米国務省「2015年慰安婦合意は建設的かつ精算的な両者の関係を形成できる具体的な努力」いう話

国務長官のブリンケンさんは国防長官のオースティンさんと共に3月15日〜17日の日程で訪日予定です。その後、同じく2日間の日程で訪韓する予定です。

ブリンケンさんの訪日、訪韓を直前に控えた国務省が定例記者会見で2015年の慰安婦合意に言及しました。



KBSの記事からです。

国務省「2015慰安婦合意」...言及の本音は?


[アンカー]米国務長官の韓国と日本訪問を控えて国務省定例記者会見で2015年慰安婦合意に初めて言及しました。
慰安婦被害者のイ・ヨンスさんがブリンケン国務長官への面談を要請する映像メッセージを送った後に出た答弁であり、本音が注目されます。

(中略)

バイデン政府が韓米日協力を強調している状況で最近、再び浮上した日本軍慰安婦問題に対する立場を問う質問に答えました。

[ネッド・プライス/米国務省報道官:「米国は韓日両国の2015年慰安婦合意を含め建設的かつ精算的な両者の関係を形成できる具体的な努力を歓迎します。」]

国務省報道官は2015年慰安婦の協議があった時期、当時国務副長官だったブリンケン現国務長官が韓日間の協力増進に向けて中心的な役割を担ったと明らかにしました。
当時、韓日間の合意が韓米日3カ国の協力に繋がったとも述べています。

[ネッド・プライス/米国務省報道官:「ブリンケン長官は当時、両国の中心的な架け橋の役割を担い、これは3ヵ国間の協力に繋がりました。ブリンケン長官はここに多大な時間と努力を投じてきました。」]

しかし、慰安婦被害者イ・ヨンスさんの面談要請と関連してはこれといった言及をしませんでした。

韓日関係改善を強調しつつ、新たな生産的合意を希望したりしましたが、韓国政府が問題があると規定した2015年慰安婦合意に言及したのは異例のことです。

(後略)

KBS「미 국무부 “2015 위안부 합의”…언급 속내는?(米国務省「2015慰安婦合意」...言及の本音は?)」より一部抜粋


韓国政府が問題があると規定した?ムンさんはこの間、正式合意と「認定」しているんですけどね。

国務省が公開しているブリーフィング資料を見ると、聯合ニュースの記者の質問に答える形で慰安婦合意に言及していることが分かります。
実際の質疑は次の通りです。一部形式的なやり取りや、プライス報道官が「いかに日米韓協力が重要か、我々は理解している」と述べている部分は省きます。

質問者:私の質問は韓国と日本の関係に関するものです。米国は韓日間の協力関係を重視しています。しかしご存知のように、韓日間には第二次世界大戦中に日本軍の性奴隷とされた「慰安婦*1問題をはじめ、歴史問題をめぐって緊張が高まっています。
ちょうど昨日、韓国の93歳の元慰安婦イ・ヨンスさんがブリンケン長官に公開書簡を送り、来週訪韓するブリンケン長官とこの問題について話し合うことを求めました。
そこで質問です。まず、国務省はこの面会の要求を知っていますか、またそのような面会を長官が検討する可能性がありますか。そして最後に、この問題が国際司法裁判所に提訴されることになった場合、国務省はそれを支持しますか?

プライス報道官:私たちは長い間、日本と韓国に対し、癒やしと和解を促進する方法で歴史に関連する問題に共に取り組むことを勧めてきました。その際に、今述べたように2015年の「慰安婦合意」をはじめとする具体的な取り組みはより生産的で建設的な二国間関係を築くための両国のコミットメントの一例として歓迎しています。この合意や3ヵ国の関係については当時のトニー・ブリンケン国務副長官が中心となって、これらの取り組みの仲介をしていました。
3ヵ国間の関係は、ブリンケン長官がかなりの時間と労力をかけて取り組んできたことなのです。これは日米・米韓の2国間同盟の強さを示すだけでなく、この地域やその先で我々が直面するあらゆる課題に対して、3ヵ国間の関係がいかに重要であるかを示すためでもあります。


米国は「慰安婦合意」を具体的で生産的で建設的な取り組みとして評価している(いた)、ということです。
また、ブリンケンさんは「慰安婦合意」だけでなく「GSOMIA」にも貢献しています。
慰安婦合意」がなったからこそ「GSOMIA」に繋がった、という経緯がありますので。

ブリンケンさんからすると、自身の成果物がどちらも蔑ろにされているのですから、心証としては決して良くないんじゃないでしょうか?

*1:原文「comfort women, who are sex slaves of the Japanese military during World War II」