ムンさんの政権下で高級公職者の再就職が3倍以上増えていた話

高級公職者の再就職とは、日本で言うところの所謂「天下り」に似ていますが、ちょっと違います。

天下り」は外郭団体などへ役員や顧問などの名目で再就職することで、基本的に前職と再就職先での職務は関係がありません。(前職と関わりが深い業種への転職は国家公務員法で一部制限)

韓国にも国家公務員法と同じようなものがあって、利害関係のある企業への就職が制限されたり、再就職者が元の職場へ働きかけるようなことは当然禁止されています。

今回問題になっているのは同じような職位の公務員が同じ会社への再就職申請で、ムン政権発足前にはダメだったのに、2020年には許可が下りているケースが増加していることで、審査の公平性への疑問です。

ペン・アンド・マイクの記事からです。

「一度も経験したことのない国」...高級公職者の再就職、ムン政権に入って3倍↑


退職した高位公務員が各種民間企業などに再就職するための審査を受ける就業審査を承認された割合が、ムン・ジェイン政府発足以後、3倍以上増加したと集計された。


14日、国会行政安全委所属のキム・ヒョンドン国民の力議員が人事革新処から受けた「最近5年間の各省庁および機関別退職高位公職者の再就職現況」によると、退職高位公職者が「特別自由」で就職承認を受けた割合は、2016年に14.9%だったが2021年に52.4%で3倍以上急増した。


年度別に見ると、17年に26.3%、18年に36.5%、19年に38.1%、20年に46%と毎年増え続けた。


(中略)


キム議員は5年前も今も似たような職位と状況にも関わらず、その間に就職承認の可否がどのように変わって退職高位公職者の再就職事例が続出するのかと批判した。


文在寅政府発足前の16年、検事長出身のAさんは、ある建設会社の法律顧問として再就職を希望したが、就職制限を受けた。ところが2020年、検事長出身のBさんが同じ建設会社の社外人物として再就職に成功した。


2016年、国防部所長出身のCさんも、ある会社の非常勤諮問委員に再就職しようとして就職制限を受けた。しかし2020年に国防部所長出身のDさんは同社の顧問として就職承認を受けた。


(中略)


キム議員は「現政権に入って曖昧な就職審査制度の弱点を利用して特別ではない事由を特別と判断するケースが増えてきた」とし、前官への礼遇と「官フィア」を防ぐためにより厳格な規定と基準の必要性を強調した。


(後略)


ペン・アンド・マイク「'한번도 경험해보지 못한 나라'...고위공직자 재취업, 文정부 들어 3배 ↑(「一度も経験したことのない国」...高級公職者の再就職、ムン政権に入って3倍↑)」より一部抜粋

「官フィア」は「官僚+マフィア」の造語です。

公務員だったときのコネや職務上知り得た情報をフル活用する(前官礼遇)ことで、ロビー活動や不正を行っているということのようです。

勝手な偏見ですけど、左派政権って身内にものすごく甘い印象があります。法律や規則があっても恣意運用するから意味なし、みたいな。(右派の場合、決まりは守るけど制度の穴を付いてくる印象。違反はしてないけどなんかずるい、みたいな)

平等とか多様性とか言いつつ、それを享受できるのは身内認定された人だけで、コネ社会の延長のように思えるときがあるんですよね...ああ、だから韓国と制度的に相性が良いのかもしれません。

コネって小さなコミュニティの中でならそれなりに機能するし、人と人との関係である以上、大事なものなんですけれど、国がそこに重点を置いて政策を行うと不正と汚職の温床になりそうな危うさを感じます。