イブですね。今年1年いい子にしていたのでしょうか、収監されていたパク・クネさんが赦免されることが決まりました。効力は12月31日午前0時からだそうです。パクさんは現在入院治療を受けており、そのまま病院で期日を迎えることになると思われます。
突然の出来事で韓国メディアは「電撃赦免」と報じ、外信も来年の大統領選挙と絡めてその背景を報じています。
ロイター通信は「国内世論分裂を狙ったもの」で「与野党候補が接戦を繰り広げる中で今回の決定が出た」と、AP通信は「大統領選挙で野党を分裂させる用途で今回の特別赦免を使った」と、NYTは「パク前大統領の赦免が正当であるかが政治的分裂の問題として浮上した中で赦免がなされた」と、ガーディアン紙は「大統領選挙で有権者に影響を及ぼすだろう」とし、パクさんが保守の有権者に及ぼす影響に注目したようです。
日本のメディアも大統領選挙に及ぼす影響について注目しているようです。当然というか、他に理由が無いですよね？
イーデイリーの記事からです。
ユンが拘束したパク・クネ、ムン大統領が赦免..「逆説」の意味は
ムン・ジェイン大統領が国政壟断事件で有罪が確定し収監されたパク・クネ前大統領を電撃赦免した。ユン・ソクヨル国民の力大統領候補が検事職時代に特検捜査チーム長として捜査に乗り出し拘束されたパク前大統領は、皮肉にも当時野党候補として大統領に当選したムン大統領の手で監獄から抜け出すことができた。
ムン大統領は24日、パク前大統領の赦免を電撃的に決定した。ムン大統領は健康問題、国民和合などの問題を取り上げ赦免に反対した人々には「度量を求める」と明らかにした。
（中略）
しかし国民の力側の人々は今回の赦免に対して警戒心を示した。クォン・ソンドン事務総長は「ムン大統領の政治的術数が隠れているのではないか」と決定に疑問を示した。ホン・ジュンピョ議員も「野党を分裂させようとする離間の計とみられる」とした。
ユン候補自身がパク前大統領の赦免を約束し、国民の力が公式に赦免を要求してきたにも関わらず、このように否定的なメッセージを出したことには大統領選挙を控えた特殊な状況が影響を及ぼしたようだ。
パク・チョンヒ元大統領の生家で抗議デモに直面しながらも、親パク勢力の民心獲得に乗り出したユン候補は当選後のパク前大統領の恩赦を公約カードとして使えなくなった。
現在もウリ共和党などの親パク勢力がユン候補を「審判対象」として拒否する状況で、パク前大統領が赦免をもって釈放され、支持を統合できるだけの「数」が消えたわけだ。
（中略）
このためムン大統領が高度に政治工学的な決断を下したという分析も一部から出ている。過度に与党に有利な我田引水解釈という批判が付きまとうが、キム・デジュン元大統領、ノ・ムヒョン元大統領など、過去の民主党政府の指導者が支持層の批判に耐えながら政治的決断をしてきたケースを勘案すれば見過ごすことはできない。
ただ与党ではパク前大統領の弾劾で誕生した政権がパク前大統領を直接赦免したことで発生する正当性の問題、これによる強硬支持層の分裂を管理しなければならない問題が残る。また、パク前大統領がユン候補を支持する立場を取る場合、状況が国民の力に有利に流れる可能性も与党が警戒しなければならない部分とみえる。
ただしパク前大統領側のイ・ギャンジェ弁護士が「ユン・ソクヨルは審判対象」と指摘し、チェ・ウォンジンウリ共和党代表も「パク前大統領がユン・ソクヨルを支持する理由は全く無い」と述べ、現在の野党大統合の可能性は高くないと評価されている。
イーデイリー「尹이 구속한 박근혜, 文대통령이 사면..'역설'의 의미는（ユンが拘束したパク・クネ、ムン大統領が赦免..「逆説」の意味は）」より一部抜粋
ムンさんが「高度に政治工学的な決断を下した」とは私には思えません。
パクさんの赦免がダメとか言うつもりはありません。ただ、なぜ今なのか？です。今までも散々、パクさんの赦免要求はありました。主に健康問題の悪化が理由でしたが。その度に「国民感情を鑑みてNO」でした。それが今回に限って「支持層の批判に耐えながら政治的決断をした」のは保身ではないのか？と思えてしまうからです。
自身の身を守るためには次の政権を左派に取ってもらわないといけませんが、コロナ対策がダメ、北との融和がダメ...何とかユンさんの足を引っ張ろうと切ったカードのように思えます。
パクさん赦免となれば、ユンさんは「当選後赦免カード」も使えませんし、検事時代に「巨悪（政治権力）に立ち向かった」という実績をチャラに出来る、そんな計算なのかもしれませんね。
釈放後、パクさんはムンさんと政府への感謝の言葉を語ったそうです。記事にあるようにユンさんに選挙協力する可能性は低いと思われます。
ちなみに同じく収監中の2MBことイ・ミョンバクさんの赦免については「対象に含まれていない」そうです。
