元駐日大使「日本は歴史主義路線を修正しなければならない。そうすれば上手く行く」という話

日韓関係の歴史和解の模索という内容のコラムを紹介します。
慶南大学の教授で、2017年〜2019年まで駐日韓国大使を務め、現在イ・ジェミョン陣営の選挙対策委員会のメンバーの人が書いたコラムです。

「なぜ日韓関係を改善しなくてはならないか?」このあたりがまともに書かれていません。書かれている記事の方が珍しいです。
日韓関係が悪化すると設備や原材料を日本に依存している韓国が不利になるという事情をあまり書きたくない、というのはあるかと思います。

まあ、それはともかくイロイロと書いてはあります。結論というか、日韓和解の方策として提案されているのは一つだけです。「日本は問題だらけの歴史修正主義路線を修正しなければならない」、今の日韓関係悪化は「日本が悪い」です。安定です。

 



国際新聞の記事からです。

[イ・スフンコラム]韓日歴史和解の模索


(前略)

冷静に見てムン・ジェイン政府任期内に悪化した韓日関係の突破口を見出すことは難しそうだ。先週末ハワイでの韓米日外相会議に出席したチョン・ウィヨン外交部長官と日本の林外相が米国の仲介の下、久しぶりに韓日外相会談を開いた。
しかし書こし問題の懸念に対して既存の両国政府の立場を確認するに留まり、残りの歴史葛藤に対してこれと言った進展を果たすこともなかった。

察するに日本政府は韓国の大統領選挙と、それに伴う時期政権の発足を念頭に置いて待つという考えのようだ。この戦略は有功では無さそうだが、韓国としては時期政権の発足に合わせて韓日関係発展の戦略を模索する必要がある。

(中略)

与野党の両候補が1998年の「金大中 - 小渕21世紀パートナーシップ共同宣言」に注目し、政治的解決策のモデルとして認識しながら、第二の金大中 - 小渕宣言を採択するという約束を掲げている。

このような公約が実現するためには韓日両政府双方から歴史葛藤問題を解決するための骨身を削る努力が必要だ。あまりにも難しい課題だからだ。まず韓国の新政府は強制動員と慰安婦被害者の傷を癒やし、名誉回復の難題を主導的に解決するという意志を持たなければならない。政府の意志に加えて被害者、政党、その他の利害関係者との疎通と協力が伴わなければならない。2015年の慰安婦合意とその履行過程で明らかになった試行錯誤を反面教師としなければならない。強制動員問題の解決に求められる資金調達に関しても韓国政府が積極性を発揮しなければならない。

恐らく、より重要なことはボールが日本政府にあるのか分からない。安倍内閣が堅持していた問題だらけの歴史修正主義路線を修正しなければならないのではないか。現在、日本政権の岸田内閣と自民党が過去の歴史問題に対して安倍政府の期間内に疾走した感受性を復旧し発揮しなければならないということだ。1990年代の村山談話河野談話、そして金大中 - 小渕共同宣言に遡る必要もない。わずか10年前の2010年管直人首相が行った管談話水準 - 歴史直視反省謝罪 - の歴史認識を示すことだ。そうすれば過去の歴史をめぐる韓日の葛藤は突破口を見出すことが出来るだろう。

韓日間の歴史問題の解決策のうち最上のものは「歴史の和解」を成し遂げることだ。歴史和解の出発も日本の政治指導者が歴史問題に対する感受性を示し、歴史認識を新たにすることだ。時期韓国指導者が歴史和解に向けて1998年の金大中 - 小渕パートナーシップ宣言を継承・発展させるための努力を傾けることが出来るよう雰囲気作りをすることだ。出発がこのようになれば慰安婦問題を実質的に解決できる解決策がいくらでも可能になり、強制動員(徴用)問題も対話を通じて解決策を見出すことが出来るだろう。

(後略)



国際新聞「[이수훈 칼럼] 한일 역사화해의 모색([イ・スフンコラム]韓日歴史和解の模索)」より一部抜粋

金大中 - 小渕宣言でも各種談話でも解決しなかったから今またブリ返しているのでしょうに、そこに立ち返る意味が分かりません。(ループ物がお好き?)
韓国政府が積極性を発揮しろ、と言いつつ結局は「日本がー」「アベがー」で、まずは「日本が悪い」から始めましょうといういつものパターンでした。

 

これまたいつものことですが、全ての原因を「日本の歴史修正主義路線」に集約するのみです。韓国の国際法違反状態には一言も言及していません。
日本側は既に「問題は完全かつ不可逆的に解決済み」であり、解決すべき問題は既に無い、な状態です。今ある問題は韓国による国際法違反状態により起こされているものとなります。
日本が韓国に遠慮しなくなった決定的な契機であったにも関わらず、それを無視して今の日韓関係が語れるところこそ「韓国は日本に何をしても構わない」という甘えでしょう。

十行書く間に一行でも官民合わせた韓国のこれまでの所業を客観的に振り返るような視点が持てるような指導層であれば、事態はここまで拗れなかったのかもしれませんね。

良い悪いの話ではなく、韓国社会の特徴として自分の主張(のみ)を押し通すことを「良し」とする傾向があります。
0か100です。自分の主張が通ることが「強さ(権力)」であり、逆に相手を慮ることは「弱さ」と捉えられます。

日本は「良い日韓関係が築ける」と思って韓国にイロイロ配慮してきたわけですが、韓国社会にはそれは響きません。「日本は弱い」と見なします。周回遅れくらいでやっとそこに気付いたんだろうと思います。