「北の人権問題」にも「中国」にも触れなかった共同声明の話

米韓「2+2」の共同声明が出されたんですけど、北の人権問題にも中国にも触れていません。
「米韓同盟は相互尊重と信頼、緊密な友情、強力な人的結束、そして自由、民主主義、人権、放置など共有する価値を基本に、包括的で世界的な協力関係に発展してきた」と、このように「韓米同盟」をアピールする内容です。
北朝鮮に関しては「核・弾道ミサイル問題」を優先課題としたのみ、中国については「国際秩序を毀損、不安定にする行為に反対」というボヤかした表現に留めています。

共同声明だけを見ると、事前に散々「北の人権問題」を批判していた米国の威勢の良さはどこへやら。兎に角「共同声明」を出すことを優先し、最大の目的である「強固な韓米同盟」アピールを取りに行った感じに見えます。

ただ、会談内容や共同声明以外の場ではブリンケンさんもオースティンさんも北の人権問題と中国に言及しています。公式な外交文書には残らないまでも、両者に対する米国のスタンスを露骨に伝えています。


VOAの記事からです。

米国務・国防長官訪韓...「北韓独裁政権は自国民への広範囲な虐待を継続」


(前略)

ブリンケン長官はこの日の夕方、ソウル外交部庁舎でチョン・ウィヨン長官と米韓外相会談を行い、米韓関係と朝鮮半島問題、地域と国際協力など多様な懸案について話し合いました。

(中略)

ブリンケン長官は冒頭発言で「北韓の独裁体制は、北韓住民に対する構造的かつ広範囲の虐待を続けている」とし「基本権と自由を擁護し、これを抑圧する人々に立ち向かわなければならない」と強調しました。

ブリンケン長官はまた「世界で民主主義が危険なほど退行しているのを目の当たりにしている」とし「ミャンマーで軍部が民主主義選挙の結果を覆し、平和的にデモを行う人々を抑圧している」と述べました。

また「中国は強圧と好戦的行動で香港の自治権を体系的に侵食し、台湾の民主主義を弱体化させており、チベットの人権を侵害し、南シナ海の領有権を主張している」とし「これら全ては人権法を侵害している」と批判しました。

ブリンケン長官は「私たちは民主主義を信じている」、「民主主義国家がより安定的で安全で開放的で人権に専念するため」と強調した。
また「これらは米国と韓国国民の利益に役立つ」とし「我々がこうした価値を守ることは今、特に重要だ」と述べた。

(中略)

オースティン国防長官も国防部庁舎でソ・ウク国防長官と会談しました。

(中略)

オースティン長官は会談冒頭発言で「中国と北韓は前例のない脅威であり、米韓同盟はいつにも増して重要だ」と強調しました。

(中略)

ブリンケン長官とオースティン長官は訪韓2日目の18日午前、外交部庁舎で韓国側の外交、国防長官と「2+2」会議を行います。彫刻の2+2会議は2016年10月以来、5年ぶりです。

(後略)

VOA「미 국무·국방 장관 방한…블링컨 "북한 독재정권 자국민에 광범위한 학대 지속"(米国務・国防長官訪韓...「北韓独裁政権は自国民への広範囲な虐待を継続」)」より一部抜粋


これは「2+2」会議以前の記事で、共同声明が出される前のものです。この流れで議題に上がらなかったという方が逆に違和感があります。ですから、米国が共同声明という安牌を取ったのだろうと思うのです。
現状で「北の人権問題」、「中国牽制」この2つを挙げた場合、共同声明は出せないでしょう。韓国に配慮したというより、韓国に決断を迫った所で無理な話だと見切ったのではないかと思います。
それよりバイデン政権的には共同声明が出せない事態の方がマズイと判断したんじゃないでしょうか?