表示の合致」 であり、「契約書」は単にその「証拠」に過ぎない。次の状況を見よう。韓国挺身隊研究所が発行した「中国に連行された朝鮮人慰安婦たち2」(ハンウル出版社)から引用する。

ペ・ジュンチョル(質問者):「それでは、その家もお金をいくらかもらって行ったんですか?」
「500ウォン貰って2年期限でした。500ウォンはお母さん、お父さんに渡して......こうでもしないと家には何もない。私はまた別のところに行ってまたお金を貰ってお母さんとお父さんに差し上げよう(と思った)。私は今は村に居ません」


証言者は既に飲食店で売春婦として働いた経歴がある。彼女は兄から結婚しろと言われ、むしろまたお金を稼ぐことを考えているのだ。それで人を探しに出る。

「だからパク・ガという人に、私がまたパク・チョンを探しに来たって......ある旅館に行って『どこかに乙女買い来たんだけど、ここのどこかにありますか?』と聞いたら『どこそこ旅館なんだけど、中国から乙女を買いに来てます。行ってみて』それで行くと...男性が一人で座っていたんです。『乙女を買いに来たのですか?』『そうです。処女がどうして、小さいのがどうした?』『私も中国に行ってお金を稼ごうと思ってきました』
ペ・ジュンチョル:「ところでその時、中国に行って何をするのか知っていましたか?」
「分かってました。分かって行きました」
ペ・ジュンチョル:「日本の軍人を沢山相手にしなければならないことも知ってたんですか?」
「知ってますよ」


彼女は「乙女」を買う人が何のために女性を集めているのかよく知っていたのだ。

(中略)

以前の寄稿で話したように慰安婦として就職するためには親権者の証人が必要だった。父は最初反対したが、結局娘の懇願に耐えられず承諾する。無論、父も娘が何をするのか承知していた。

ペ・ジュンチョル:「あ、ハンコは貰えましたか?」
「はい、そうです。『母たちでも父たちでも、一人を連れてきたらお金を与え、祖母、祖父もハンコを貰え』、そのときは激しかったです」



(中略)

この場合、前借り金は父母がいれば支給された。その代わり、両親と祖父母の捺印が必用だった。これが契約ではなく何であろうか。契約条件では娘を他のところに売り渡さないという要求を付ける。

(中略)

「『じゃあ、私が書くよ』とお父さんが書いて、お婆さんの印とおじいさんの印を押して、それからすべての同意を得ました...私の父の言葉が『あなたに娘を売ったのだから他のところに渡せないよ』、そう約束したんですよ...『それはあなたの勝手だよ』...『ではそうして下さい。行きましょう』


父は自分で書くと言い、実際に書いて捺印した。おそらく契約書を書いてそれに捺印したはずだ。彼女はこの時、再び売春婦として働くことになったが、彼女が最初に行った場所はほとんど客が居なかった。それで中国の奉天に行くことになる。

「約20-30人くらいいました。全員朝鮮人女性です。私を買ってきた主人の息子に『私はここでは借金を全部返すことが出来ません。よそに譲って下さい』、『父が言うには超えられない契約を書いたそうだけど』、『私本人が承諾をしたけれど、仕事がありますか?』、『では、また奉天まで出よう。紹介所に行って誰かが引いていけば私はその金を受け取ろう』、『それじゃ、利子を受け取りますか?』、『あ、私は利子を受け取らない。ただ、あなたは行って上手くやり家にでも帰れ』


「超えられない契約を書いた」と話す。転売しないと契約書に記入したことだ。 契約書があったに違いない。売春婦になったときの転売過程もここで知ることができる。前借り金に対する債権はそのまま新しい買い手に移される。その金については利子を受け取る場合もあれば、免除する場合もあったようだ。奉天の売春宿や慰安所は民間人と日本軍が共に利用する場所だった。

(中略)

とにかく、ここで提示したケースの場合、証言をした元慰安婦慰安婦になるために契約書を作成した。もちろん、ただの口頭契約で処理する場合もあったかもしれない。明らかなのは、この事例では明らかに「契約」だったということだ。

(中略)

戸主などの同意と押印があった。慰安婦とその親は日本軍人を相手にするなど、将来どんな事をするようになるかをよく知っていた。転売が行われる場合、慰安婦は前借り金が新しい事業者に移るという事実までよく知っていた。

さて、これでも契約がなかったと言えるのか?

メディアウォッチ「[이우연 칼럼] 하버드대 위안부 논문 논란, 그래도 계약은 있었다([イ・ウヨンコラム]ハーバード大学の慰安婦論文をめぐる議論、それでも契約はあった)」より一部抜粋


証言文のところがすごく読みづらくてすみません。
「あなたの勝手だよ」と人買いが言った部分は条件を付けたお父さんに対して「勝手な言い分だ」という意味で言ったのではなく、買われた娘に対して「あなたが好きにすれば良い(自分で決めればいい)」というニュアンスだと思います。良い言い回しが思いつきませんでした。

年配の人の話し方の特徴なのでしょうか、ちょっと訳すのが大変で彼女がどのように一般売春婦から「慰安婦」になったかの部分は略してしまいました。(「契約」がメインテーマなので)

ざっくり言うと、彼女は移籍後も大して稼げなかったので従軍することにしたのです。それで安徽省の蚌埠という所に移ります。ここの慰安所の主人朝鮮人でした。(証言の中で「みんな朝鮮人」と言っています)

明言はしていませんが「軍隊に付いていった」と言っているので蚌埠では軍専用の「慰安所」だったのではないかと思われます。なので「一般売春婦」が「慰安婦」になるモデルケースとしてもイ・ウヨンさんは取り上げたんだろうと思います。