福島処理水問題で米国に振られた韓国の話

福島原発の処理水ネタです。最近、この話ばっかり取り沙汰されています。
内容は基本的に「どう反対すればいいか」です。

米国の気候問題担当特使であるジョン・ケリーさんの訪韓日程の中でもこの話題が出たようですが一蹴されてしまったため、米国を動かす目算は潰えました。次のターゲットはASEAN諸国のようです。


ニュース1の記事からです。

汚染水、日本の肩を持った米..国際社会で我々の肩を持ってくれる国は?


(前略)

米国の協力がない状況で政府がどのような国と協力するかが鍵だ。現在、日本政府の放流決定に反対している国は周辺国の中国、ロシア、台湾だ。また、潜在的な協力国として東南アジア諸国連合ASEAN)が浮上している。

これに先立ち米国務省は13日、日本の福島原発汚染水海洋放出決定について「世界的に認められている原子力安全基準に沿ったアプローチを選んだものとみられる」と事実上の歓迎の意を表明した。

続いてケリー米国大統領気候変動特使も18日、訪韓日程でのメディア懇談会を開き「米国が既に進行中の過程で、非常に明確な規則と期待があるところに飛び込むのは適切ではないと思う」とし「日本は国際原子力機関IAEA)と非常に緊密に協力してきた。今後もそうだろうと確信している」と述べた。

これは事実上、客観的な検証のための韓国側の要求を拒絶し、日本の方を持ったものと思われる。これまでにIAEAも「技術的な観点から見て(放流が)可能だ」と言及し、日本側の立場に力を与えたからだ。

(中略)

現在、福島汚染水放流決定に最も反発している国としては、韓国と中国、ロシアが挙げられている。彼らは論評を発表し、日本の福島汚染水放流決定に憂慮を示し、日本に圧力を加えている。

(中略)

日本に友好的だった台湾も日本の汚染水放流決定に憂慮の意を伝えた。ただ台湾の場合、日本との関係を考慮して安全対策を求める立場で多少消極的な姿勢を見せている。また、現在ASEAN諸国はこれに対して特別な立場を示していない。
韓国政府は台湾と太平洋沿岸国家のASEAN諸国を積極的に引き入れるべきだという声が出ている。更に、国際団体と積極的に乗り出し、日本政府に圧力をかけるべきとの案も浮上した。

(中略)

一方、IAEAが日本に調査団を派遣するという立場の中、韓国政府は調査団に韓国専門家の参加を保証するよう要求していく状況だ。これと関連して日本が反対してもIAEAに韓国側の参加を貫徹させるかどうかも鍵だ。

ニュース1「오염수 일본 손들어준 美..국제사회서 우리 손들어 줄 나라는?(汚染水、日本の肩を持った米..国際社会で我々の肩を持ってくれる国は?)」より一部抜粋


反対の立場を取る国は完全に政治的意図からの反対です、と言っているようなものじゃないですか。

記事中ではケリーさんは記者懇談会で話したように書かれていますが、そこだけでなく韓国外交部長官のチョン・ウィヨンさんにも同じ話をしているそうです。
いずれもケリーさんからではなく、韓国側から「日本を説得するつもりはあるか」といった趣旨のことを問われたそうです。
記者からの質問と外相の発言では意味が全く異なります。外相発言は事実上の「介入」要請だったと受け取れます。

で、このチョン・ウィヨンさん、ケリーさんに振られたからか、態度が一変しました。

聯合ニュースの記事からです。

チョン・ウィヨン「IAEA基準従うなら日汚染水放出にあえて反対しない」


チョン・ウィヨン外交部長官は19日、日本の原発汚染水放流決定と関連し、「IAEA国際原子力機関)の基準に沿った適切な手順に従えば、あえて反対することはしない」という立場を明らかにした。

(中略)

チョン長官は「反対をすると言うよりも、私たち国民の健康と安全を最優先にしながら3点ほど日本に一貫して要請している」と説明した。

彼は「一つは十分な化学的根拠の提示とそうした情報を十分に共有すること、二つ目はより十分な事前協議をすること、最後にIAEA検証過程に韓国の専門家や研究所代表の参加を保障するなど三つの条件が整うべきだ」と強調した。

(後略)

聯合ニュース「정의용 "IAEA 기준 따른다면 日오염수 방출 굳이 반대안해"(チョン・ウィヨン「IAEA基準従うなら日汚染水放出にあえて反対しない」)」より一部抜粋


十分な科学的根拠は既に示されているから昨年の時点でTFは「放流に問題なし」の結論報告を出していたんだと思います。

IAEA検証過程に韓国の専門家を参加させることについては、駐韓大使の相星さんが肯定的な考えを表明しています。
ただし、それはIAEAと韓国政府が協議すべきことです。日本が決めることではありません。

一番問題になるのが「十分な事前協議」でしょうか。いくら協議した所で韓国が「十分じゃない」と言えば反対の理由になりますから。「真正性」並に曖昧な提議です。