慰安婦訴訟、韓国裁判所一転して日本の主権免除を認める話

今年の1月、もうひとつの慰安婦裁判の判決が出る予定でした。
しかし直前になって「追加の審理が必要」として今日まで延期されていました。
で、今日判決が出たのですが、1月8日の判決とは逆で日本の主権免除を認め、原告の訴えを却下しました。


ニューシースの記事からです。

「日慰安婦賠償」2次訴訟却下..「外交で解決する問題」(総合2報)


日本軍慰安婦被害者たちが日本政府を相手に起こした2つめの損害賠償訴訟で、先の判決と異なり今回は日本政府の責任を認めなかった。慰安婦被害者側は控訴を検討すると明らかにした。

ソウル中央地裁民事合意15部(部長判事ミン・ソンチョル)は21日、故カク・イェナムさんら慰安婦被害者20人が日本政府を相手に起こした損害賠償訴訟で却下を判決した。
却下とは、訴訟または訴訟の要件を備えていない時に本案を審理なしに裁判を終えることをいう。

(中略)

カクさんら日本軍慰安婦被害者たちは2016年、日本政府に被害の賠償責任があるとして訴訟を提起した。
しかし裁判所は国際慣習法や大法院の判例に従い外国である日本を相手取って主権的行為に関する損害賠償を請求することは認められていないとして却下する判決を下した。

判決は「現時点の国家免除に関する国際慣習法は外国の非主権的行為に対しては国家免除を認めず、主権的行為に対しては国家免除を認める制限的免除論」と前置いた。
続いて 「原告らは被告の行為が強行法規に違反し、重大な人権侵害をもたらし、主権的行為と見なすことは出来ないと主張するが、主権的行為は権力的・公法的な行為であり、法的・倫理的当為を前提にしない」 と判断した。

(中略)

裁判部は「国家免除が認められた結果、大韓民国の裁判所に提訴して権利救済を受けることが難しいとしても、外交的保護権行使と見なせる2015年の韓日請求権合意によって代替的な権利救済手段が客観的に存在する」と明らかにした。
裁判部は「和解治癒財団の現金支援事業の結果、現在まで生存被害者35人、死亡被害者64人に対する現金支給が行われた」とし「内容と手続きに一部問題はあるが、裁量権を逸脱・濫用したとは見られない」と言及した。

また日本の法律が外国に対する国家免除を認めていないだけに、相互主義によって国家免除が認められないという主張に対しては「相互主義の適用が国際社会の確立された慣行だとは言い難い」として受け入れなかった。

(中略)

結局、裁判部は日本政府の「国家免除」を受け入れ、裁判所が抽象的な基準を提示し、例外を認めることは適切ではなく、韓日合意が依然として有効なために慰安婦の被害問題は外交的努力で解決しなければならないと判断したのだ。

損害賠償訴訟に参加したイ・ヨンスさん側は裁判が終わった後、報道資料を通じ「不法性に対する判断を受ける機会さえ剥奪された」とし「判決控訴など次の手順を悩んでいる」と明らかにした。

(中略)

これに先立ち、同じ裁判所の民事合議34部(部長判事キム・チョンゴン)は1月8日にペ・チュンヒさんら慰安婦被害者12人が日本政府を相手に起こした損害賠償請求訴訟で原告勝訴の判決を下した。
当時の裁判部は日本の国家免除主張を受け入れず、本日の裁判部と正反対の判決を下した。

判決は「被告によって計画的、組織的に広範囲に行われた非人道的行為で国際強行規定に違反したものと判断される」とした上で、「国家免除は適用しにくいと見るのが相当だ。被告に対して裁判権を行使できる」と判断した。

ニューシース「'日위안부 배상' 2차 소송 각하.."외교로 해결할 문제"(종합2보)(「日慰安婦賠償」2次訴訟却下..「外交で解決する問題」(総合2報))」より一部抜粋


本来、1月8日の判決でもこういう内容になるべきだったんです。
個人的に「こっち」の判決はまともだと思うのですけれど、しかしわずか3ヶ月で同様の判例を無視する...どころか真逆の判決が出てしまったために、それはそれで問題な気がします。法的根拠や一貫性のあり方、裁判官の資質や適正という意味で。