米国で日本語の映像コンテンツ需要が伸びているという話

米国市場で日本語のコンテンツの需要が伸びているんですって。前年同期比の103%増というのですから中々です。
しかもアニメじゃないんですって。

炭売りから鬼斬りになった某シスコンお兄ちゃんの劇場版アニメが大成功しているそうなので誤解されがちですけれど、アニメって海外市場的には決して大きくないんですよね。だからこそ「クールジャパン」とか言ってブランド化しようとしているわけなんですが...。
でももしかしたら、少し戦略を見直す時期にきているのかもしれません。「アニメ」だけを全面に押し出して「日本らしさ」の象徴にしてしまうと、いたずらに「日本好き」=「オタク」「weeboo」として間口を狭めることにもなりかねません。


ソースはBloombergです。

米国の調査会社の「Parrot Analytics」が今年1-3月期の日本語のテレビ向け動画コンテンツの需要を調査した所、非英語コンテンツ全体の3分の1の規模を占め、スペイン語を上回ったことが分かったそうです。(米国全体でスペイン語母語とする人の割合は約17%で約4000万人。スペインの人口に近い規模)

前年同期と比較すると、アニメに限定すれば約33%の伸び、アニメ以外のコンテンツでは103%の伸びというから驚きです。
中でもNetflixのオリジナルドラマとして制作された「今際の国のアリス」は米国のドラマシリーズ平均の5.5倍の視聴数であったそうです。
ゲーマーが異次元の「東京」に閉じ込められ、そこでゲームマスターから理不尽なゲームを突きつけられるという、一時期流行った「デスゲーム」ものですね。
元は漫画でアニメ化もされていますが、日本国内ではやり尽くされた感があったせいか、アニメ化時にはパッとしなかったような気がします。

しかし、この数字は無視できないものがあります。
「Parrot Analytics」の分析指数は単に視聴者数だけではなく、Google検索やSNS上の「いいね」などを加味することで視聴者の「関心の高さ」も考慮した分析になっているそうです。(そこから新規加入者数の増加を誤差3%以内で予測可能とか)

日本の映像化や実写化は先に人気ありき、先に配役ありき、話題性ありきな所が強い気がしてならない時があります。
変な言い方ですけれど、原作の「人気」や役者の「人気」に乗っかる形で最低限の商業成績を確保しようという下心が見えるというか、保険を掛けているように見えるというか...。

ともあれ、日本語コンテンツでより広い市場を十分狙える、ということがはっきり見えたわけです。
ちょっと前に中国、韓国映画アカデミー賞を賑わせていましたね。その話題の中で、ある日本の女優さんが「日本映画もそんなに遜色ないはずなのに」という趣旨のことを言っていましたが、恐らくその通りなんでしょう。
日本映画の最大の敗因は、話題性や原作人気だけで勝負を掛ける「売り込み下手」、これ尽きると思います。