対北ビラ禁止法、米聴聞会の話

米議会で対北ビラ禁止法を中心に、対北人権問題を主要テーマとした聴聞会が実施されました。
YouTubeライブ配信が行われ、アーカイブこちらで観ることができます。開始は1時間32分くらいからです。私は見ていませんけれども興味があればどうぞ。


中央日報の記事からです。

「ムン政府」名指し、人権をもって打った米議会...宿題受け取った政府


米下院の超党派的機構トム・ラントス人権委員会が15日(現地時間)に開催した聴聞会で、米議員らは対北ビラ禁止法(改正南北関係発展法)などに憂慮を示し、今後の韓国の人権状況と関連して継続的に問題を提起することを明らかにした。

(中略)

この日の聴聞会では「ムン政権(Moon government)」という表現が何度も登場した。ムン・ジェイン大統領と現政府の人権関連政策を指したもので、事実上の直接的な圧迫だった。内容はビラ禁止法だけに限られなかった。証人として出たスーザン・ショルティ北韓自由連合代表は「韓国政府が認めないために、脱北した北韓住民たちが中国から強制送還されている」と憂慮し、イ・インホ前駐ロシア大使は昨年発生した黄海上の海洋水産部公務員殺害事件に言及し、ムン・ジェイン政府の対北低姿勢を批判した。

外交部は聴聞会後に立場を表明し、対北ビラ禁止法の正当性を再び強調した。

(中略)

外交部はまた「聴聞会が開催されたことは知っている」と述べるに留め、聴聞会の内容については判断事態を避けた。ラントス委員会の共同委員長のジェームズ・マクガバン民主党下院議員が、聴聞会でビラ禁止法の改正を促したことについては「大韓民国の国会が判断する事項」とし、ムン・ジェイン政府の人権政策に対する証人たちの批判的な供述については「聴聞会で開陳されている個別の出席者らの発言についていちいち論評しない」と明らかにした。

(中略)

しかし追加措置が予想される。ラントス委員会共同委員長のクリス・スミス共和党議員は聴聞会が終わった後、記者たちとの別のテレビ電話で、対北ビラ禁止法関連の聴聞会が今後さらに開かれる可能性があることを示唆したと、米国の声(VOA)放送が16日付で報じた。VOAによるとスミス議員は「私たちは継続措置を取る」とし「最初の聴聞会は関連事案を提起するのに役立つだけで、私はこうしたことを一度で終わらせることはない」と述べた。

(後略)

中央日報「"文 정부" 콕 짚어 거명, 인권으로 때린 美 의회...숙제 받아든 정부(「ムン政府」名指し、人権をもって打った米議会...宿題受け取った政府)」より一部抜粋


中央日報の記事はあくまで「対北ビラ禁止法」に絞った内容になっていますけれども、記事中にも出てきた元駐ロシア大使のイ・インホさんは、ろうそく革命について批判する発言もしています。

プレシアンの記事からです。

ニューライト学者、米議会で「ろうそく革命は邪悪な企画..韓国、全体主義に向かう」


「韓国で(パク・クネ前大統領に対する)弾劾以降起こったことは単純な政権交代ではなかった。ろうそく革命はきめ細かく上手くまとめられた脚本と、興奮したメディアによって推進された。腐敗撲滅、経済正義、北韓との平和、機会の平等といった魅力的なスローガンを掲げて急進的な覆しが起きたため、その裏に隠された邪悪な企てを意識する人はほとんど居なかった。韓国は全体主義になりつつある。 政権勢力は国会議席の5分の3を占めた後、大胆になり理念的色彩を露わにしている。そして政権勢力は批判の口実を与えないためにコロナ19の状況を利用することに躊躇しない。北韓へのビラ散布を禁止し、これを犯罪化することはキム・ジョンウンの意に反する行動はしない、という大統領の意志が反映されたことだ...最も重要なことは現在の姿ではなく国家の向かう方向であり、既に多くの価値が破壊された。私は心から大変な事になると思う」

(中略)

イ・インホ名誉教授*1はニューライト系列の学者らと関係があり、ニューライト史観が反映された「教学社教科書」を積極的に擁護した人物だ。親日派の精算を「ソ連の指示」と主張し、パク・クネ政府時代、KBS理事長を務め「イ・スンマン美化」など物議を醸したこともある。

(中略)

聴聞会を主催したスミス議員は「ムン・ジェイン政府は対北ビラ禁止法で北韓への全ての情報流入を犯罪化した」、「私はこの法を聖書禁止法、BTS禁止法と呼ぶ」と話した。彼は「この方は韓国憲法が明示した表現の自由を侵害し、市民的、政治的権利に関する国際規約(ICCPR)違反」とし「ICCPR規約上、同じ加盟国である米国政府や議員はこうした問題を提起する義務があると考える」と主張した。彼は「北韓が昨年6月、南北共同連絡事務所を爆破したが、独裁者キム・ジョンウン氏の妹のキム・ヨジョン氏が北韓へのビラを問題視すると、ムン大統領所属政党の議員たちがまさにこれを禁止する法案を発議した」、「韓国の民主主義が腐敗した」とムン・ジェイン政府を非難したりもした。

(後略)

プレシアン「뉴라이트 학자, 美의회서 "촛불혁명은 사악한 기획..한국, 전체주의로 가"(ニューライト学者、米議会で「ろうそく革命は邪悪な企画..韓国、全体主義に向かう」)」より一部抜粋


米中覇権争いにおける韓国の立ち位置(米側が中側か)や、米朝協議における役割(北のスポークスマン)という次元から一段進んで、「韓国 - 北朝鮮一体化」という見方をする動きが出てきたように思えます。
米議会も一枚岩ではないでしょうから、それで一気に韓国切りに進むとは思えませんが、対中政策を考えれば韓国より台湾の重要性が高まっていくでしょうね。

*1:前駐ロシア大使であり、ソウル大名誉教授でもある。記事中、なぜか肩書が統一されず「前大使」と「名誉教授」が混用されている。