建築現場で作業員が転落、一晩放置されていた話

韓国の新築マンション建築現場で作業中に高さ2mの梯子から転落、頭を強く打ったことによる脳内出血で作業員の男性が亡くなる事故がありました。先月の25日のことです。
今日になって地元警察が詳細を発表したのですが、それによると男性が梯子から転落したことを現場の誰一人把握しておらず、翌早朝、家族から連絡を受けた会社関係者が発見するまで一晩放置されていたそうです。

現場の安全管理責任者や警備担当者が現場の見回り業務を事実上放棄しており、また2人1組で作業に当たるという規則も守られていませんでした。

地元警察は刑事事件として立件するかどうか検討中とのことです。


世界日報の記事からです。

光州の工事現場で墜落の50代、一晩放置...誕生日に遺体で


(前略)

4日、光州西部警察署が明らかにしたところによると、先月25日午後、広州市西区ファジョン洞の新築マンション建設現場でAさん(58)が階段に置かれた高さ1〜2mの梯子から墜落した。Aさんは階段の壁面にペンキを塗るための平坦化作業*1をしていたところ事故に合ったという。

それほど高い所から落ちたわけではなかった。しかし、頭に怪我を負ったAさんは起きられなかった。工事が行われている建物に倒れたAさんを見つけた人は誰もいなかった。結局、工事現場に倒れたまま放置されたAさんは、翌日の午前6時30分頃、家族や知人の連絡を受け、急いで現場を訪れた同僚の作業員によって遺体で発見された。

解剖の結果、Aさんは頭に受けた衝撃による脳出血で死亡したことが分かった。Aさんが少しでも早く発見されていれば命まで失わなかったはずだと、Aさんの遺族らは憤っている。実際、工事現場を随時見て回り安全状況を確認しなければならない安全管理者は、事故現場を見て回らなかった。2人1組で作業に当たらなければならない原則も守られていないという。

特に建設会社側は工事現場への出入り者を厳重に管理しながらも、Aさんが工事現場から退勤しなかったことには気付かなかった。工事現場が閉鎖される前に安全管理者、または警備員が現場に人が残っているかどうかを確認する手続きもまともに行われていないわけだ。

(中略)

ある労務士は「建築現場は危険な空間であるため、作業が終わった後に建設現場に人が残っていてはならないというのは当然の常識だ」とし「会社側が産業安全保健法に違反し、安全・保健上の措置を放棄したものだ」と指摘した。

(後略)

世界日報「광주 공사장서 추락 50대, 밤새 방치… 생일날 주검으로(光州の工事現場で墜落の50代、一晩放置...誕生日に遺体で)」より


Aさんは遺体として発見された日が誕生日だったそうです。ご遺族の心痛は察するに余りあります。

関連記事というわけではありませんけれども、労働関連法の話を取り上げたばかりだったので目に止まりました。特に産業安全義務違反の部分。

昨日紹介した記事でも触れていましたが、韓国は産業安全義務違反による死亡事故について7年以下の懲役または1億ウォン以下の罰金を科しています。これは嘱託殺人と同水準であり、諸外国(日、米、英、独、仏)に比べて処罰が重すぎるとする指摘でした。

しかし、この記事のように安全基準の原則をそもそも守る気がない、こうした事業者がいるからこその厳罰という側面がないとは言い切れないんじゃないでしょうか?

まあ、厳罰化してもルール作りをしてもそもそも守られなければ何の意味もないんですけれども...。

*1:多分、下地処理のこと