米国から韓国にヤンセン製のワクチンが無償提供された件は周知の事実と思います。
当初は外交成果として大絶賛されていましたけれど、米国が台湾への支援に乗り出し、それが当初予定されていた規模の3倍の物量、しかもワクチンの種類が「モデルナ」だったことが分かってから、あからさまに記事の方向性が変わったように思います。
そしてとうとうヤンセンワクチンは韓国軍に「必要のないワクチン」とまで言い出しました。
米国がヤンセンを韓国に「提供」したのは「在庫処分のため」であり、韓米同盟は韓国が無力な時に結ばれた不平等な同盟で、米国はいざという時にいつも韓国の「後頭部を殴ってきた」という結論に落ち着きます。
韓国日報の記事からです。
【気になる軍】米国はなぜ、我々の兵が使えない「ヤンセン」を100万人分も与えたのか
「ジョー・バイデン米大統領が韓国居与えるワクチンは絶対『ヤンセン』であるはずがない」
先月21日（現地時間）、米国ワシントンで開かれた韓米首脳会談直後の記者会見でバイデン大統領が「在韓米軍と接触する韓国軍55万人に新型コロナ感染症（コロナ19）ワクチンを提供する」とサプライズ発表すると、国防部担当記者たちはそのワクチンがファイザー、またはモデルナだと保証しました。言い換えれば「ヤンセンではないだろう」という確信でした。ヤンセンが入ってきても受けられる将兵が我が軍にはいないからです。
米国で使用承認されたコロナ19ワクチンはファイザー、モデルナ、ヤンセンの3種です。ところがヤンセンの場合、アストラゼネカと同じく気性血栓症（血管内で血が固まる現象）の恐れがあるため、30歳未満に接種中止を勧告しました。これに対して軍当局は既に4月末から30歳以上の11万人余りに対してのみアストラゼネカ1次接種を開始しました。接種を開始できなかった40万人余りの30歳未満の将兵にはアストラゼネカやヤンセンではなく、ファイザーかモデルナが必要な状況でした。先月17日、在韓米軍が韓国軍に無償提供したヤンセンワクチンの余裕分（約1万3000人分）を民間接種用として提供したのみ同じ理由からです。ざっくり言えば、ヤンセンは 韓国軍にとって「必要のないワクチン」 なのです。バイデン大統領は記者会見でワクチンの種類については言及しませんでした。
一週間後、国防部担当記者たちの予想は見事に外れました。米政府が韓国に提供するワクチンをヤンセンと発表したのです。物量も当初の言及より2倍多い101万人分でした。
（中略）
軍当局も慌てた様子でした。接種対象を決めることから問題でした。米国が「韓国軍に提供せよ」と言ったワクチンを、誰でも受けられるわけではないからです。そのため軍人と頻繁に接触する軍人家族、軍務員をはじめ国防関連従事者（13万7千人）、予備軍（53万8千人）、民間防衛隊員（304万人）を接種の対象として選びました。
（中略）
ここいらで米国がヤンセンを100万人分も韓国に与えた理由が気になってきます。
（中略）
一部では米国が保有しているヤンセンワクチンの消費期限が迫っているためだ、という主張が出ています。あいにく今月5日に国内に入ったヤンセンの半分は23日に、残りは来月2日に消費期限が切れます。米紙ウォールストリート・ジャーナルも8日（現地時間）「米国政府は消費期限が迫っているヤンセンの在庫問題で頭を悩ませている」と報じました。米国が確保したヤンセンワクチン2,140万回のうち半分が使用されないまま保管中という内容でした。今年4月、米保健当局が血栓症の憂慮のためヤンセンの接種をしばらく中断し、米国人がヤンセンを避けていたためです。一方、ファイザーとモデルナは80%以上が在庫切れです。ワクチンの無償提供の理由は「韓米同盟」よりも「在庫処理」にある、という主張が説得力を持って聞こえる理由です。
（中略）
