国際会議の共同宣言に署名したけれど「履行約束ではない」という話

COP26で出された「グローバル脱石炭転換宣言」に韓国は署名しました。これは「遅くとも2039年までに石炭火力発電を終える」宣言です。

同宣言には2035年までに石炭火力発電を止めると決めた日本や米国、石炭の消費が多いインド、中国、オーストラリアなどは参加を見合わせています。さらに、参加した国の中からも一部条項にだけ参加(承認)するという国があります。
そんな中、石炭発電依存度の高い韓国(5位)がなんの条件も付けず署名したことは「驚くべき発表(フォーブス報道)」と言えます。

しかしこの件が報道されると韓国政府は国内向けに「履行を約束したわけではない」と言い出しました。

 

 

中央日報の記事からです。

外信も驚いた「韓国脱石炭署名」..政府「履行約束ではない」


英国グラスゴーで開かれている第26回国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP26)で、政府が4日、「グローバル脱石炭転換宣言」に公式署名した後に出した説明をめぐり論議が加熱している。政府が「脱石炭加速化という方向性に同意したのであって、合意事項にすべて従うというわけではない」と説明すると、専門家らは「国際社会に約束しておいて履行しないというのは理解しにくい」と指摘する。

韓国はこれに先立ちCOP26で約40カ国とともに「主要経済国は遅くとも2039年まで石炭火力発電を中断する」という内容の脱石炭転換宣言に参加した。

(中略)

しかし、いざ中国·インド·オーストラリアなど世界最大の石炭消費国と、さらに2035年まで発電部門で脱石炭を行うと言っていた米国、そして日本は参加しなかった。米経済専門誌フォーブスは韓国の署名について「驚くべき発表」とし「韓国は2030年代に石炭発電を完全に廃止する」と報道した。

ホン·ジョンホ・ソウル大学環境大学院教授は「現在、韓国は新規石炭発電所7基を建設中で、このうち江原道コソンと忠清南道ソチョンの2基は稼働を始めた」とし「新規発電所に対する具体的な代案なしに国際会議で脱石炭時期を大幅に繰り上げる宣言に参加したのは一貫性がない」と指摘した。

イ·ドクファン西江大化学科教授は「『国際宣言に参加するだけで合意事項は遵守しなくてもよい』という態度は国の格を落とす」とし「脱原発を推進しながら脱石炭時期を繰り上げるというのは最初から不可能な約束」と述べた。現在、韓国の石炭発電の割合は40.4%(2019年基準)で、米国(24%)、日本(32%)、ドイツ(30%)よりも高い。これを中止するためには、大規模な代替エネルギー源の確保が欠かせない。

産業部の関係者は「宣言文には『主要経済国は2030年代まで、残りの国は2040年代まで脱石炭を行う』となっている」とし「われわれはすでに2050年までに石炭火力発電を廃止することにしたため(主要経済国ではなく)2040年代に脱石炭を計画することにした残りの国に該当するとみている」と述べた。宣言で韓国を「2030年代に脱石炭を行う国家」と明示しなかったという釈明だ。それとともに「脱石炭時点を2030年代に前倒しすることも、そうする計画もない」と明らかにした。



中央日報「외신도 놀란 '한국 탈석탄 서명'..정부 "이행 약속은 아니다"(外信も驚いた「韓国脱石炭署名」..政府「履行約束ではない」)」より一部抜粋

「2030年代に脱石炭を行う国家と明示しなかった」から嘘じゃない、という理屈なのでしょうか?ちょっとよく分かりませんね。

いずれにせよ、韓国の解釈と条項の内容が微妙にズレている状態でホイホイと署名してしまうのは信用問題に関わります。こんな有様ではCPTPPはまだ難しそうです。