「高市は与党の中の野党?」の話

韓国メディアによくある論調に「○○が変われば良くなる」的なものがあります。「○○」に入るのは、例えば「日本総理」とか「大統領」とかです。直近だと昨年の自民党総裁選の頃にその後の日韓の関係改善を楽観的に展望していた記事などがそれにあたります。

今年は夏に参議院選挙があります。気の早いことに、それに絡めて「参院選さえ終われば」みたいな話が出てきています。
端的に言ってしまうと、自民党が無難に乗り切れば岸田内閣は向こう3年間、国政選挙が無いので他派閥の顔色を伺うこと無く心置きなく「ハト派」の本領を発揮できる、そんな内容です。
以前も似たような論調の記事は散見されていましたが、今回は特に韓国メディアが目の敵にしている高市さん(アベガー)が「政調会長を降ろされるかもしれない」という所に期待が大きいようです。

 

 

韓国日報の記事からです。

高市は与党の中の野党?」岸田政策がことあるごとにタックルされる理由は


佐渡鉱山の登載は国の名誉に関わる事態だ。必ず今年中に推薦しなければならない」

高市早苗自民党政調会長が24日、衆院予算委員会岸田文雄首相と林芳正外相に佐渡鉱山のユネスコ推薦を働きかけて言った言葉だ。あまりによ強く主張する姿に自民党内でも「まるで野党のようだ」と不満が出るほどだった。安倍晋三元首相と高市の合同攻勢が連日続くと、登録失敗の可能性を憂慮して推薦を保留しようとした岸田首相は今年推薦すると28日発表した。

(中略)

高市は昨年10月末に実施有れた衆議院選挙の公約作成時から岸田首相の政策よりも自身の政策を優先した。総裁選挙時に自身が提示した「危機管理投資、成長投資」というスローガンを含め、原発開発関連の内容も追加した一方、岸田首相が提案した「令和版所得倍増政策」や育児世帯に対する住居費・教育費支援などの政策は除外された。当時、高市政調会長は岸田首相の公約が一部抜けているという指摘に「党レベルの公約だから」とし「抜けた公約を(内閣が)推進すれば党で徹底的に審査する」と脅かしたりもした。

(中略)

中国や韓国など周辺国に対して非常に強硬な政策に固執する高市は総理の対中国外交姿勢にも挑戦した。米国が昨年12月始め北京オリンピックに長官など政府代表を派遣しない「外交的ボイコット」を発表すると、14日に高市は官邸を訪れ、日本政府も外交ボイコットを宣言するよう要求し、中国政府による人権侵害を非難する国会決議も採択するよう主張した。

(中略)

しかしまだ党内基盤が確固でなく7月の参議院選挙を控えている岸田首相は声が大きく熱狂的な保守の支持を受けている高市と正面対決しようとはしない様子だ。主張はある程度受け入れるものの、強度を下げ、自身が重視する一部の政策は茂木幹事長に任せるなど静かな牽制を行っている。

北京オリンピックについては「外交的ボイコット」に言及せず、間を取って長官を送らない線で決着を付け、佐渡鉱山もユネスコ世界文化遺産に推薦することにした。中国人権決議案も「中国」という表現が含まれず過激な表現は草案から削除し2月1日に通過するものと予想されている。

参議院選を控えた岸田首相が周辺国に強硬でない「ハト派」という理由で右派有権者が色眼鏡で見る状況で高市や安倍元首相の圧迫に真っ向から挑戦することは容易ではないと判断したようだ。ただ一部では参議院選挙で自民党が確実に勝利する場合、向こう3年間、大規模な国政選挙がないため岸田首相が確固たる基盤を持つことになり、この場合、高市政調会長から降ろす可能性があると見ている。



韓国日報「"다카이치는 日 여당 속 야당?" 기시다 정책 사사건건 태클 거는 이유는(「高市は与党の中の野党?」岸田政策がことあるごとにタックルされる理由は)」より一部抜粋

高市(安倍) vs 岸田」の構図として描いているわけです。しかし、見ようによっては岸田さんが本当に言いたい/やりたいことを代わりに大声で主張して、岸田さんは「しぶしぶ」受け入れる、という演出とも取れますね。
岸田さんがそこまで老獪とは思えませんが、高市さんは必要があればそのくらいの役は引き受けそうな印象があります。



高市さんを「野党」と表現するのが適切かどうかはともかく、野党が野党として機能していない現状で自民党内部で意見を「揉む」ことが出来るのはある意味健全かもしれませんね。