ここで注目すべきことは私たちがワクチンを無償で受け取って提供した反対給付が何かです。世の中にタダはないはずですから。サムスン電子、ヒュンダイ自動車、SK、LGの4大企業はワクチンを提供した米国に計44兆ウォン（394億ドル）規模の工場を建てると約束しました。韓国企業の対米投資額44兆ウォンをヤンセンワクチン100万で割ると4400万ウォンです。「一回あたり10ドル余りのヤンセンワクチンを4400万ウォンで購入したようなもの」というネットユーザの揶揄は軽くありません。
（中略）
韓米同盟の歴史は、近くは韓米が血盟として戦った1950年の6・25戦争、遠くは高宗の時代の1882年に米国と韓米修好通商条約を締結して始まりました。米国は当時、造船市場への進出を条件に安保を提供すると約束しました。通商条約の第一条に「一国が第三国から脅かされれば他方が仲裁に入る」という内容が記され、私たちは米国を心強いパートナーと考えました。しかし、単なる勘違いでした。米国の目では韓国は自分たちの有利・不利に利用できる弱小国に過ぎなかったからです。
私たちが力のない時代に結んだ関係なので、同等なはずがありません。 米国が私たちの盾になる代わりに私たちは米国の前で「不完全な主権」を行使しました。そのうえ、米国は決定的瞬間の度に後頭部を殴りました。
1905年、日露戦争を終わらせるために両国が結んだポーツマス条約に「ロシアは韓半島と満州における日本の朝鮮支配権を認めるべきだ」という内容が盛り込まれると、焦った高宗はイ・スンマンを米国に特使として派遣します。イ・スンマンを通じて「日本の韓半島支配を阻止してほしい」という密書をセオドア・ルーズベルト米大統領に伝達してSOSを打ったのです。しかし、米国はそっぽを向きました。当時、日米間では「朝鮮（日本）とフィリピン（米国）に対する互いの支配を黙認する」という内容の「桂タフト」密約が進められていたからです。
（中略）
振り返ってみると、6・25戦争の悲劇を生んだ南北分断も、第二次世界大戦の勝利国である米国とソ連（ロシア）の勢力争いから始まっています。韓半島という地政学的特性で、大国の「鯨の喧嘩」に「エビなど」になる経験を何度も繰り返し、韓国が得た教訓は「米国もやり方が洗練されているだけで、結局自国の利益のためだけに動いている」ということです。
韓国日報「[궁금하軍] 미국은 왜, 우리 장병이 못 맞는 ‘얀센’을 100만명분이나 줬나（【気になる軍】米国はなぜ、我々の兵が使えない「ヤンセン」を100万人分も与えたのか）」より
「鯨の喧嘩」云々とは「고래 싸움에 새우 등 터진다」ということわざで「鯨の喧嘩でエビなどが裂ける」、つまり力の強い者同志の争いに巻き込まれると弱者が大きな被害を被ることを言います。
日本語だとピッタリしたのが思いつかないんですけど、「傍杖を食う」とか「流れ弾に当たる」とかが近いですかね？
ワクチンを米国に強請ったのは韓国の勝手です。受け取ったワクチンを使う／使わないも韓国の勝手です。
なんか...台湾の方が優遇されている（可愛がられている）と勝手に優劣を付けて拗ねている子どもみたいです。わざわざ100年以上も遡って理由をこじつけて...疲れないのでしょうか？
というか、期限が迫っていたとしてもまだ使える物ですし、ヤンセンは韓国で承認を受けているワクチンなんですから何ら問題ないと思うんですけどね。
内心フクザツでも、まずは素直に「ありがとう」って言えばいいのに。
個人的にはそのとき最速で一定量の物量が確保出来ていたのがヤンセンだった、ということなんじゃないかと思うんですけどね。台湾にモデルナが送られたのは、台湾ではヤンセンが承認されていないことと、米国内の摂取状況が落ち着いてきたことを鑑みての判断かもしれません。
物量についても「K防疫」を自負する韓国の体面が傷つかないよう、あくまで安保の次元に留まるよう随分気を使っていたように思うんですけどねぇ...。
