米シンクタンク「中国を信じるな」、CPTTP加盟国へ警告した話

米国のシンクタンクであるCSISがCPTTP加盟国へ「中国を信用するな」と警告を発したそうです。
2001年に中国がWTOに加入する際、守ると約束したことを履行せず、多国間貿易協定の仕組みを利用して国際貿易秩序に影響力を行使しようとしている、との趣旨です。
CPTTP加入のためにルール作りの「ポーズ」を見せてもそれを信用してはならない、との警告です。なぜなら、中国をココまで導いてきたのは「社会主義体制」であり、中国は今更それを捨てることは出来ない...つまり「中国は変わらない」からです。

 

 

ヘラルド経済の記事からです。

「中国を信じるな」米シンクタンク、CPTTP加盟国に警告【ヘラルド・ビュー - 中国WTO加盟20年の明暗】


中国はこの20年間、世界貿易機構(WTO)加盟国として相当な経済的利益を得たが、今では巨大な多国間自由貿易協定(FTA)のメカニズムを通じて国際貿易秩序に影響力を行使しようとする動きを見せている。
代表的な例が包括的・斬新的環太平洋経済連携協定(CPTTP)に加入すると今年9月16日に公式に申請した。

(中略)

米国のバイデン政府がCPTTP復帰に明確な立場を示していない状況で、中国が空席を埋めて手動する、という意図が読み取れる。
これに対して米国を代表するシンクタンクが「中国を信じるな」という趣旨でCPTTP加盟国に警告を行い、貿易をめぐる高次方程式がどのように解決されるか注目される。

10日、米戦略国際問題研究所CSIS)によると、この研究所のジョアンナ・シェルトン経済プログラム専任準会員は、最近のコメントで中国のCPTTP加入申請を「懐疑的な目」で見なければならないと主張した。彼女は経済協力開発機構OECD)事務次長を務めた人物だ。

彼女はまず中国のCPTTP加入申請が米国・英国・豪州の新しい安保同盟「オーカス(AUKUS)」の発足発表の翌日だった点を挙げ、中国の習近平国家主席の大胆な動きと診断した。米国と同盟国を分離しようとする明確な動きだからだ。

(中略)

シェルトン元事務次長は中国がCPTTP加入申請を出した後、加盟国に自国の加入のためのロビーを行っていると述べた。具体的には習近平主席が11月4日に上海で開かれた貿易関連行事で中国の国営企業、産業補助金などの問題をCPTTPの対価として議論すると明らかにした点を例に挙げた。

彼女はこの点で、CPTTP加盟国は習主席の提案に非常に懐疑的にならなければならないとし、中国の「戦績」を想起させた。
中国が2001年にWTOに加盟する際、産業補助金だけでなく、歪曲した貿易慣行を規制すると約束したが、守らなかったと指摘した。

中国は国営企業を通じた自国産業の育成、輸出補助金の支給などをWTOの規定に合わせて段階的に廃止することにしたが、今も尊守していない事例が多く、米国などとの貿易戦争で定番の衝突要因だった。シェルトン元事務次長は「習近平主席の最近の公言が、他の結果をもたらすと期待する理由がない」とし「むしろ習主席は国営企業と民間企業に対する国家支援を倍増している」と述べた。

(中略)

続いて「習近平主席が方向を変えると信じて国営企業、産業補助金などに対する厳格なCPTTPの規律を尊守すると真剣に考慮することは空想的」とし「習主席の目標は2049年までの『中華民族の偉大な復興』であり、これには中国をここまで導いてきた中国の特色である社会主義から脱却することは含まれない」と強調した。

(後略)



ヘラルド経済「“中 믿지 마라” 美싱크탱크, CPTPP 회원국에 경고 [헤럴드 뷰-中 WTO 가입 20년 명암](「中国を信じるな」米シンクタンク、CPTTP加盟国に警告【ヘラルド・ビュー - 中国WTO加盟20年の明暗】)」より一部抜粋

CPTTPは加盟国全会一致でないと加入できません。今の所、正規加盟国である日本とオーストラリアが反対の立場です。中国がロビーを行っている対象は、CPTTPに加入の意思はあっても国内法整備がまだな準加盟国だったと記憶しています。

もちろん、未だにWTOのルールを尊守していないという事実は、CPTTP加入を突っぱねる正当な理由になるのでポイントとして押さえておくべきですが、もう一つ気になるのが「中華民族の偉大な復興」です。

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上の画像は「国恥地図」というものです。有名なのでご覧になった人もいるかもしれません。
本当か嘘かはともかく、「中国人が考える中国の本当の領土」とされています。(かつては教科書に載っていたとの話も)
台湾はもちろん東南アジアの一部、朝鮮半島もすっぽり含まれています。日本本土は入っていませんが、沖縄は組み込まれています。
中華民族の偉大な復興」は「国恥地図」の領土を回復することも意味するのではないかと個人的には思えるのですが...。